最高に楽しいぼっち旅をしよう!

【真船佳奈】#0後編 映えない、孤独、飲食店難民、ぼっち税…ぼっち旅デメリット4選【ぼっち旅】

telling,の人気連載「“親指レディ”OLサム子」の作者、真船佳奈さん。そもそもなんでぼっち旅をするのか、を前編で綴っていただきました。後編では、あえてぼっち旅のデメリットをあげていきます。これらのデメリットを超えるくらいの楽しさが、ぼっち旅にはあるんだぜ!という前振りです……よね?

●#0 ぼっち旅って、結局楽しいのかどうなのか〈後編〉

「一人で旅行って楽しいの?」と聞かれたら、この記事のリンクを送ってお返事できるように、メリット・デメリットを挙げていきたいと前編では書いた。

先に、デメリットを挙げる。ぼっち旅を志す友人たちに間違ってもこのリンクを送らないようにしてほしい。

サラダを一緒に食べた日が記念日になる事も永久にない

【デメリット1】咳をしても一人
何かの歌の歌詞に「孤独とは言い換えれば自由」という言葉があった。
一人旅は限りなく自由である。そもそも誰かに気を遣う事もないし、予定を合わせて何かを諦める必要もない。寝坊魔の私を叱る人もいない。
しかしながら当然会話をする人もいないので、「自由とは言い換えれば孤独」状態である。
旅先で出会った悔しいことを一緒に笑い飛ばしてくれる人もいなければ、サラダを一緒に食べた日が記念日になる事も永久にない。
そんな孤独の放浪を「楽しいの?」と問われると、論破する自信がないので「瀬戸内寂聴さんも死ぬときは人間みんな一人って言ってたよ」と言うと大抵会話のラリーは止まる。

【デメリット2】写真の画角が全てブレアウィッチプロジェクトと同ポジになる
旅という一過性の出来事にお金をかけるなら、せめて記録をしておきたいと思うのは当然の気持ちだ。
SNSが発達した近年では「映えたい」一心で旅先をチョイスする人も少なくないと思う。
長期休みシーズンになると、「#ウユニ塩湖 #最高の旅 #ズッ友 #この瞬間は永遠 #明日から会社戻れるか不安」みたいなハッシュタグとともに、夕日を背にして5人組くらいで飛び跳ねている瞬間の写真が挙げられている。正直心底羨ましい。
なぜならぼっち旅は、写真をとってくれる人はいないため、自撮りが基本。
画角が全部「ブレアウィッチプロジェクト風」になるのである。

しかしこのデメリットに打ち勝つ方法はたくさんあるので、いつかの記事でご紹介していこう。

ぼっち飯がつらいって? 自分はスパイと思い込め

【デメリット3】ぼっち飯ゾーンが結構限られる
このデメリット3が一番でかいと思うのだが、案外一人で気軽に入れる店は少ない。
これは、度量の問題である。言わずもがな、私はぼっち飯選びに気を遣ってしまう方だ。
カップルだらけのカウンター寿司屋に間違えて入ってしまい、穴子寿司を一貫だけ食べて途中退出した日をきっかけに、国内外問わず「おしゃれな店に一人で入れない」症候群にかかってしまったのだ。

自分は寿司スパイだと思い込むことによりなんとかやりきった

そうなると、一人でも気軽に入れるのはフードコートや屋台、ファストフード店などで
「名店」と言われるレストランやルーフトップバーには近寄ることすらできない。
「オイラぼっちは大好きだけど人目が怖いんだい」という方は、きっと私と同様この「ぼっち飯場所探し」に苦悩すると思う。
でも、大丈夫。大体の店は「私はスパイだ」って思い込むことにより入店可能。一人でカジノに行った時も「私は東洋の女賭博士」と思いこんだら楽しかった。ぼろ負けしたけど。

【デメリット4】「ぼっち税」が取られる
ツアーなどのパッケージは基本「二人」カウントだ。そのため、だいたいのパンフレットには小さく、「※おひとり様参加の場合、追加料金がかかります」と記載されている。
実際ツアー会社で「この30万円のパッケージツアーにしたいんですけど!」とスタッフさんに伝えたら、「大変申し訳ないのですが、おひとり参加の場合、一晩9万円の追加料金がかかって90万円追加の120万円になります」と言われたことがある。
これはホテル側の手間賃的なものらしいが、どんな説明を受けても「仕方ないから120万払うか……おひとり様だもんネ★」という気分にはならない。頭おかしい。取りすぎや!

前述のご飯に関しても、「二人で一個食べよう!」とか「違うの頼んでシェアしよう!」ができないので、なんだかんだやっぱり割高にはなる。

以上が、ぼっち旅のデメリットだ。
「え、なんでそんな思いまでして一人で行くの?」と聞かれると、確かになんでそんな思いまでして行くんだろう……という気に私もなってくるので、今回の旅のルポを読んで、「あら、結局楽しそうね!」と思ってもらえたら嬉しい。

テレビ東京社員(現在BSテレ東 編成部出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。ツイッターアカウントは@mafune_kana
最高に楽しいぼっち旅をしよう!NY編