「青天を衝け」全話レビュー

「青天を衝け」6話「胸がぐるぐるする!」恋愛感情の目覚めに戸惑う吉沢亮、半裸で悶える

吉沢亮主演NHK大河ドラマ『青天を衝け』。「日本資本主義の父」とも称され、幕末から明治を駆け抜けた実業家・渋沢栄一を主人公に物語が進みます。渋沢栄一(吉沢亮)、徳川慶喜(草彅剛)それぞれの恋愛事情が描かれた6話を振り返ります。

吉沢亮主演、大森美香脚本の大河ドラマ「青天を衝け」第6話。
アメリカやイギリスが、開国に次いで通商までもをグイグイ迫ってきて幕府が揺れる中、渋沢栄一(吉沢亮)、徳川慶喜(草彅剛)それぞれの恋愛事情が描かれた。

鈍感すぎる栄一が半裸で悶える

これまでも栄一と千代(橋本愛)の恋愛フラグはちょいちょい描かれてきた。
議論に夢中になって床で寝てしまった栄一の寝顔を見つめる千代がドキッ!  目覚めた栄一と目が合ってトゥクンッ……。
千代はかなり前から意識していそうだが、栄一の方は「お千代の顔をあれほど間近で見たのははじめてだ~」くらいの反応だった。

今回、剣の修行でアイツは強いのオレは弱いのとガキ丸出しのことを言っている栄一の鈍感さに業を煮やしたのか、千代が思わずスゴイことを口走ってしまう。

「千代はそんな栄一さんをお慕い申しておるんだに!」

これもう告白じゃん!
ここまで言われても栄一はポカーンとして「何だか胸がぐるぐるする……」と悶えるばかり。この頃の栄一はおそらく16~7歳。恋愛感情の目覚めまであと一歩というところか。
栄一の鈍感っぷりに反して、半裸でクネクネする吉沢亮はどエロく、フェロモン全開だったが。
たたみかけるように、熱燗をこぼしてしまった栄一の手を握りしめる千代。ドッキーン!
完全なるラブコメ展開なのに、栄一の反応は、

「さ……触んな」

男子小学生か! 対する千代は、完全に恋する乙女の顔になっていた。

いとこの喜作が恋のライバル

恋愛への目覚めとともに、はやくも両想いが成立しているふたりだが、そこは江戸時代。すんなりと結ばれるわけにはいかなそうだ。
千代の兄・尾高惇忠(田辺誠一)は、

「お千代はオレら尾高の大事な妹だで。長七郎(満島真之介)に剣で勝った者にしかやれねえのう」

なんて厄介な条件を出していた。
長七郎の実力は、江戸の北辰一刀流・千葉道場で塾頭を務める真田範之助(板橋駿谷)を打ち負かすほど。これから江戸へ修行に出るというし、ハードルは高くなるばかりだ。
それでもいとこの渋沢喜作(高良健吾)は、

「江戸から戻ったらオレと勝負してくれ。お前に勝って、お千代を嫁にもらいてえ!」

と、結婚相手候補に名乗りを上げる。
この言葉を聞いて、さすがの栄一も自分の恋愛感情に気が付いたようだ。青春……ではあるけど、千代の意志とは無関係に結婚話が進められる江戸時代、恐ろしい。
ジェンダー関係で色々炎上している今見るとモヤモヤしてしまう。

慶喜と義母の関係に妻・美賀君がジェラシー爆発

一方、徳川慶喜は将軍の後継者候補だけあって、恋愛結婚する余地はない。
父・斉昭(竹中直人)の勧める美賀君(川栄李奈)と結婚したものの、そもそも慶喜と婚約していたのは美賀君の義妹・千代君。病にかかってしまったため、急遽身代わりとして美賀君がやって来たのだ。

もはや恋愛もクソもない。
しかも、この美賀君がなかなかにエキセントリックな妻のようだ。
慶喜が義母・徳信院と仲良くしていることに嫉妬して大暴れ。短刀を持ち出すわ、コーフンしすぎて気を失うわ……。ちょっとクレイジーにもほどがあるという感じで描かれていた。

唐突すぎる美賀君のご乱心だが、慶喜、美賀君、徳信院の関係性を踏まえていないと分かりづらいので解説しよう。
慶喜が11歳で一橋家へ養子に入った時、徳信院の夫・徳川慶壽は既に亡くなっていた。義母とはいえ、慶喜と徳信院の年齢差は7歳。実質、姉弟のような関係だったようだ。
慶喜が19歳で結婚した時、徳信院は26歳、美賀君が21歳。
母子と呼ぶには無理のある年齢差、しかも未亡人ともなれば、妙に親密な慶喜と徳信院に美賀君がジェラシーを爆発させたとしても無理はないだろう。

史実でも、慶喜と徳信院の関係は周囲から「あり得ない話ではない」程度には怪しまれていたようで、夫婦関係の上手くいかない美賀君が自殺未遂を起こしている。

栄一と慶喜の出会いはまさかの連れション!

今回、恋愛エピソードとともに渋沢栄一と徳川慶喜の出会いも描かれた。

実際にふたりが会うのはまだだいぶ先のはずだが、メインとなるふたりがいつまでも出会わないとドラマ的につらいという判断なのだろうか。
上州か信州に向かう途中の栄一が立ちションしているところに、たまたま慶喜が通りがかるという唐突すぎる出会い。

徳川のお偉方の前で立ちションとは、首を切られても仕方ないようなシチュエーション。しかし慶喜は「かまわぬ」と隣に立ち、連れションをはじめた。
食事のたび、農人形に米粒を供えて農民への感謝を忘れないようにしている慶喜だけに、慌てる農民に気を遣わせないようにとの配慮だったのだろう。それにしても、いきなり連れションとはフランクすぎだ。

大河ドラマにおいて立ちションは重要なポイントでたびたび登場している。
「真田丸」では、豊臣秀吉(小日向文世)が徳川家康(内野聖陽)と連れションしながら、故郷の駿府から江戸への国替えを迫っている(いわゆる「関東の連れしょうべん」)。
「独眼竜政宗」では、豊臣秀吉(勝新太郎)に謁見した伊達政宗(渡辺謙)が、自分に小太刀を預けて無防備に立ちションをする秀吉を見て格の違いを思い知らされていた。
いずれも権力者(というか両方とも秀吉だけど)が目下の者に余裕を見せつけマウントを取る手段として立ちションを利用している。

今回の連れションはそれとは違い、慶喜の寛容さを表現しているのだろう。
将軍になって欲しいと期待をかけてくる周囲の人間に対しても、ご乱心の美賀君に対しても、なかなか感情を見せない慶喜が、栄一と連れションしながら二ヤッと、妙に色気のある笑みを浮かべていたのが印象的だった。

この連れションが縁で、後の士官につながっていく……わけではないだろうが。

1975年群馬生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れすぎています。
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