上野樹里「監察医 朝顔」最終話。桑原と朝顔の結婚式「今日のこと、忘れたくないな」
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- 前回はこちら:上野樹里「監察医 朝顔」18話。じいじ、つぐみを忘れる。残された時間は少ないの?今夜最終回
平、最後の捜査協力。未解決事件のゆくえは
森本(森本慎太郎)が刺された。かなり重傷らしい。意識を失う前に森本が「頬に傷……」と言い残している。犯人は2011年1月に起きた三田村一家惨殺事件の犯人と同一人物かもしれない。
平(時任三郎)にとって森本は刑事時代最後の相棒だった。平は朝顔(上野樹里)に「現場に行きたい」と頼む。
翌日、平は山倉(戸次重幸)と捜査本部へ向かった。
「記憶があるうちに役に立ちたいんです」
という平を捜査本部は歓迎する。
桑原は五十嵐(松角洋平)と共に三田村一家惨殺事件の容疑者として一度逮捕されたが証拠不十分で不起訴となった市川(平原テツ)を改めて取り調べる。
「何度も何度も顔に火傷があるだけで殺人犯に疑われた俺の人生どうしてくれるんだ。人を殺したかもしれないと思われた瞬間に普通に暮らしていくなんて無理なんだよ!」
冤罪。市川の訴えを桑原と五十嵐は本心だと感じ取った。平が当時ノートに「本当に知人の犯行か?」とメモした刑事の勘とも一致した。
さらに翌日。横浜市の小学校に刃物を持った男が押し入ったというニュースが飛び込んでくる。登校中の子供たちを身を呈して守ったボランティアの男性と教師の2名が死亡。ご遺体は興雲大学法医学教室に運び込まれた。
一方、桑原・山倉・岡島(斉藤陽一郎)は現場で犯人を懸命に探していた。
血痕を辿り桑原が犯人(EXITりんたろー。)を発見。桑原が拳銃を構えるシーンでは第6~7話の射殺事件や漫画原作の犬井との対決を思い出しドキドキしてしまった。桑原は拳銃を発砲する事もなく、犯人は無事、桑原・山倉・岡島の見事な連携で確保される。
犯人の北村力也は先日の柴山さん殺害を自供。しかし三田村一家惨殺事件に関しては模倣犯だった。海外で、ある日本人の男から昔一家を殺害したと聞き、それと同じ手口ならバレないと思ったらしい。頬の傷(火傷)も三田村一家惨殺事件の犯人の身体的特徴を真似てパーティーグッズのフェイクシールを貼ったものだった。
今回亡くなったうちの一人、宇賀神秀樹さんは先天性の心臓病で子供の頃に心臓移植を受けていた。
宇賀神さんのご両親は
「本当に申し訳ないんです。心臓を提供してくださったお子さんの親御さんはきっと秀樹が生きていることが希望だったと思いますから」
と悔しさを滲ませる。後日、宇賀神さんの両親がドナーの両親に
「心臓だけ別に荼毘に付しませんか」
と提案する。ドナーの両親も複雑ながら正しい心を持った青年の中で娘の心臓がこれまで生きたことを喜んでいるようだった。
三田村一家惨殺事件は未解決。
現実にはこのように未解決事件があって、刑事や法医が悔しい思いをしながら解決しようと日々頑張っている……というメッセージなのかもしれない。
しかしそこはドラマの最終回、平がボケてしまう前にスッキリ解決して欲しかったとも思ってしまう。
桑原と朝顔の結婚式「今日のこと、忘れたくないな」
結婚式を3月11日に挙げることにした桑原と朝顔。
「せめて今年の3月11日だけでも父さんに少しでも明るい思いで過ごして欲しい」という朝顔の思いが込められている。
挙式ではつぐみ(加藤柚凪)がフラワーガール。はしゃいだ様子が可愛らしい。
朝顔の持っているブーケは白とピンク。朝顔の白ドレスだけではなくつぐみのピンクのドレスともコーディネートしたのかもしれない。
母・里子(石田ひかり)と祖父(柄本明)の写真も平の膝の上で挙式を見守っていた。
当初身内だけでと考えていた披露宴も茶子先生の呼びかけでお互いの職場の仲間も参加する形に。テーブル5卓。アットホームな雰囲気が漂う。
桑原家の父のスピーチの後、万木家・平のスピーチが始まった。
「私は今、アドリブを言ったり長い文章を組み立てたりするのが難しい状況です。不格好になることをお許しください」
スピーチは事前に茶子(山口智子)に手伝ってもらいながら考えてきたものだ。
「良い父親じゃなかったんです、私。妻が亡くなってからやっと焦って父親っぽいことをし始めただけで妻が娘を大きくしてくれたというか気づいたら一瞬で育ってました」
平はスピーチの中で、自分が仕事人間だったことを悔やむ。仕事仕事で家に帰らない日が続いたこと、娘の入学式や卒業式などにも参加したことがないこと。旅行の計画があっても仕事が入ればそちらを優先したこと。平と同世代の父親は、刑事じゃなくてもそういう人多いんじゃないだろうか。
