「梨泰院クラス」11話。チョ・イソ告白シーンでわかるパク・セロイが恋愛に鈍感な理由

世界最大の動画配信サービス、Netflixで大人気の韓国ドラマ「梨泰院クラス」を全話レビュー。気になるけれどまだ見ていない人はこれを機にチェックしてみては? 恋愛に鈍感すぎるパク・セロイに、ついにチョ・イソが愛の告白をする11話。なぜパク・セロイが恋愛に鈍感なのか、その理由を考察します。

ついにチョ・イソの愛の告白

パク・セロイは、恋愛に関して鈍感だ。
チョ・イソがここまで露骨にアプローチしているが、その恋心に気づいていない。
その恋愛に無頓着なパク・セロイに、チョ・イソがいよいよ告白する11話。それもめちゃくちゃストレートに。もう鈍感だという言い逃れができないほどにストレートに。
さて、パク・セロイは、どう答えるのか。
告白のシーンから、パク・セロイが恋愛に鈍感な理由も透けてみえてくる。その理由も探ってみよう。

グンスが手に入れたいもの

チャン・デヒの愛人の息子グンスは、長家には居場所がなくて離れていた。
そのグンスが「手に入れたい物ができたんです」と言ってタンバムを辞める。
手に入れたいものというのは、チョ・イソだ。
どんな質問でも真実を答えなければいけない「真実ゲーム」をやってるシーンで、グンスはチョ・イソに確認する。
「僕が長家を継げば付き合うって言ってたよな」
チョ・イソは「うん。でも、あれは…」と反駁しようとするが「質問終わり」とそれを遮る。
社長を愛しているチョ・イソがかつて言った言葉にすがって、グンスは暴走する。
タンバムを辞めて、長家に入るのだ。

「最強の居酒屋」対決

手術が終わってもどってきたヒョニは、テレビ番組「最強の居酒屋」に出場、料理対決。第一回戦で優勝する。長家は2位になる。
グンスは、父であり長家会長であるチャン・デヒに「全国の有名店の中で2位です。何か問題でも? 1位がタンバムだから?」と逆らうように言ってしまう。
デヒ会長は「長家は外食業界の頂点だ。常に1位だから頂点と言える」とたしなめて、叩きつけるようにグンスに言う。
「長家を継ぐ? 代案がないだと? とんでもない。頂点。この2文字のために俺は長男も捨てた。お前など訳ない。下がれ」

タンバムのフランチャイズ計画

タンバムのフランチャイズ計画が持ち上がる。
パク・セロイは1店舗ずつ増やしていこうと考えるが、チョ・イソは今がチャンスだからイッキに増やすべきだと主張する。意見が対立するが、チョ・イソが押す。
「だけど私を信じてください」
「自信はあるか?」
「はい?」
「はい」
「よし、ならやろう」
「いいですけど突然なぜ?」
「信じてるから」
などと屋上で会話して、フランチャイズをイッキに推し進めるために融資を受けることにする。
100憶の融資が決まり、イケイケのタンバム。
「この流れに乗りましょう」

残酷な「真実ゲーム」

テレビ番組「最強の居酒屋」二回戦もタンバムのヒョニが優勝。長家は2位に甘んじる。グンスは追い詰められる。
その心理状態で、打ち上げの「真実ゲーム」である。
グンスは、チョ・イソに「僕が長家を継げば付き合うって言ってたよな」と確認をし、さらにパク・セロイにこう質問する。
「一度でもイソを女として見たことは?」
とんでもない質問に怒るチョ・イソ「あんた…」。
パク・セロイが答える。
「ない。一度もないな。イソは妹でありパートナーだ」
チョ・イソは涙を流す。隠すように席を外す。
「傷ついてますよ。連れ戻して」とヒョニ。
動かないパク・セロイに、「大事ならほっとかないで」。

