Netflixリアリティシリーズ「あいの里 シーズン2」世界独占配信中
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夢物語じゃ、足りないの。悩みに効くリアリティーショー#9

“誰にもわかってもらえない”あなたへ。「あいの里 シーズン2」あやかんとギタりん、奇跡の友情

夢見るような展開のドラマを見ても、近頃はなんだかむなしい。だって現実にはこんなすてきなこと起こらないもの。恋愛・キャリア・子育て・孤独……悩める私たちの特効薬は、そう、リアリティー・ショー! 現実世界に即・応用できちゃいます。今回は、誤解されやすく、誰にもわかってもらえないと感じているあなたに「あいの里 シーズン2」(Netflix)をおすすめ!
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リアリティー・ショーにはクセが強いキャラがつきもの。わがままやネガティブ発言、空気を読めない行動など「あー、なんでそんな炎上しそうなことするかなー」と見ててこっちがハラハラする。もちろん、番組を盛り上げるために、その人のインパクトのある行動ばかり切り抜いているんだろうけど……。

35歳以上の大人たちが人生最後の愛を探すリアリティー・ショー「あいの里 シーズン2」でいえば、それはあやかんとギタりんだった。

初日から大暴れのあやかん

大阪で秘書をしているあやかん(35歳)は、冒頭のメンバーとの夕食でいきなり号泣する。結婚の焦りを口にするあやかんを、シングルマザーのパチゆみ(51歳)やせん姉(57歳)が「大丈夫、まだ若いから」となだめたら「大丈夫は無責任な言葉に聞こえます!」「お二人は出産を経験してるじゃないですか」「妊娠できる確率は下がっていくんです!」などと涙ながらにガン詰めしたのだ。

その切実な気持ちには大共感だけど、それを初対面でぶちまけたら重いよ~! 案の定、男性陣は気まずく口をつぐんでいた。

さらに、食事のたびにパチゆみとせん姉から「もっと食べなよ」「おかわりは?」と世話を焼かれて、不機嫌な態度を取るあやかん。じつは小学生の時、「デブ」といじめられた経験から、体型コンプレックスを抱えているのだ。お母さんに作ってもらったお弁当をこっそり捨てていた思い出とも重なって、食事量について干渉されると辛くなってしまう。でも、そんな事情を知らないメンバーにとっては、好意を素直に受け取らない、めんどくさい子に見えてしまう。

そして、独特の感性は恋愛面でも炸裂! 想いを寄せる男性の好物がランチパックのピーナツバターだと知って、ピーナツバターサンドを作ることにしたあやかん。けれど、「冷蔵庫にピーナツクリームがなかったから」となんとただの食パン2枚を渡してしまう(辛うじてパンの耳は切ってあったけど)。渡された男性は当然、困惑顔に。あやかん、それだったら渡さない方がマシだよ~!(汗)

前代未聞の途中休場をしたギタりん

そのあやかんをしのぐクセつよキャラなのが、北海道の音楽教室の先生、ギタりん(52歳)。意中の女性が他の男性といい感じなのにショックを受け、みんなの聞こえるところで「明日、(俺を)振ってね」と気持ちを押し付けたり、読書しているメンバーの前でギターを弾いてたしなめられると、「じゃあギターやめる」とへそを曲げたり。たびたび披露するオリジナル曲は、尺が長いし歌詞も意味不明で、独りよがり。とうとうある女性メンバーにしつこく絡んで泣かせ、冷却期間を置くためにあいの里から一時離脱することに……。

ギタりん、それはマズい……とドン引きしながら、ひとつ引っかかることがあった。紹介動画の中でギタりんは、音楽教室の生徒から「うるうる」(すぐ感動して泣くから)と呼ばれ慕われていたのだ。「あいの里」に応募したのも、ギタりんの今後を心配した生徒たちに勧められたという。さらに男性メンバーから親友だと呼ばれる場面もあった。女性メンバーにしつこく絡んだのも、他のメンバーから「もっとアピールしなよ」とアドバイスを受けたから。もしかしてギタりん、悪気はないの? 真っすぐすぎて不器用なだけ?