「ですから私は刑事との結婚は反対でした。それなのに娘はなぜか夫に刑事を選びました。ただ、娘が選んだ刑事は嘘みたいに良くできた婿でした」「あまりに良くできた婿なので絶対裏があると思い、何度か尾行しました。……ウソです」
ユーモアも交えながら、桑原と朝顔、そして孫のつぐみのおかげで「毎日が楽しいんです。幸せです」と語る。
最後、ポツリと呟いた「今日のこと、忘れたくないな」という言葉がせつない。
一年後。
つぐみの卒園式。
平の認知症はかなり進行している様子で、朝顔が「よかったね、今日来れて」「つぐみもうすぐ出てくるからね」と話しかけても反応が薄い。
つぐみが歌う合唱曲は「マイ・ウェイ」。園児が歌うにはずいぶん渋い選曲だが朝顔かつぐみが園にリクエストしたのだろうか。
聞きながら少しづつ平の表情が柔らかくなっていく。マイ・ウェイは朝顔の母・里子が高校時代合唱部でピアノを弾いた曲だ。家族揃って母のカセットを聴いた時のこと(第14話)を思い出しているようだった。
つぐみを見ながら「かわいいな」と目を細め、朝顔が抱く二人目の孫さとみにも愛おしそうに手を伸ばす。
2クールにわたって放送された「監察医 朝顔」最後は朝顔のこんな言葉で締められた。
「生きていると悲しいこと辛いこともあるし幸せなことばかりじゃないけど、それでも私たちはこの世界で生きていく。この世界で」
命と家族に真剣に向き合ったこのドラマ。これからもずっと心に残り続けることになりそうだ。
■「監察医 朝顔」全話レビュー
1:上野樹里「監察医 朝顔」1話。2019年の傑作の続編。どうか普通の幸せが続いてくれ、どうか
2:上野樹里「監察医 朝顔」2話。大じいじ(柄本明)が持っていた歯は?家族に言えない秘密が
3:上野樹里「監察医 朝顔」3話「じぃちゃん朝顔に黙っていたことがある」事実を受容するということ
4:上野樹里「監察医 朝顔」4話。桑原くん、浮気なんかしてないですよね?
5:上野樹里「監察医 朝顔」5話「その銃を捨てなさい!銃を捨てろ!!」またも衝撃の風間俊介
6:上野樹里「監察医 朝顔」6話。容疑者になった桑原。何もかもが不利、無実は証明できる?
7:上野樹里「監察医 朝顔」難事件解決、おかえり桑原くん、第1章完結
8:上野樹里「監察医 朝顔」桑原(風間俊介)にも入れなかった万木家の領域。新章・孤独編
9:上野樹里「監察医 朝顔」9話。天国に繋がる電話、祖父(柄本明)から預かった歯。終わらない震災
SP:上野樹里「監察医 朝顔」新春スペシャル「教えてください、お願いします」と祈る理由、朝顔新人時代
10:上野樹里「監察医 朝顔」10話 妊娠中、夫が感染症で死んでしまったら……妊婦のショック、恐怖
11:上野樹里「監察医 朝顔」11話 桑原くん良かった……どこに行くのつぐみちゃん!
12:上野樹里「監察医 朝顔」12話。理想の夫、桑原くん「辛い時、大変な時にそばにいるために結婚したんだよ」
13:上野樹里「監察医 朝顔」13話「あなたはまだ間に合う。あなたは生きているからまだ間に合う」
14:上野樹里「監察医 朝顔」14話。お父さん、おかえり!孤独編完結
15:上野樹里「監察医 朝顔」15話「僕がお父さんのこと覚えてるから大丈夫」認知症の父への桑原くん(風間俊介)のことばに泣く。家族の時間編スタート
16:上野樹里「監察医 朝顔」16話「僕の町にもまだ見つからない人がいます」東日本大震災から10年
17:上野樹里「監察医 朝顔」17話。大じいじ「里子、青森にいたのか。ずいぶん遠いところまで行ったなぁ」
18:上野樹里「監察医 朝顔」18話。じいじ、つぐみを忘れる。残された時間は少ないの?今夜最終回
『監察医 朝顔』
フジテレビ系列 毎週月曜よる9時
原作:香川まさひと、漫画:木村直巳、監修:佐藤喜宣 「監察医 朝顔」 (実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
演出:平野 眞、阿部雅和、三橋利行
プロデュース:金城綾香
主題歌:折坂悠太「朝顔」(Less+Project.)
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES)、藤原季節、斉藤陽一郎、坂ノ上茜、田川隼嗣、宮本茉由、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、加藤柚凪 、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、杉本哲太、板尾創路、山口智子、柄本明ほか
https://www.fujitv.co.jp/asagao2/
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