上野樹里「監察医 朝顔」3話「じぃちゃん朝顔に黙っていたことがある」事実を受容するということ

上野樹里主演のドラマ「監察医 朝顔」。2019年に放送された続編的新作で月9史上初の2クール連続放送されます。法医学者・万木朝顔が解剖を通して、真実を明かしていくヒューマンドラマ。東日本大震災で母を亡くした朝顔。亡くなったのを受け入れる難しさを知る朝顔に待っていることとは…

「本当にあれは父なんですよね?」

興雲大学の法医学教室に運び込まれたご遺体は完全にミイラ化していた。そのため手がかりが極端に少ない。
発見時のご遺体はタキシードに蝶ネクタイという特徴的な格好。警察は20年前の指名手配犯ではないかと睨んでいたがその読みはあっさり外れた。
朝顔(上野樹里)たちは歯や飲んでいた薬、付着していた虫から身元を特定する。ごく普通の60代男性で、吉野紀夫さんという方だった。

身元確認に訪れた吉野さんの娘・吉野佳奈(佐久間由衣)に朝顔が声をかける。
「ご遺体は完全に乾燥していてミイラ化されています。どのようにお感じになっても私たちは必ずそばにいますので」
ショックを受けるかもしれないご遺族に寄り添う言葉。朝顔らしい優しい言葉だ。

佳奈によると亡くなったお父さんはタキシードを着るような人ではなかったそうだ。「本当にあれは父なんですよね?」と腑に落ちていない表情を浮かべる佳奈。朝顔は再度、休日返上で吉野さんのことを調べることにする。

後日。朝顔と茶子は佳奈を高級レストランに呼び出す。
お父さんの死因はとうとう分からずじまいだったが、一つだけ分かったことがあった。それは「吉野さんは亡くなる前、ここで食事をされた」ということ。さらにレストランの支配人が吉野さんのことを覚えていた。女性と和やかにデートしていたという。奥さんは20年前に亡くなっているので新たな恋をしていても不思議はない。しかし娘は知らなかった。茶子が前に言った「私たちの仕事はプライベートに立ち入ることではありません」という言葉がよぎる。
しかし佳奈はようやくホッとしたような柔らかい表情を浮かべた。

彼女が帰った後朝顔が呟く。
「どんな事実もみんなが父のように受け入れられるとは限らないんですよね」
津波で母が亡くなったことをなかなか受け入れることができなかった経験を持つ朝顔。朝顔からは、平は母の死を受け入れているように見えているのか。果たしてそうだろうか? 父の平(時任三郎)はいまだに手がかりを探したり引越しを考えていたりする。

祖父が黙っていたこととは?

祖父(柄本明)宅に行くはずだった休日を吉野さん親子のために使った朝顔。
祖父自身が「来なくていい」と断ったせいもあるのだけれど。

電話で「次の休みはやっぱりそっちに行っていいかな」と聞く。
「ごめんな朝顔。そうじゃないんだ。いや、だから来るなって言ってるんじゃないんだ」
「じゃなんで?」
「朝顔。じぃちゃん朝顔に黙っていたことがある」
祖父の手元にはハンカチに包まれた一本の歯。やはり母のご遺体はすでに見つかっている……?

次回はこちら:上野樹里「監察医 朝顔」4話。桑原くん、浮気なんかしてないですよね?

■監察医 朝顔

1:上野樹里「監察医 朝顔」1話。2019年の傑作の続編。どうか普通の幸せが続いてくれ、どうか
2:上野樹里「監察医 朝顔」2話。大じいじ(柄本明)が持っていた歯は?家族に言えない秘密が

フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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