最高にマイペースな結婚をしよう!

真船佳奈#11 家事はどっちがやるものですか?(前編)

telling,の人気企画「ぼっち旅」シリーズの作者で現役テレビ局員の真船佳奈さんの結婚式までの道のりを、ご本人によるリアルタイムドキュメンタリー形式で追っていく連載「最高にマイペースな結婚をしよう!」。 名字を夫の姓に変更し、それに伴う煩雑な手続きを何とかクリアした真船さん。コロナによる自粛で夫婦で過ごす時間が増える中、真船夫妻はどのように過ごしてきたのでしょうか。家事分担を中心に紹介します。
真船佳奈#10 〜氏名変更ってやらなきゃダメですか?〜 真船佳奈#12 家事はどっちがやるものですか?(後編)

ヤッホー!(日本一ダサい掛け声)
telling,をお読みの皆様、元気でしょうかー!!

雲行きは常に怪しいものの、なんとなく以前のような生活が戻ってきた今日この頃。(原稿を書いている6月26日時点)
今まで在宅勤務だった夫も何事もなかったような顔して出社し始めた。
あんまり大きな声では言えないけど、夫が在宅勤務しているときは一日中一緒にいるのが本当に嬉しくてねえ…。

仕事中の夫を見るには、会社に忍び込まねえと…!)と密かに侵入計画を企てていた私にとって、扉一つ隔てた先で夫が仕事してるなんて、「ははー!お、お釈迦様がこんなところに、ありがてえ!」って感じで毎日拝んでいたよ…
人間というのは欲深い生き物で、扉越しでは満足できずその姿をなんとかして裸眼にぶち込みてえ!と思い「彼女を連れてきた息子が自室に籠っているのを心配してやたらお菓子とかお茶とか運んでくる母親」さながらに、用もないのに何度も扉を叩いては嫌がられていたもんだよ…

「彼女にこれをやられたら絶対嫌なNG行動ベスト100」的な恋愛マニュアル記事の1位から100位まで全部やってる自信ある

そんなわけで、どこの家族もコロナのせいで幸か不幸か一緒に過ごす時間が激増したことだろう。
街角のサラリーマンもインタビューで「普段家事ばかりさせていた妻の気持ちがやっとわかるようになりました。これからも家事分担を続けたいです」とか言ってた。一緒にいると、気持ちも伝わるし、一緒にいないとわからないこともあるよね…。
夫婦一緒にいるって、いいよねっ!

そんな私の気持ちをよそに、夫は本当に晴れ晴れとした、憑き物が取れたような顔をして出社している。マジで、なんなん。

家事分担を見直そう

さて、そんなわけで今回のテーマは「家事分担」である。

男女が一緒に一つ屋根の下にいたとしても、実はやることと言ったら飯食って寝るくらいしかない。そしてその日々の営みについて回るのが「家事」である。もう極端なことを言うと、我々は家事をして生きているのである。

そんな日々のルーティーンの分担に不満を持つ人も多い。
周りの同棲カップル・夫婦の愚痴を聞いていると、94%は「夫が家事をしない」件についてである
一方で周りの男性たちは「こんな家事をしている」トークをよく口にしているので、家庭によって事情は様々なのかもしれない。
しかし、夫婦の間には「家事分担」という言葉の壁が少なからず立ちはだかっているのは事実だろう。
そして今回の騒動で家族の時間が増え、その問題が浮き彫りになった夫婦も多いと思う。

私はと言うと、紆余曲折を経ながらも「全く喧嘩をせずまあまあ快適に暮らせる」と言うレベルには家事分担をしてきた。
お互い在宅勤務をしていた4〜5月も、一度も夫婦喧嘩をしていない。(軽い喧嘩はノーカン!)