そして、チョ・イソの告白シーンとなるのだ。
グンスのとんでも質問で、恋の二年計画をぶっこわされたチョ・イソはストレートに告白する決意を固める。。

パク・セロイとチョ・イソ/Netflixオリジナルシリーズ「梨泰院クラス」独占配信中

「私じゃ、絶対ダメですか?」

(今ーーー告白する。心臓が破裂しそう)
「好きです。愛してます。社長を愛してます。愛してる。愛してるの」
ストレート。パク・セロイが鈍感さに逃げないように、何度も繰り返す。
「俺が、家族のようで気楽だから勘違い…」
「勘違いはしません。家族のように思ったことは一度もありません」
パク・セロイの逃げの言葉を封じて、チョ・イソは告白する。
グンスの気持ちを利用したことをパク・セロイが責めても、チョ・イソは逃がなさい。
「分かってます。悪いことだって。理解してとは言わない。それに社長にウソはつきたくない。これが私なんです。だけど社長はイヤがるだろうから、もう悪いことはしません。だからグンスじゃなくて今の私を見てほしいんです」
セロイの「今は仕事が」「年齢差が」というさらなる逃げを封じて、チョ・イソは聞く。
「私じゃ、絶対ダメですか?」
「うん。好きになるな」
雪が降りはじめる。
涙を拭いて、立ち去るチョ・イソ。

パク・セロイはなぜ恋愛に鈍感なのか

最後まで、パク・セロイは自分の気持ちを口にしない。
自分の気持ちではなく、「好きになるな」とチョ・イソに強いる。
なぜだろう?
スアが好きだからか。
だが、もはやパク・セロイの「スアが好き」は恋愛感情のようには描かれてはいない。
その思いは恋心というよりも「ヒヨコが最初に観たものを親だと思う」っていうレベルの思い込みにしか見えない。スアとセロイが会っていても、恋愛のような雰囲気は生まれない。
スアも、そのことには気づいていて「一度も告白したことがない」とパク・セロイを責める(第9話)。
セロイは「拘置所で言っただろ」と答え、「もう10年も前よ」と返される。
「バス停のは?」「私を解き放つっていうのが告白なの?」「あれでも足りないか?」
パク・セロイが「スアを好き」というモチベーションは、もはや「長家を追い越し復讐する」=「長家に巻き込まれたスアを解き放つ」に歪んでいるのだ。

パク・セロイは、「長家を追い越し復讐する」という目的以外のことに関わっていたくないのだ。恋愛は(さらに言えば一緒に働く仲間との恋愛は)、邪魔な要素でしかない。
「長家に巻き込まれたスアを解き放つ」という「恋愛」感情ならば、「長家を追い越し復讐する」という目的と一致する。一致する「恋愛」感情だから、受け入れられているのではないか。

パク・セロイが恋愛に鈍感なのは、セロイ自身の意志でもあるのだろう。

「梨泰院クラス」、あと5話。怒涛のクライマックスに突入していく。次回、第12話は、神回との誉れ高い「最強の居酒屋」対決の決着編だ。

■梨泰院クラス全話レビュー
1:「梨泰院クラス」会長は本当に悪でパク・セロイは本当に正義なのか? 全話徹底レビュースタート
2:「梨泰院クラス」2話。忖度で生み出される格差に抗うパク・セロイ
3:「梨泰院クラス」3話。忖度社会に抗うための第3の方法
4:「梨泰院クラス」4話。パク・セロイとオ・スアとチョ・イソの恋のトライアングルバトル勃発
5:「梨泰院クラス」5話。パク・セロイとオ・スアのキスにチョ・イソディフェンス発動
6:「梨泰院クラス」6話。最大の疑問。パク・セロイはなぜオ・スアをタンバムに呼ばなかったのか
7:「梨泰院クラス」7話。パク・セロイ、会長に宣戦布告、土下座して罪を償え
8:「梨泰院クラス」8話。大金を得たセロイは、なぜ会長のようにならないのか
9:「梨泰院クラス」9話。パク・セロイ、オ・スア、チョ・イソの恋と権力のトライアングル
10:「梨泰院クラス」10話。権力か家族か。決断を迫られる会長、迫るセロイ

「梨泰院クラス」
演出:キム・ソンユン
原作脚本:クァンジン
キャスト:パク・ソジュン パク・セロイ役、キム・ダミ チョ・イソ役、ユ・ジェミョン チャン・デヒ役、アン・ボヒョン チャン・グンウォン役、クォン・ナラ オ・スア役、キム・ヘウン カン・ミョンジョン役、イ・デビッド イ・ホジン役、ソン・ヒョンジュ パク・ソンヨル役、ユン・ギョンホ オ・ビョンホン役
オープニング曲:ハ・ヒョヌ「Stone」
エンディング曲:Gaho「Start」

ゲーム作家。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「はぁって言うゲーム」「記憶交換ノ儀式」等。デジタルハリウッド大学教授。池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」の道場主。
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