「29歳問題」という問題

自称「27歳が最高値」の女性、「女のピークは20代は事実」

「女のピークは20代」「30歳までに○○しなきゃ」の呪い、いわゆる「29歳問題」。でも、30歳を超えた先輩たちの多くは「20代より今の方が楽しい!」とメッセージを送っている……ように見えるのですが? じゃあ、誰がこの呪いをかけているんだろう。「29歳問題」に向き合って、この呪いをとく方法を考えます。初回は「27歳が女の最高値」と考え、婚活アプリで40人にあった女性にお話を聞きました。

●「29歳問題」という問題――「27歳が最高値」の女性

この先の人生、市場価値は毎日下がっていくのだから

  • 日花莉(ひかり)さん(29)
    27歳の時に、マッチングアプリに登録。約4カ月間で40人の男性とデート、今の夫と出会う。夫とは交際4カ月で入籍し、約1年後に子どもを出産。育児休暇を終え、職場復帰したばかり。

――そもそもどうして結婚したかったんですか?

日花莉さん(以下、日花莉): 家族が欲しかったんです。今まで「普通」の価値観で生きてきたので、疑問を持つこともなく、結婚したかったんです。一生1人で生きていくのも嫌だし。そう考えた時に、いつ結婚するのがベストか、って考えたら、今(当時27歳)だなと。今日より若い日はないわけですから。これからの人生でも、一日いちにち、市場価値は下がっていく。

――なぜ「若い方が高値」ってなるんでしょう?

日花莉: 27歳の時に、8歳年上の男友達に「ぶっちゃけ、男は若い女の方がいいに決まってるんだから」と言われました。私も確かにそうだなって思ったんです。女子会ではきれいごとを言って「まだ大丈夫だよ~」と言い合いますが、男は若い方がいいに決まってるじゃないですか。

――え、なぜ?

日花莉: 23歳と28歳だったら、どう考えても23歳を選ぶ。実際に自分のまわりのコミュニティでも「28歳の美人」より「23歳の可愛い子」の方がモテてた気がするんですよね。

マッチングアプリで、夫が私を検索したときも、まず「26歳まで」で検索したそうです。それで、パッとしなくて「27歳まで」に引き上げて、私を見つけてくれたんです。つまり、28歳だったら出会えていないわけなんです。それくらい「男と女の出会いの場」では1歳差はシビアな問題。

27歳の時の日花莉さんの日記

「若さ」が最大の価値、最も若い今やらなきゃとロジカルに動いた

――「若さ」で、自分が選ばれることには抵抗はない?

日花莉: それは、女性が男性に対して「身長が高い方がいい」っていうのと感覚としては一緒なのかなと思っています。私は175センチ以上の男性が好きだから、そういう意味で年齢で絞って相手を探す男性と、やってることは同じなのかなって。

――身長は変わらないけど、若さは失われていくわけですよね。可変的なものを「魅力」と評価されることはこわくないですか。

日花莉: 若さが失われていくことは、男性だってわかってるわけじゃないですか。織り込み済みで、スタート時点での「若さ」を欲しがっているんだと思っています。年はとるけど、その分2人の時間も重なるわけなので。若い女と不倫するのでは?というような不安はありません。

「1年後の28歳の自分」と「いま27歳の自分」を冷静に比較したら、今の方がモテる気がしたんです。私のように「若い」っていうカードが一番強いなら、今が一番「若い」わけで、今やらなきゃだめなわけですよね。非常に合理的でロジカルなんです。

日花莉: マッチングアプリは男女が出会う場である以上、「男性にうける」ことは必須条件で、大多数の男性が「若さ」を欲しがるなら、それを出せる人が勝ちなわけです。

「2年先の私の方が高値で売れる」と自信を持てる人も一定数いると思いますし、そういう人はそれで良いと思います。ただ、容姿にもキャリアにも自信がない方は、早めに動いて若さも武器にした方が絶対いい。数年後に後悔しないためにも。

――おおう。「29歳問題」のしかけ人がここに!!

婚活市場では「20代が最高」というのは、ただのファクトです。私だって「ロリコン的思考」はおかしいと思いますよ。でも、変えられないものは受け入れるしかないじゃないですか。

愛する夫と子どもを手に入れたから、呪いはとけた

――もうすぐ30歳ということですが、年を重ねることに不安はありますか。

日花莉: 全くないです。でもそれは、20代にやれることをやりきって、愛する夫、かわいい我が子を手に入れたからだと思います。婚活中はランチ・お茶・ディナーと1日に3人と会うこともありましたよ。27歳の時に腹をくくって婚活しなければ、30代になることを恐れていたかもしれません。きっと焦っていたと思います。「将来的に家族が欲しい」とずっと思っていて、いまはそれが実現しているから呪いが解けたんだと思います。

――欲しいものは全部、手に入れた?

日花莉: あ、でも仕事は違いますね。27歳の時に婚活か仕事かって考えて、仕事はちょっと置いておこうと思って、仕事の分のエネルギーを婚活に使いました。平日は早めに仕事を終わらせて夜7時から、男性と会うとか。

めっちゃ仕事のできる30歳と、ほどほど仕事のできる27歳。後者の方が、恋愛市場価値が高いかなって思ったんです。仕事を頑張りきれなかったことに後悔は少しありますが、それはこれからでも盛り返せるかなと思っています。

続きの記事<話題の雑誌「S Cawaii!」編集長に聞いた「なぜ、”20代で結婚”を>はこちら

  • 【編集後記】
    29歳問題。企画を始めたきっかけは女友達(33歳)が、離婚したことでした。彼女は、「20代で結婚しなきゃと焦って、流されて結婚してしまったことを後悔している」と言ったのです。彼女もまた、「20代が女のピークだから、今が1番条件のいい男に出会える」と思っていたそうです。
  • 「20代のうちに」。そのリミットが今回話を聞いた日花莉さんにとっては、尻に火をつける原動力となり、私の友人にとっては「あのとき焦らなければ」と後悔の原因になっています。29歳問題で悩む女性たちの呪いをとくヒントを探します。

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
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