今までこのテーマを書こうかな〜と思いながらなんとなく避けていたのは、この話題を出してよかった試しがないからだ。
夫は家事をしますよ、というと「ハイハイ!素敵な旦那様!解散!」と言われてしまいそうだし、「私は家事ほとんどしないんですよね」と言うと汚物を見るような目で見られたりするので、どっちに転んでも地獄。
だから、「うちの夫は家事しなくて」的な話題が出ると、存在感を消してフワフワと笑っているだけにしている。
でも、夫婦の連載をしている以上避けては通れないテーマだし、あと何と言ってももう外に出てなさすぎて書くことがなーんもねえ!から、今日は家事について書くね。

この前段でほとんどの文字数を消費してしまったので、前後編に分けて書くよ。

ダラ妻にマメ夫で歩んできた受難の道

この連載を何度か読んでいる方ならもうお気づきだろうが、私は「空き巣に荒らされた方がまだましなレベルに部屋が汚くても全然平気!350日くらいファストフードでも超ハッピー!」な女である。よく「世界仰天ニュース」とかで特集されている側の人間なのだ。
だから一人暮らしの時は裸で暮らしていたし、自炊らしい自炊なんて1年に1回くらいしかしなかった。久々に味噌汁を作ると正月のような厳かな気持ちになってた。なんてったって年1だからね。

母親は必死に「そんなんじゃお嫁にいけないよ!」とたしなめ、家事のエトセトラを教育しようとしてきた。
が、私自身は途中から完全に諦めて「もう家政婦さん雇えるくらい稼ぐ方の道をめざすから家事はやめだ!」と言い残し裸で生きる道を選び、
最終的にそんなに稼げなかったので母にお小遣いを渡して家事をやらせるという非道の道を歩むことになった。
母の家政婦ネームをあのロボット掃除機と同名の「ル●バ」と名付け、毎週末呼びつけた。我ながら最低な娘であるが、ル●バ側も「いいバイトができた!」と毎週末私の家に出向いた。歪んだ、だがwin-winな親子関係である。

呼んだらやってきて完璧な掃除をして帰っていくという超優秀なル●バである

一方で夫は非常にマメ。
大学時代に北海道から上京して以来一人暮らしだった夫は、学生時代居酒屋のキッチンで料理を学び、自前の包丁を4本・年季の入ったMY中華鍋を嫁入り?道具に持ってきたような男だ。
洋服を愛するがゆえエマールで衣類を手洗いし、ダイソンで隅々まで掃除をする。
だから多分、床に落ちているパンツの匂いを嗅いで「使用済みかどうか」を判断する私の姿を見て当初は戸惑っただろうし、今も良くは思っていないだろう。

なんの因果かこんな女と一緒に暮らすことになってしまい、自ら受難の道を選んだ夫には様々な不幸が降りかかることになる。

・真船の作ったカレーがめちゃくちゃ甘い(トマト缶が酸っぱかったので砂糖をぶち込みまくった結果、スイーツカレーができた)
・何でもかんでも乾燥機にぶち込まれ、お気に入りの服をダメにされる(私は洗濯表示が読めないし読む気もない)
・片付けて出たはずの家が、帰宅するとぶっ散らかされている(もちろん私の仕業だが「泥棒が入ったのかもしれない」とごまかすことにしている)
・常に探し物をしなくてはならない(置いた場所を忘れる)
・ぶっちらかっている部屋に謎のぬいぐるみを買ってきて飾る(自分でも謎)

「気づいた方がやればいいよね〜」と特に家事を分担せずスタートした同棲生活だったが、
気付くのはいつも夫だ。

そらそうだ、自主的に気づいて家事を片付ける女が、実母を「最強のル●バ」と称し家に呼びつけ家事をさせたり、着用済みの衣類の匂いを嗅いで「まだイケるか」の判別をしたりするはずがないのである。

そんなわけで、引越したての新居はまさに地獄の様。
私の口癖は「ねええ〜お母さん呼ぼうよ〜」だったが、夫は断固拒否。
「いつまで親に頼ってんの!もう30歳でしょ!」と諭され、(やだもう30年経っちゃった!)と改めて焦る私。

一人でもできなかったことが二人分できるの!?という焦りが初めて生まれ、
そこからお互いが快適に暮らすまでの1年間の歩みを、後編で描ければと思う。

<後編に続く> 

オンエアできない! Deep

著者:真船佳奈

定価:本体1000円+税

出版社:朝日新聞出版

判型:A5判

ページ数:176ページ

試し読みはこちらから

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真船佳奈#10 〜氏名変更ってやらなきゃダメですか?〜 真船佳奈#12 家事はどっちがやるものですか?(後編)
テレビ東京社員(現在BSテレ東 編成部出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。ツイッターアカウントは@mafune_kana
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