上白石萌音さんが憧れる夫婦像とは? 映画『35年目のラブレター』
こんな夫婦になれたら
――『35年目のラブレター』は実話をもとにした作品です。役作りで工夫した点、難しかった点などはありましたか?
上白石萌音さん(以下、上白石): フィクションでもノンフィクションでも役作りに大きな違いはなかったです。台本を読みながら、私なら保さんにどんな寄り添い方ができるだろうと考え、皎子さん像を深めていきました。
一つ特殊だったのは、タイプライターを使うシーンがあって、それは私にとって全く馴染みのないものだったので、練習しました。キーボードの位置を覚えるため、その写真をスマートフォンの待受画面にして、時間さえあれば眺めていました。
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――関西弁にも初めて挑戦されたとか。
上白石: 私は関西弁が大好きなので、今回演技でしゃべることができてすごく嬉しかったです。テープを聞いてイントネーションを練習しつつ、(保役の)重岡大毅さんはじめ共演者の方に関西出身の方が多かったので、アドリブなどで不安になったときはすぐに聞いて、教えてもらっていました。
――夫婦役を演じた重岡大毅さんとは、映画『溺れるナイフ』以来8年ぶりの共演でしたが、互いの変化など感じたことはありましたか?
上白石: 「ヤッホー!」と気楽な感じで再会したのですが、実はずっとまた共演させていただきたいと願っていたので、今回ご一緒できたことがとても嬉しかったんです。お互い全然変わらないなと思いつつも、いざ演技をしてみると、言葉一つひとつの深みや人としての円熟味が増しているのを感じて、この8年間にきっといろんな経験を重ねてこられたんだろうな、と感慨深く思いました。
――作品試写では、思わず涙してしまったそうですね。
上白石: 主人公の保さんが、最愛の妻のために、字を勉強して手紙を書くというのはもちろんですが、そこにあるお互いへの目一杯の愛情や尊敬、夫婦の温かさをぜひ感じていただきたいです。
私は、このご夫婦の“ちゃんと互いの目を見て毎日挨拶する”ところが大好きです。そういうお二人だからこそ続いている決まりごとや習慣が本当に素敵で、私もいつかこんな夫婦になりたいと思いました。
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当たり前だからこそ、気づけないこともある
――映画では、主人公の西畑保が、読み書きを学ぶために夜間中学に通い始め、そこでさまざまな背景を持った人びとに出会います。日本赤十字社のアンバサダーを務めるなど、社会貢献活動にも関心が高い上白石さんが、改めて考えたことなどありましたか?
上白石: 読み書きができるとか、学校に通えるとか、平均的に恵まれている今の時代、当たり前になってしまって気づいていなかったことがたくさんあるんだなということを改めて考えました。世の中には様々な人がいて、いろんな考え方があるということ、「人それぞれ」という視点を常に持っておくことを大切にしたいなと。
それは、パートナーや家族、友人などの関係においても言えることで、ついつい「何でわかってくれないんだろう?」「何でそんなこと言うんだろう?」と、思ってしまうこともあるかと思います。ただ、そこで立ち止まらずに、そこにどんな背景や理由があるのかを考えると、見え方や感じ方が変わってくるかもしれません。表面的な言葉の響きだけで判断してしまうのは、すごくもったいないですよね。簡単なことではないし、時間もかかるし、心労も伴いますが、その人が大切なら互いにわかろうとする努力を怠っちゃいけないって思うんです。
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●上白石萌音(かみしらいし・もね)さんのプロフィール
1998年、鹿児島県生まれ、。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞しデビュー。2014年、『舞妓はレディ』で映画初主演を果たす。現在は、歌手・ナレーター・声優としても幅広く活動する。代表作に、映画『君の名は。』『夜明けのすべて』、ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』、舞台『千と千尋の神隠し』などがある。
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●映画『35 年目のラブレター』
監督・脚本:塚本連平
出演:出演:笑福亭鶴瓶、原田知世、重岡大毅、上白石萌音ほか
2025年3月7日(金)に全国で公開