婚活で年齢を気にする人必見! 恋愛リアリティー番組「あいの里」でみな姉(60歳)に勇気をもらおう
「〇〇姉」と呼ばないで
婚活アプリをしている友達が言った。誕生日を迎え、〈39歳〉から〈40歳〉に年齢表示が変わった途端、男性からくる「いいね」の数が激減した、と。「私はなんにも変わってないのに……」。励ましの言葉を探す私の頭に真っ先に浮かんだのが、恋愛リアリティー番組「あいの里」に登場する〈みな姉〉の姿だ。
「あいの里」とは、35歳から60歳の男女が人里離れた古民家で共同生活を送り、人生最後の愛を見つけるリアリティーショー。第一話の冒頭に参加メンバーのプロフィールが流れる。絵本作家・結婚歴2回・60歳の〈みな姉〉が紹介されたとき、不安を覚えた。
その昔、年下の友人に誘われて合コンに行ったら、しょっぱなから「私の頼れるお姉ちゃん的存在です♡」と紹介され、その宴中みんなからの呼び名が「マユ姉」(まゆねえ)になって地獄を見た。「〇〇姉」「姐(ねえ)さん」「おかあさん」などという呼ばれ方をした途端、恋のリングから強制退場を言い渡されたも同然。もちろんその合コンにはなんの成果もなかった。
みな姉……。最初から「〇〇姉」って呼ばれちゃってるっ……!
初期メンバーの構成はこうだ。女性陣はコンビニ店員のおかよ(39歳)、セラピストのトッちゃん(45歳)、カフェ店員のユキえもん(45歳)、そして我らがみな姉。対して男性陣は青年実業家のたあ坊(35歳)、イタリアンシェフのアンチョビ(46歳)、俳優のハリウッド(51歳)、心理学者のじょにい(60歳)。
みな姉が突出して高い年齢というわけではない。それに、のちに明かされることになるが、みな姉は元ミス日本。スタイルがよく、愛くるしい顔立ちのすてきな女性だ。それでも、みな姉は四人の男性の誰からもアプローチされないのである。
終盤まで「恋愛対象外」のみな姉
みんなの恋の相談に乗り、白玉や梅ジャムなど体に優しいおやつを作り、スタッフにまで頼りにされるみな姉。ある男性メンバーが振られると、「彼女、最後まで悩んでいたよ」と優しくフォローし、引っ込み思案な女性メンバーについて「あの子ほんとおすすめですよ。みんなの洗濯物をたたんで、そっと置いていく。やっといたよって言わない」と慈愛に満ちた応援コメント。日記にはこう綴(つづ)る。「周りを見渡すと小さいハートや大きいハートが飛んでいるように思う。『かんちがい』だったり『片思い』だったとしても、いつの間にかここにはハートがたくさんある。神様、どうかみんなキズつきませんように……」完全に傍観者の立ち位置だ。
その器の大きさをみな姉が見せるたび、私は勝手にかつての自分を重ね、ソワソワしていた。相手から恋愛対象として見られてないと感じると、「こっちだってそうだし!」と自分に言い聞かせるため、過剰にお姉さんぶったり、「男女の友情って成立するよね~!」とサバサバ女のフリをしたり……。みな姉の優しさは、私のような偽りのものではなく真心からくるものだけど、「お姉さん」通り越して、「おかあさん」通り越して、もはや「聖母」になっちゃってない? みな姉、それじゃあ、ますます恋から遠ざかっちゃうよ!
7話目、古民家に棲(す)みついた親つばめが2階に迷い込んでしまい、雛(ひな)のもとへ帰れなくなる。パニックになって飛び回る親つばめを、動物好きのみな姉が優しく捕まえ、巣に戻すことに成功する。その時のみな姉の言葉がなんとも切ない。「やっと役に立った」「はじめてわたしでなければならないことができてうれしかった」「傷つくことも何度もあった」「男性たちもわたしを対象にはしていないと思う。地に落ちたね、ミス日本も、もはやゴミだ」――。
その時、同年代だったじょにいは、すでにあいの里を離れ、みな姉は唯一の60代になっていた。内面も外見も若々しく魅力的な女性なのに、「60」という数字が重くのしかかる。みな姉自身を見てもらえない。
やはり年齢の壁は高いのか――諦めかけた9話目、急展開が!
自分にかけた呪いを解いたら……
新しく参加した60歳の男性メンバーを一目見た瞬間、「ミスチルの桜井さんに似てる」と思うみな姉。似てる……かな? みな姉以外の全員が首をかしげるも、とにかく初めてみな姉の心が動いた。それ以降は、積極的にその男性をおしゃべりに誘い、四つ葉のクローバーを見つけたらプレゼント。表情は明るく華やかになり、ホースの水を男性にかけてきゃっきゃっとふざけ合うシーンでは、まるで少女のよう。それに呼応するように、男性側の意識も変わっていき、さらには、その後メンバーに加わった41歳の男性も交え、みな姉をめぐる恋愛模様が展開する……?
8話目までのみな姉と、9話目以降のみな姉にどんな違いがあるのだろう。それはやっぱり、60歳のおじさんを桜井和寿似だと思ったあの瞬間、自分にかけた呪いが解けたからじゃないか。その呪いとは、「60歳の私なんかが恋したってしょうがない」という、傷つかないための予防線。
ときめくことを自分に許した時、閉じ込めていたその人自身の魅力が解放され、輝き出した。その輝きに誘われて、男性たちも年齢ではなく彼女自身を見つめるようになった。
60歳の男性と、41歳の男性はそれぞれ過去の恋愛で深い傷を負っていた。それを60年生きて、2度結婚し、2度離婚した彼女がやさしく包み込む。「お姉さん」であり「おかあさん」であり「聖母」であることが、「ときめき」の扉が開いた瞬間、圧倒的な魅力に変わる。年齢という壁が取り払われたとき待っていたのは、まさにその年齢によって磨かれた彼女そのものの素晴らしさだったのだ!!
その後、みな姉がどんな選択をするのか、それは見てのお楽しみ。
もし、あなたが周囲から「〇〇姉」と呼ばれていたり、婚活アプリの年齢表示に心をえぐられていたり、誕生日にちっともめでたい気持ちになれないのなら、「あいの里」を見てほしい。そこでは年を重ねた分、臆病になってしまった彼らが、年を重ねた分、優しく強く美しくなって、恋に果敢に挑戦しているから(そうそう、男性を見るときも年齢フィルターを外さないと!)。そしてもし、「もうこんな年だし……」と自分に呪いをかけているのなら、伝えたい。
自分に恋を許可しよう! 年齢の数字分の魅力があなたにはある。
さまざまな経歴を持つ35歳以上の男女が、田舎の古民家で共同生活を送りながらパートナー探しに挑む。もう一度恋がしたい彼らに運命の出会いはあるのか、それとも一人で去ることになるのか――。みな姉のみならず、バツイチ子持ちのトッちゃんや引っ込み思案のおかよが、恋を見つけて奮闘する様子に励まされること間違いなし。MCは田村淳、ベッキー。シーズン2も制作決定。
=Netflixリアリティシリーズ「あいの里」独占配信中