Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中
Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中
夢物語じゃ、足りないの。悩みに効くリアリティーショー#10

「出会いがない!」とぼやくあなたに。携帯ナシ&異国での「オフライン ラブ」に学ぶ、運命の恋のはじめかた

夢見るような展開のドラマを見ても、近頃はなんだかむなしい。だって現実にはこんなすてきなこと起こらないもの。恋愛・キャリア・子育て・孤独……悩める私たちの特効薬は、そう、リアリティー・ショー! 現実世界に即・応用できちゃいます。今回は、「出会いがない」「“運命”なんて私には起こらない」とぼやくあなたに「オフライン ラブ」(Netflix)をおすすめ!
“誰にもわかってもらえない”あなたへ。「あいの里 シーズン2」あやかんとギタりん、奇跡の友情 恋にはサプライズローズが必要だ! いまいち恋愛に発展しないあなたに『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3が教えてくれること

恋愛リアリティー・ショーなのに、出会わない⁉

「会社と家の往復で、出会いなんてない」とぼやく友人の話に、「そうだよね~、運命なんてそうそう転がってないよね」と相槌をうちながら、「オフライン ラブ」の1日目を思い出していた。

スマホ&タブレットなしの環境でフランス・ニースにあつまった10人の男女が、10日間で運命の恋を見つける恋愛リアリティー・ショー「オフライン ラブ」。参加者には番組オリジナルの青いガイドブックが渡され、連絡手段はレターラウンジのポストを介してやりとりできる手紙のみ。初日、みんなはとにかくニースの町を歩き回る。青いガイドブックを同じく手に持つ、運命の相手と出会うために。

元水球日本代表のアツシとモデルのマホは同じモニュメント〈#ILoveNICE〉のそばを通りかかる。もちろん手には青いガイドブック。でも、二人はお互いに気づかずすれ違う。お土産屋さんに入った芸人のケンスケ、その店の前を通りかかる俳優のナナミも出会わない。横断歩道で同じガイドブックを持つ人に出会えたのは、アツシと俳優のユウダイ。二人は喜び、カフェでおしゃべりするが、異性とは出会わないままだった。

Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中
Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中

え、こんなに出会わないもの……? ニースに日本人の若者がウロウロしていたら目立ちそうなのに。10日間という短い期間しか与えられていないのに、このままでは初日を街歩きに費やしてしまう。これで番組が進んでいっちゃっていいの……?とドキドキする。

どんなに魅力的でも、出会わなければ恋は始まらない

日の落ち始めた海岸沿いの遊歩道〈プロムナード・デ・ザングレ〉に、それぞれ別の方向からやってきたのはナナミ、アルバイトのミミ、大学生・モデルのショウの3人。ナナミは遊歩道から降りて海岸へ。ミミは右に左にどっちに進もうか迷って、左に。そして……ショウはそのミミの後ろ姿に気づき、声を掛ける。

ショウとミミは「出会えた!」「やった~!」と大喜び。一方、海岸へ降りたナナミはそんな二人に気づかず、結局その日は誰とも会えず、一人寂しくオープンテラスでワインを飲むのだった。

メンバーは皆、運命の相手と出会うために努力をしていた。街をあちこち歩き回り、レストランでは道行く人を見られるようにテラス席に座って。どの人も皆、おしゃれで魅力的で、出会えばすぐ恋に落ちそうな人たちだけれど、出会わなければ何も始まらない。

これはなにもリアリティー・ショーの出演者たちだけの話じゃない。私の友だちのような普通の人たちもみんなそう。みんな、それぞれに魅力的で、恋愛したいという意思を持って努力もしていて、でも、出会わない――。

Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中
Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中

日本にいて「出会いがない」とは言わせない

ちょっと待って、本当にそう?

スマホなしの異国より、日本にいて、スマホもあって、毎日なにかしら他人と会話する機会がある私たちは、日々、誰かと出会えているはずじゃない? 「出会いがない」なんて言ってちゃいけないんじゃない?

1日目はとうとう誰とも出会えなかったナナミが翌日レターラウンジに寄ると、ポストには同じく女性に出会えなかったアツシからの手紙が届いている。3日目に会わないか、というお誘いの手紙だ。ぜひ!と返事を出したあと、ナナミはもう1通手紙を書く。4日目にケンスケをデートに誘う手紙だ。ナナミはアツシの顔もケンスケの顔も知らない。ただ、インスピレーションで手紙を出す。

もし、これが日本でスマホがある状況だったら、ナナミはケンスケを誘っただろうか。アツシに誘われたことに満足して、自分からは動かなかったのではないかと思う。1日中、誰かを探して町を徘徊し、出会うことがいかに奇跡なのか身に染みてこその行動だった。

恋で努力できるのは「出会う」ことだけ

ただ、恋の難しいところは、たとえ運が味方して「出会えた」としても、それが恋の相手になるとは限らないところだ。

1日目に海岸沿いで運命的な出会いをしたミミとショウは、その後も話が弾み、ショウから誘ってデートにも行くけれど、ミミが同じ日の午後に別の人とのデートをいれていたあたりから、ショウの熱が急速に冷めていく。ミミの行動は責められない。限られた時間、多くの出会いを求めるのは自然なことだ。ショウもまた、冷めたままではない。すぐに切り替え、別の人をある小旅行へ誘う。その後、二人はそれぞれ別の人との関係を深めていくことになる。

Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中
Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中

運命の恋を見つけ出す「オフライン ラブ」を最終話まで見て感じたのは、結局恋が成就するか否かは本人の努力や資質とは全く関係ないってこと。意中の人に勇気を出して誘い、思いを真剣に伝え、一途に思い続けても、相手に気持ちがなかったら、ダメなものはダメ。

だけど、「出会う」ことだけは、努力で叶えることができる。

まず、恋のスタートラインに立つために、「出会う」ことから始めよう。自分から動こう。ここはニースじゃない。スマホがあるのだから、今すぐマッチングアプリをインストールするか、友だちに「誰かいい人いない?」って連絡してみよう。異性もいそうな習い事を始めたり、行きつけの飲み屋を作ってみたりしよう。同僚や昔なじみに隠れた魅力がないか、再検証してみよう。

「オフライン ラブ」の最終話、恋が叶わなかったある女性メンバーが「楽しかった」と呟く。本気で好きになれる人と出会えた彼女は、きっとその後も人との出会いを前向きに、そして大切にできる。その先に、いつか必ず運命の恋が訪れるだろう。

Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中

■「オフライン ラブ」

10日間を異国の地・ニースで過ごす若者たちが、運命の力だけを頼りに恋をする。デジタルデバイスを使わずに、最高の恋人を見つけることはできるのか――。恋愛模様はもちろん、どこを切り取っても絵になるニースの街並みも見どころ。スマホを置いて「オフライン ラブ」よろしく旅先で出会いを求めるのもいいかもしれない。MCの小泉今日子と令和ロマンのコメントも、恋する気持ちを盛り立ててくれる。
=Netflixシリーズ『オフライン ラブ』独占配信中

 

“誰にもわかってもらえない”あなたへ。「あいの里 シーズン2」あやかんとギタりん、奇跡の友情 恋にはサプライズローズが必要だ! いまいち恋愛に発展しないあなたに『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3が教えてくれること
エッセイスト/ライター。エッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)2024年7月発売。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、39歳で一念発起。小説家を目指してフリーランスに。Web媒体「好書好日」にて「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。特技は「これ、あなただけに言うね」という話を聞くこと。note「小説家になりたい人(自笑)日記」更新中。