最高にマイペースな結婚をしよう!

【真船佳奈】#8 「結婚式場でマイペース夫が呼吸困難になった話」〈後編〉

telling,の人気企画「ぼっち旅」シリーズの作者で現役テレビ局員の真船佳奈さんの結婚式までの道のりを、ご本人によるリアルタイムドキュメンタリー形式で追っていく連載「最高にマイペースな結婚をしよう!」。 いよいよ結婚式場選びも大詰め。下見におもむいた真船夫婦ですが、なんと夫氏が突然苦しみだして…?!まさかのピンチを乗り越えて、無事に式場を確保できるのでしょうか。
【真船佳奈】#7 「結婚式場でマイペース夫が呼吸困難になった話」〈前編〉 真船佳奈 #9 「#コロナ結婚式」を延期した話

前編でダラダラとオチもない漫画を晒しながら「結婚式への中途半端な思い入れ」を語っていたが、後編では実際に結婚式場に行き、お待ちかね夫が呼吸困難に陥った話をしようと思う。

ちなみにこのあと、夫は「さん…そ、酸素…スプレー…」とうわごとのように呟いていたが、おしゃれな竹下通りに酸素スプレーが売ってるような気の利いたドラッグストアがあるわけもなく。

やっとこさっとこドラッグストアなのか化粧品屋なのかよく分からない外国人観光客ホイホイな店に入って「酸素スプレー…」と息も絶え絶え店員に声をかけたところ、「は?サンソ?」とか言われてた。
外国人店員しかいない店だった。
グローバル時代はすぐそこにきているよお〜!

「チョトワカラナイ」とか言いながら別の店員連れてきてくれたけどその人がまた外国人っつー地獄の連鎖を見た

酸素スプレーの概念がなかなか伝わらず、
めっちゃ死にかけてるのにサロンパススプレーとか差し出されてた。

なんとか意思を伝えるために「オーツー、オーツースプレー、OK?」とか言ってるうちに元気になってきたから良かったものの、ほんと死ななくて良かった…。
(※夫が呼吸困難に陥ったのは「なんか空気が悪かったから」だそうで、式場側の落ち度ではない。念の為)

結婚式場の「合う」「合わない」は割とすぐわかる

この連載を掲載する前に夫に原稿を見せるたび「盛ってる」と指摘されるのだが、今回はほぼ純度100%だったので何も言われなかった。(2軒目の式場が特定されないようにある程度情報にフェイクは入れているよ!)

2軒目はカウンターの方のお勧めで候補リストに入れた式場だったのだが、漫画に描いた通りことごとく我々に合わなかった。
プランナーさんのノリ、「これいいでしょ!」とお勧めしてくれる演出の数々、式場の雰囲気…全てが「お、おう…」と言ってしまう感じだった。

でもこれは決して、この式場が悪い式場だとか、対応してくれたプランナーに誠意や常識がないわけではない。
ほんとに単純に、我々には合わなかった。それだけである。

現にお友達みたいなノリのプランナーさんと超絶盛り上がりながら打ち合わせをしているカップルもたくさんいたし、「バイクで登場する」「車を展示する」など難しいリクエストを叶えてきたという都内屈指の式場である。

チャペルのライトアップ演出も、列席者が最高に泣けると好評なようだ。
料理に関しても、メインの肉はこっちの会場の方がうまかった。

我々が例えば「どうしても結婚式でやりたいこと」があったり、もう10歳若かったらこの式場を選んでいたかもしれない。
バージンロードを歩くシーンにロマンチックさを求め、プランナーさんと学園祭のように一緒に結婚式を作り上げる…そういう関係性を求めていたかもしれない。

でも色々1周回って変に落ち着いてしまった我々は、
(バージンロード歩くとき、横にいるの志村けん似の親父だしなあ…)とか
(そもそもバージンでもねえしなあ…)とか考えてしまう。

演出でやりたいことはあんまりないけれど、やりたくないことはたくさんあって、年下のプランナーさんのお世辞に喜べないくらいのプライドが育ってしまった。

「私たちが式に何を求めているのか」がはっきり分かったので、夫は死にかけたが2件見学に行ってとても良かった。

結婚式、何度でも言うけどやりたいようにしてイイんだよ

式場で色々な結婚式事例を見せてもらうわけですよ。
そうすると、マジでみんなコンセプトしっかりしてんのね。

「テーマはアダムとイブのりんごです」つって全ての装飾をリンゴに統一したおしゃれな挙式から、「ケーキカットの代わりに新郎がステーキを焼きます」っつークッキングパパ挙式も。ケーキの代わりにオムライスカットしたり、ケーキの代わりにハンバーグだったり、あーもうケーキしか見てねえケーキ食いてえ。

結婚式とは伴侶のお披露目としての場だけでなく、今まで生きてきた人生で培ってきた好きなものややりたいことを表現する場なんだと気づく。

段々、「我々は結婚式でやりたいこととかあるの?!」と問答するようになり、
やっとの事でひねり出した答えが「両親への記念品贈呈の際、米俵を渡す」ことだけだった。
30年間何してきたん?!米食ってきただけなの?!

そんなわけでこれを書こう書こうと思っているうちに、式場決定から3カ月くらい経っちまった!いまだにね、やりたいこと、思いつかないわけですよ。

ちなみに唯一決まっていた「両親への米俵」も、思ったより高いから「別に記念品贈呈で渡さなくても、スーパーで買って送ればよくない?」ってなってる。コンセプトゼロ。もう入場した瞬間に、「ほんときょうはありがとね、じゃあね」ってお礼だけ述べて退場する会になるかもしれない。

次回は「氏名変更」のお話。どうぞ引き続き、この最高にマイペースで無計画な結婚連載にお付き合いください。

【次回へ続く】

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【真船佳奈】#7 「結婚式場でマイペース夫が呼吸困難になった話」〈前編〉 真船佳奈 #9 「#コロナ結婚式」を延期した話
テレビ東京社員(現在BSテレ東 編成部出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。ツイッターアカウントは@mafune_kana
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