最高にマイペースな結婚をしよう!

【真船佳奈】#5 嫉妬心とうまく付き合うために夫のパンツを作った話〈前編〉

telling,の人気企画「ぼっち旅」シリーズの作者で現役テレビ局員の真船佳奈さんの結婚式までの道のりを、ご本人によるリアルタイムドキュメンタリー形式で追っていく連載「最高にマイペースな結婚をしよう!」。前回、は結婚を機に「自虐」を大掃除した真船さんですが、今回のテーマはもう一つ、真船さんが2020年に「断捨離」したいと願う感情「嫉妬」。夫への愛をコントロールできず「嫉妬の鬼」と化した真船さんが思いついた意外すぎる手段とは――。
【真船佳奈】#4 今年末こそ大掃除したい恐ろしき自虐癖 【真船佳奈】#6 嫉妬心とうまく付き合うために夫のパンツを作った話〈後編〉

浮気という概念

私は夫のことが大好きである。結婚したんだから浮気は一生するなよと思っているし、私以外の女に鼻の下を伸ばさないでくれと思う(私に対して伸びたのをまだ一度も確認していないが)。ここら辺の独占欲は程度の差こそあれ人類共通の感情と言えるだろう。

さてこの「程度の差」、要は「浮気のラインって一体どこだと思いますか?」という話をしたい。
① 男女複数ずつで飲む
② LINEなどで個人的なやり取りをする
③ 二人でお茶をする
④ 二人で飲みに行く
⑤キス
⑥セックス
夫婦において法的な「浮気」のラインは⑥以上。⑥以上って何なんだろう、一周回って縁側で茶をすするとか?ともかく最高レベルが、⑥。
一方で「嫌だなあ」と思う気持ちの線引きのほとんどは、②〜④の間で行われていると思われる。

私は心が狭いので、①ですら、シチュエーション次第ではモヤモヤしてしまう。
仕事関係の相手や長年の友達が相手だったり、5人以上のグループで飲んだりワイワイしている分には全然いいけれど、飲み屋で出会った女が相手だったり男女2対2の合コンみたいな飲み会だったらもうめっちゃくちゃ嫌だ。

この話をすると「若いねえ(笑)」とか「新婚っぽいねえ(笑)」と鼻で笑われることも多いが、私は物心ついてからずっとミジンコ並みに心の容量が小さいので今後90歳くらいになっても嫉妬で怒り狂ってる自信があるし、夫への熱量が現状高めなのは否めないが、たとえ低体温な関係になろうとも他人にとられたらゴミでも惜しいケチ女である。

一方で夫は独身の友人も多く、大の酒好きで飲みに行くことも多い。
交際時に彼から言われた唯一のお願いは「酒を飲むことで人脈や情報を得て仕事に生かす側面もあるので(※夫の仕事は情報屋さん的な側面がある)、そこに関しては寛容にしてほしい」だった。(そうだよなあ私も飲み会あるし酒は楽しいよなあ)と基本的に飲みの予定に対しうるさく言うことはなかった。

しかし最近、関係が家族に変わりつつある中で落ち着いていた嫉妬心がムクムクと芽生えてきた。

そもそもお互いの勤務時間が真反対で生活リズムも合わないので一緒に暮らしているといえど夫が何をしているかわからない時間が長すぎる(仕事だよ)。

そんで、友達の数が絶滅危惧種トキの個体数の3分の1くらいしかいない私と違い、夫は交友関係が広い。その中にはびっくりするほど可愛らしい子もいたりする。さらに、夫はラッコみたいな顔してるから油断していたが、面倒見がいいので精神的に不安定めな女子にめちゃくちゃモテるんだよな。

考えれば考えるほど(え…家で腹出してガーガー寝てるだけの私圧倒的不利じゃない…?)と不安になってきた。不安になると多分何でもない飲み会でも遅い帰宅も何もかもが怪しく見えてきて、しまいには浮気をしている夫に煮えたぎった味噌汁をぶちまける夢まで見た。
夢の中ですら手口が古典的。レディコミの読みすぎである。

妙に具体的な夢で、具はわかめと豆腐だった。simple is best.

嫉妬レベルは歩み寄れるものではない

怒りをため込んでも仕方ないので、夫に対して不安をぶつけてみることにした。
すると予想外の反応が返ってきた。

「なんで? 女の子からただ相談を受けるだけでもダメなの?」

そんなラッコみたいな顔で言われたら、(ほんとだよな、なんでダメなんだろうな)って気持ちになってくる。夫にとっておそらく浮気とは⑤のキスから先の肉体的接触であり、今まで通り女友達とLINEしたり飲んだりするのは全然(そして実際)やましいことでも何でもない。

一方で私は男の友達などいたことがない上にレディコミの読みすぎなので「相談」を装ってエロいことになっちゃう想像しかできない人間である。心が狭いと言われようと夫がかわいそうと言われようと、「相談ならスカイプで面談枠設けてやりな!電話法律相談みたいなノリでやってくれ! いい感じのおしゃれなバーでやってくれるな!」と言ってしまう意地悪ばあさんなのは今後も変わらないであろう。

もうこの独占欲レベルに関してはどれだけ話し合いをしても、どちらかが歩み寄っても無駄だというのが持論だ。だってこの感覚って30年かけて培われた固有のものだし、そんな簡単に治るならオペラ座の怪人もあんなに人殺さなくない?歩み寄ったフリしても結局どっちかが不安だったり窮屈じゃない?

もう人間としての構造が違うから、歩み寄り(=どっちかが無理する)のってそう簡単じゃないなあと思う

彼の携帯電話を鍋で煮たり女と会うなと言ったりするのは本意ではないし、そんな妻にはなりたくない。

でも、嫌なものは嫌だからじっと耐えてモヤモヤし続けるなんて無理。そんな私の思いついた方法が、「彼のパンツを作ること」だった。

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【真船佳奈】#4 今年末こそ大掃除したい恐ろしき自虐癖 【真船佳奈】#6 嫉妬心とうまく付き合うために夫のパンツを作った話〈後編〉
テレビ東京社員(現在BSテレ東 編成部出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。ツイッターアカウントは@mafune_kana
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