有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」4話「年を重ねたことを劣化とかいいやがって、冗談じゃないから」

有村架純主演のドラマ「姉ちゃんの恋人」。ホームセンターで働き、若くして事故で亡くなった両親の代わりに3人の弟を養う"肝っ玉姉ちゃん"桃子(有村架純)。桃子と同じ職場で配送の仕事をし、過去に起こした事件を悔いながら母とともにひっそりと生きる真人(林遣都)。なかなか進展しない二人。いよいよダブルデートの日を迎えますが……。

お互いを思い合う世界の穏やかさ

ダブルデートを控えた桃子(有村架純)と真人(林遣都)、日南子(小池栄子)と悟志(藤木直人)。桃子は三人の弟に、恋をしていることを報告する。「そいつ、絶対に姉ちゃんを泣かせない?」と心配で涙ぐむ弟たち。いちばん上の弟である和輝(髙橋海人)はかねてから好意を寄せていた桃子の親友・みゆき(奈緒)に改めて告白し、「恋人を前提とした仲良し」の関係に。真人はダブルデートを前に、過去の事件を思い出す。

桃子が恋していることを弟たちに告げる場面。桃子姉弟は恒例行事のように、月の収支や学業の成果、バイトの予定などを報告しあう。いちばん下の弟、中学生である朝輝(南出凌嘉)でさえ、誘われたサッカーチームに入った場合にかかる金額の概算をきっちりと出した上で姉に入っていいかどうかを相談する。

久々の恋に頭がいっぱいで失敗を重ねてしまい、そのことを同僚の前で詫びる日南子。ホームセンターの同僚たちは彼女を受け入れ、助け合おうとし、その幸せを願う。また、ダブルデートを前に言いたいことを言えずにいる真人に、母・貴子(和久井映見)は「言いたくないことができるのはいいこと」とむしろ喜ぼうとする。

10代の男子が3人揃って、何の歪みもなく家族のこと、互いのことを一番に想う家庭。同僚の失敗を許し、恋を応援する職場。前科ある息子に適度な距離で寄り添い、彼の幸せを心から願う母と、その思いをちゃんと受け止める息子。報われないことの多い世の中で、こんなふうに理解のある人ばかりが周りにいるなんてファンタジーだけど、だからこそ、週に1時間の娯楽としてこのドラマは機能しているのだろう。

まわりを肯定し、救う姉弟

「姉ちゃんの恋人」は、なるべく多くの人を肯定しようとしているように見える。

和輝がみゆきに「付き合おう?」と言ったとき、みゆきは早口長文で尻込みする。
イケメン年下との交際はみゆきからしてみれば「受け入れちゃいけない幸せ」「神様に申し訳が立たない」「バチが当たるような気がする」。さらに、年上の男性は若い女性と付き合っていると本人も自慢げだし周りも羨望の眼差しで見るが、男女が逆転すると否定的に捉えられるという話をしたみゆきは「……みたいな感じになるのはなぜですか?」とカメラ目線でこちらに問いかける。和輝はめげずに迫って、みゆきが気にしている"世間の常識"から彼女をちょっと解き放つ。

ダブルデート当日、路上駐車のミラーで服装を整える日南子。しかしその車には人が乗っていた。慌てる姿を桃子に目撃され、「イタイ感じだった?」と問う日南子に、「かわいかった」と返す桃子。そこから一気に「年齢をそれなりに重ねた人がはしゃいだりするとイタイっていうけど、何が悪いんですか」「年を重ねたことを劣化とかいいやがって、冗談じゃないから」とまくしたてる。これも、日南子を救う言葉だ。

真人の過去の事件は、街でぶつかっただけで恋人を犯そうとした男たちに暴力を振るったというものだった。過剰防衛で相手に怪我をさせたこと自体ではなく、命がけで救った彼女に「自分は犯されていない」と証言され、裏切られたことに真人は傷ついている。存在を否定されたことがもっとも大きな傷になっている。桃子は真人を肯定し、彼を救うことができるだろうか。

「いい人しか出てこない」と書いたけれど、4話ラスト、桃子と真人が一緒にいるところを目撃した桃子の親戚であり真人の保護司、川上(光石研)の表情は複雑だった。5話以降、彼が二人の新たな障壁になるのかもしれない。

■「姉ちゃんの恋人」

1:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」1話。コロナ禍の今と似ている!2020年の私たちのささやかな幸せ

2:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」2話。家族だからこその気持ちと反対の会話

3:有村架純×林遣都「姉ちゃんの恋人」3話。誰かに気にかけられる、その瞬間があることが幸せ

ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
漫画家・イラストレーター。著書に『ものするひと』『いのまま 』など。趣味は自炊。
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