針のむしろのギタりんに声を掛けたのは……

冷却期間が終わり、あいの里に戻ってきたギタりん。改めて謝罪をするも、女性陣の表情は硬い。そこで口火を切ったのはあやかんだった。「いやかなって思うことはもうしないこと」。「はい!」と心から反省するギタりん。その言葉で少し場が和らいで、ギタりんは被害を受けた女性ともちゃんと話すことができた。

その後、自作の謝罪ソングを披露したがるギタりんに「3日間ぐらい無言で過ごした方がいい」と、笑いを交えながらアドバイスをするあやかん。ほかの女性陣が拒否反応を起こすなか、フラットに接するだけでも偉いのにアドバイスまで……。じつは、ギターを迷惑がられて自暴自棄になったギタりんの話を聞いてあげたのもあやかんだった。

ありのままを否定されてきた二人

「『変わってください』ってみんないうんだけど、ありのままの俺をすっげえ否定されてる感じがする」

ギタりんの言葉に、あやかんは涙する。「これまでにもぱっと言った一言で誤解されて納得できへん言葉とか今まで浴びてきた人生やったんちゃうかな」と。そして、ギタりんに打ち明ける。

「それでいうと、あたしもさ、あれでも頑張って食べてるのね、ごはん。周りの人もやさしさで言ってくれてるってわかってるからこそつらい。自分はそれに対してがるるるって思ってしまうのがつらい」

あやかんもうまくできない自分のことを悔やんでいた。コンプレックスからいろんなことを考えすぎ、前向きなコミュニケーションが取れず、また自信を奪う。そんな悪循環の中で、ギタりんだけはいつもあやかんを気の毒がることもなく、お説教することもなく、同じ目線で話を聞いてくれた。

はみ出し者にしかできないこと

じつは冒頭、あやかんが号泣してみんながドン引きした夜。「(俺の)お父さんね、バツ6なんだよ」とぶっ込んで、場の雰囲気を変えてくれたのはギタりんだった。あやかんが子どもの名前に「褒」という漢字を使いたい、と言ったら、「褒(ほ)ー!」「ほー!」と架空の赤ちゃんの名前を呼び、「いいじゃん、唯一無二じゃん」と言ってくれたのはギタりんだった。子どもをこの先持てないかも、というじりじりとした焦りの中に、ギタりんは明るい未来を見つけてくれた。

その後、あやかんは失恋。ギタりんは涙を拭くためのティッシュを差し出し、「一人の人も救えないのに世界なんか救えるわけない」と、何もできない自分に落ち込む。するとあやかんは「いや、救ってくれるよ。ギタりんがいてくれると私すごく泣ける」「泣いて浄化する感情もあるから。だから救ってくれてる」と言う。

みんなから「はみ出している」と感じることも多かった二人が、お互いの存在を認め合っている。支えたい、と思い、自分にできることを探している。

「だいじょうぶ。泣きやむまで絶対そばにいる」とギタりんは誓った。

「ギタりんのことを傷つける人のことを私は絶対に許さへん。しばいたるから」とあやかんも誓う。

勝手に曲者だと決めつけていた自分が恥ずかしくなった。性別も年齢も超えた友情が眩しいほど輝いていた。二人の友情はさらに発展していくのだが、それはぜひ本編で。

理解者の捜索範囲を広げよう

もし、あなたが規格外の個性ゆえ、孤独や疎外感を感じているなら「あいの里 シーズン2」を見てほしい。これまであなたをわかってくれる人がいなかったのは、探す範囲が狭かったからかもしれない。

この世界は広い。違う性別、違う年代で生涯の親友を見つけた二人に勇気を得て、いつか必ず出会ってほしい。あなたをあなたのままでいいと言ってくれ、あなたの個性に救われる人は、必ずいる。

Netflixリアリティシリーズ「あいの里 シーズン2」世界独占配信中

■「あいの里 シーズン2」

さまざまな経歴を持つ35歳以上の男女が、田舎の古民家で共同生活を送りながらパートナー探しに挑む。もう一度恋がしたい彼らに運命の出会いはあるのか、それとも一人で去ることになるのか――。ほかのメンバーの病気や死別の過去を乗り越え、未来に向かう姿にも勇気をもらえるはず。MCは田村淳、ベッキー。
=Netflixリアリティシリーズ「あいの里 シーズン2」世界独占配信中

恋にはサプライズローズが必要だ! いまいち恋愛に発展しないあなたに『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3が教えてくれること グループ内失恋を乗り越えるには……「韓国ドラマな恋がしたい」に学ぶ
エッセイスト/ライター。エッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)2024年7月発売。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、39歳で一念発起。小説家を目指してフリーランスに。Web媒体「好書好日」にて「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。特技は「これ、あなただけに言うね」という話を聞くこと。note「小説家になりたい人(自笑)日記」更新中。