最高にマイペースな結婚をしよう!

真船佳奈#13 パートナーが落ち込んでいるときにできる唯一のこと(前編)

telling,の人気企画「ぼっち旅」シリーズの作者で現役テレビ局員の真船佳奈さんの結婚式までの道のりを、ご本人によるリアルタイムドキュメンタリー形式で追っていく連載「最高にマイペースな結婚をしよう!」。 現在進行系のコロナによる急速な変化。真船さんもこの数カ月は、新刊の発売や結婚式の延期など怒濤の日々でした。その中で感じたのは、クリエーターとしての悩み・・・。パートナーはその時、どう対応したのでしょうか?

みなさん、元気ですかー!!
前回、家事について「やりたくないときは、やらなくていいよ★」とか余裕ぶっこいてたけど、最近ベッドにダニが湧いてめっちゃ刺された不潔な女・真船です。
流石にシーツ洗った。ダニに家事を促されるって、どういうこと?

さて、今回は「パートナーが落ちこんでいるときにどうすべきなのか」っていう、オトメスゴ●ンあたりの恋愛サイトに載っていそうな、この企画にしてはまともなテーマについて語っていきたいと思う。

怒濤の数ヶ月だった

突然だが、最近めっちゃ気分落ち込まない?
私はそもそも人前では白目向いてアヘアヘ「ハッピーでーす!」みたいに振舞ってるけど、実際はおぼろどうふレベルに精神が弱いので、最近はもう輪をかけて不安定だったわけですよ。

度を超えた人見知りなので人と関わっている時に 持ちうるエネルギーの全てをつぎ込んで道化を演じ、 家に帰ったときにHPマイナスになっている

急速に世の中が変わっていく中で心が疲れてしまったり、なんだか悲しくなるニュースばかりで、テレビをみるのも嫌になってしまったりした人も多いんじゃないだろうか。

私個人としても、もうここ数ヶ月は、大変な日々だった。
3月に出した新刊の売れ行きは悪いわ、4月に予定していた結婚式はコロナの影響で延期になるわ、ダニにも刺され放題だわ、いろいろなことが巻き起こった。

特に、1年かけて書き上げた漫画の売り上げが悪いことは、私のわずかに残っていた自尊心をバッキバキに崩壊させるのに十分だった。

思えばなんの仕事もできないAD時代にひょんなことから漫画家デビューし、
それから3年間、無我夢中・超自己流で漫画やエッセイのお仕事をしてきた。

ただのポンコツADだった私に「漫画家」という肩書きがついてから、世界が広がった。「面白い」と言って仕事をくれる人が出てきた。
テレビの世界ではエンドロールに名前が載らない末端の私が、「真船佳奈」という名前で作品を発表するようになった。

嫌いだった自分のことを、少しだけ好きになることができた。

ところがどっこい。
2冊目がもう全然売れないんですよ。なにこれ。
コロナの状況下の発売とはいえ、(自分で言うのもなんだが)よく売れた一冊めと比較すると
「何かの間違いじゃ・・・?」っつーくらい売れない。

こうして文章を書いている今もそうだが、何か作品をつくるというのは非常に孤独で勇気のいる作業である。

私は誰かに「面白い」と思ってもらいたくて発信しているわけなので、それが受け入れられなかったら「お前は面白くねえ」と言われているのと同義になる(と、少なくとも私は思っている)。
漫画で回復した自尊心は、また漫画によって奪われてしまい、
そこからは負の連鎖だった。
「どうせ私なんかダメなんだ…」と後ろ向きになってしまうと、不思議なことに何もかも上手くいかなくなる。
好きなことをしても気分が晴れず、何かを発表するのが怖くなって新しい作品を描く力も湧いてこない。
そんなわけで、ここ数ヶ月くらいはずーっとその負の連鎖から浮上することができなかった。

「荒野行動」ばっかやってる夫

しばらくは、「自分で本を売り込もう!」と躍起になっていたが、その作業がまた私を摩耗させた。本を1冊売ることでさえ個人の力ではままならない。
そもそも本屋が開いていない。頼みの綱の取材もコロナの影響で中止になったりした。出版社との関係もうまくいかず、傷ついて摩耗し続けたけれど、もう完全に白旗を上げた
一つの商品を広めることがいかに大変か思い知った。
マルチ商法の人とかすごいよ。数万円の鍋とか、マジでどうやって売ってるんだよ。

三ヶ月間ジェットコースターのように気分が上下し続けた。
急にオイオイ泣いたかと思えば、急にヒョイヒョイ踊り出したりする
不安定を絵に書いたような私。そんな嫁と同居する夫が何をしていたかというと

特に何もしなかった。

いや、マジで何もしなかったのである。
強いて言えば「荒野行動(※)」っつーゲームやってたわ、一生。
(※バトルロイヤルゲームで約100人の1人になって無人島に降り、最後の1人に残るために戦闘をするゲームである。私もよく知らん)

唇からこぼれ落ち続ける呪詛にも似た愚痴を聞き続けてはくれるが、
落ち込んでいる私の肩を抱いてくれたこともなければ
「俺にもこんなことがあったよ」的な具体的なアドバイスとかもくれなかった。
(「寺に修行に行け」とは言われた)

夫はマスコミ関係の仕事(漫画とは関係ないが)をしている。
だから、恐怖の寝物語のごとく日夜繰り返される私の愚痴パレードに経験則の一つも語れそうなものなのに
的確なアドバイスの代わりにマシンガンの音を大音量で撒き散らしながら「荒野行動」やってたわ。なんなん

結婚式で神父が拙い日本語で「健やかなるときも病める時も・・・」とかいうじゃないですか。
「ヒョイヒョイ踊ってるハッピーな時も、オイオイ泣き出している不安定な時も一緒に乗り越えようぜ!」的な意味だと思うんだよ、あれ。

それでいうと、もうどう考えても病める時に差し掛かっている私に対して、夫はどうすべきなのか。
私はどうして欲しかったのか。
今までずっと一人で生きてきたもの同士が
結婚したからといって、いきなりお互いの苦しみなんて、救えんのかい?

本人曰く「もう少しちゃんと聞いていた」とのことだが、私の耳に残るはマシンガンの音のみである

長い付き合いの中でどうしたって訪れる「パートナー不調の時」。
そんな時どうしたらいいのか、私たちなりにたどり着いた結論について、後編でお話ししたいと思う。

オンエアできない! Deep

著者:真船佳奈

定価:本体1000円+税

出版社:朝日新聞出版

判型:A5判

ページ数:176ページ

試し読みはこちらから

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テレビ東京社員(現在BSテレ東 編成部出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。ツイッターアカウントは@mafune_kana
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