学生(23歳)

故郷は川が汚れ、星空も見えなくなった。それがとても悲しい。

学生(23歳) 代々木公園でカメラを構えていた彼女は、「日本人じゃなくてもいいんですか?」とはにかみながら、色々と話を聞かせてくれた。中国の杭州出身。大分県のAPU(立命館アジア太平洋大学)を卒業後、東京大学大学院に在学中という。

大学院で、環境問題について研究しています。日本には、大学で留学生として来ました。大分県の別府市にある、APU(立命館アジア太平洋大学)の卒業生です。

中国の故郷は、工業化で川が汚れて星空も見えなくなりました

昔から、自然が好きなんです。山や川がある場所は、ほっとします。都会よりも田舎のほうが好きです。中国では、環境問題がとても深刻になっています。大好きな自然のために、自分が何かできないかと思って環境問題をテーマに選びました。

私が生まれた杭州の家は、街中にあります。でも、よく行っていた祖父の家は田舎にあって、まわりにお店とか何もない。その代わり田んぼや山や川があります。近くの子たちと一緒に虫を捕まえたり、泥遊びをしたり、落ち葉でチマキやサツマイモを焼いたり、思い出いっぱいの大好きな場所でした。

でもその場所も、工業化と都市化の影響で今では川が汚れて、星空も見えなくなった。それがとても悲しいです。

大学院の友人は、みんなすごく忙しそう

高校がAPUと留学提携していたのもあって、友達も日本にたくさん留学しています。だから別府ではたくさん友達がいたんですけど、柏の大学院に来てからは友達に会ったりする機会が減ってしまいました。
同じキャンパスに在籍してる人が少なくて、しかもみんなすごく忙しそう。研究や就活で飛び回っている感じです。地元のイベントとかもなかなか参加するチャンスもなくて、ネットワークが狭いです。だから、休みの日も一人でいることが多いかな。

就職について、そろそろ本気で考えなければいけないんです。卒業後は国際機関に就職したいのですが、WWF(世界自然保護基金)や国連の機関で働けたらいいなあ。
グローバルな仕事、地域の環境保全に貢献できる仕事、どちらにも興味があります。もちろん、中国に帰って活躍できるのもいいなと思っています。
両親は日本に行くことには賛成してくれました。でも、「いつか帰ってきてね」と言われています。

ビデオチャットをしていても、やっぱり寂しくて、会いたい

数カ月前、彼氏ができたんですよ。大学の研究でフィールドワークに行った、雲南省で出会いました。
彼も学生です。毎日、ビデオチャットを繋いでるんですけど、ずっと話しているわけではなくて、お互い勉強の復習などをしながら、たまに会話します。長い時は、2時間くらいつなぎっぱなしにしてます。でも、やっぱり寂しくて会いたいです。数カ月に一度しか会えないけど、その日が待ち遠しくて。

彼とは、趣味が合うんです。彼も自然の中にいるのが好きなんですよ。でも正直なところ、一緒にいられる時間をまだあまり過ごせてないかな。今度、私が大学院を卒業するときに、日本に初めて来てくれる予定です。とっても優しい人なんです。

今日は、写真を撮りたくて、代々木公園まで来ました。週末はずっと柏の家にいたので、ちょっと外に出ようかなって。
写真は風景を撮ることが多いですね。木とか、川とか。別府では、蛍の写真をよく撮っていました。星とか月を撮るのも好き。空を見るのが大好きです。

あの、最後に、この取材の記念にあなたの写真を撮っていいですか?

代々木公園にて

東京都生まれ。桐朋女子高校、成蹊大学出身。三児の母。趣味は音楽、旅、お酒、ヨガ。当面の目標は家族でフジロックに行くこと。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
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