上野樹里「監察医 朝顔」桑原(風間俊介)にも入れなかった万木家の領域。新章・孤独編

上野樹里主演のドラマ「監察医 朝顔」。2019年に放送された続編的新作で月9史上初の2クール連続放送されます。12月21日放送分から新章・孤独編がスタート。父・平(時任三郎)は母の実家へ移住、夫・桑原(風間俊介)は長野へ異動になり、家族が離ればなれに。そんななかに、法医学教室に依頼があったのは自殺の可能性がある男性の遺体。茶子(山口智子)とのつながりとは。

新しい生活がスタート

平(時任三郎)は行方不明の妻の手がかりを探すため妻の実家へ移住。義父(柄本明)のお見舞いにも頻繁に通っているようだ。

捜査一課の刑事だった桑原(風間俊介)も長野へ異動となり、交番勤務に。「ほとぼりが冷めるまでの研修」だそうだ。第6~7話で田村聖奈さんの交際相手に威嚇射撃を行わなかったことが問題になったのだろうか。

引っ越し当日から万木家を恋しがる桑原。結婚して一緒に住むことになった時は平も朝顔もすぐに受け入れてくれて、最初から全然気を使わなかったと話す。そういえば婚約中すでにパンツ一丁で酔いつぶれちゃうリラックスっぷりだったっけ。
しかしそんな桑原にも入れない万木家の領域があった。
「お母さんのことだけは未だに分かんない。(中略)想像はできるけどその想像は全然足りない。全然追いつかない。
でも家族だからさ。なんか言えなくてもずっとそばには居てあげられると思ったんだよね」

想像はできるけど、追いつかない。私も東日本大震災に対してそういう思いだ。ニュース映像は見た。でも全く想像は追いついていない。実際被災した人の話を聞いたり本を読んだりするとニュース映像がテレビで流せる範囲のものだったことを痛感する。

つぐみがお泊まり保育で居なかった夜ごはんはとても寂しい風景だった。タッパーに入ったままのきんぴらと煮物。みんなが居た頃なら大皿に盛られていただろう。誰かと食べたいと思いながらひとりで食べるごはんって結構寂しい。

「この人、一瞬でもそのことを思い出したんですかね」

法医学教室に解剖の依頼が入る。死因は自殺。その男性は30年前に茶子が解剖した6歳の女の子のお父さん、浅野忠だった。
当時、犯人の名前を取って「仲井戸修事件」と呼ばれた有名な事件。幼い子供がバラバラに切断され遺棄されるという凄惨なものだった。
「ご遺体の一部が発見されるたびに忠さんが確認にいらして……」
忠さんの心中を想像すると胸が張り裂けそうだ。同じ年頃の子供を持つ朝顔も辛いようだった。

数日後、また別のご遺体が運び込まれる。それは犯人の仲井戸修だった。
爪に残っていた皮膚片や状況などから、忠が仲井戸を殺害した数日後自殺したことが判明した。

忠の息子がご遺体引き取りのため法医学教室にやってくる。
「父の髪を黒く染めて欲しい」忠の息子は朝顔たちに願いを託す。「向こうに行った時に栞里ちゃんがお父さんだと気づくように」という思いだった。
そんな優しい息子が来月結婚式が控えていたけれど破談になるだろうと話す。
「この人、一瞬でもそのことを思い出したんですかね」この一言がなんともやるせない。

里子ちゃんに繫がる公衆電話

食堂を営む美幸(大竹しのぶ)。里子とは中学~高校の同級生だったそう。
平の義父(柄本明)に続き、平もまた常連となりつつあるようだ。

閉店後、ひとり美幸は店内に設置された公衆電話で電話をかける。
「もしもし、私。美幸。里子ちゃん、あのね……」

■監察医 朝顔

1:上野樹里「監察医 朝顔」1話。2019年の傑作の続編。どうか普通の幸せが続いてくれ、どうか

2:上野樹里「監察医 朝顔」2話。大じいじ(柄本明)が持っていた歯は?家族に言えない秘密が

3:上野樹里「監察医 朝顔」3話「じぃちゃん朝顔に黙っていたことがある」事実を受容するということ

4:上野樹里「監察医 朝顔」4話。桑原くん、浮気なんかしてないですよね?

5:上野樹里「監察医 朝顔」5話「その銃を捨てなさい!銃を捨てろ!!」またも衝撃の風間俊介

6:上野樹里「監察医 朝顔」6話。容疑者になった桑原。何もかもが不利、無実は証明できる?

7:上野樹里「監察医 朝顔」難事件解決、おかえり桑原くん、第1章完結

フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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