コンプレックスは愛

コンプレックス、ありますか?街頭で50人の女性に聞いてみたら…

「コンプレックスは愛」特集。ミレニアル世代の女性はコンプレックスとどう向き合っているのでしょうか。今回編集部では50人に街頭インタビューしました。

●コンプレックスは愛

コンプレックスについて、街頭インタビュー

渋谷ハチ公前で、新宿駅東口交番前で、有楽町の駅前で。
私は、少し時間に余裕がありそうな女性を見つけて、片っ端から声をかける。

「すみません、コンプレックスについてアンケートに答えてくれませんか?」

すると、多くの人が苦笑いをする。
そうだよね、初対面の得体の知れない人に、自分の劣等感をさらけ出すなんてハードル高すぎる……。

と思いつつ、おそるおそる「コンプレックスありますか?」と質問すると、意外や意外、みなさん堰を切ったように、スラスラと話し出してくれた。

みんなはどこがコンプレックス?

今回聞いた50人の中で、コンプレックスがあると回答してくれたのは47人!
ほとんどの人が、何かしらのコンプレックスを持っていた。

コンプレックス1位は、目

最もコンプレックスと答えた人が多かったのが目。
「奥二重なのがコンプレックス。雑誌のモデルはみんなぱっちり二重で、そうでない自分が嫌だった(21歳・美容師)」「目が小さい。仲良しのハーフの友達と比べてしまっていた(27歳・福祉関係)」などの声があった。確かに、目は顔の印象を大きく左右する。気になるのも納得。

印象的だったのは、「小学生の頃から目が大きくなればいいのと思ってたけど、今はそんなに気にしてない。変な話だけど、目が大きくてもかわいくない人を見て、かわいさって目だけではなくて顔のトータルバランスなんだなって気づけた(24歳・会社員)」という意見。たしかに、誰かの顔を見ることで自分を客観視できることもあるのかもしれない。

一方で、「一重を生かしたメイクに挑戦したことがあったけど、完成した顔は自分好みの顔じゃなかった。今は二重を作ってる。一重の顔は、自分の好みではないんだと思う(29歳・会社員)」という声も。いったん自分の素材を活かすことにも挑戦したうえで、やっぱり二重が好き、と結論づけた彼女は、すごく冷静に自分を分析できる人なんだなと思った。

コンプレックス2位は、太もも

「太ももだけが太いと自分では思っている。足のラインが出ないような服を着るようにして、隠している。(28歳・営業)」「この2年で体重が10キロくらい増えてしまい、ズボンだと本当にヤバいから、スカートをよく履いてる。(25歳・学生)」などの声があった。
正直、私が声をかけたなかで”太ももコンプレックス”組は、みんなとてもスリムに見えた。「完璧に見える女子達が、最後に自分で自分にケチをつけるポイントが、太ももなのでは?」と思うほど。ていうか「太もも」って名前なんだから、太くてよくない?美への探究心が強い女のストイックさは、言葉の概念を超えていくのか……。

コンプレックス3位タイは、輪郭

「顔が丸い(27歳・SE)」「顔のえら張り、小顔矯正や髪でごまかせたら嬉しい(26歳・会社員)」などの声があった。
何を隠そう、私のコンプレックスもぱんっぱんの輪郭だ。高校時代、イラストが得意な友達が描いた私の似顔絵は、丸底フラスコのような輪郭だった。周りの友達も「めっちゃ似てる!特徴とらえてる!」と爆笑したのを確認して、しもぶくれとして生きていく自覚を心の奥に刻みつけたのを覚えている。
”輪郭コンプレックス”組は、髪型の工夫・小顔矯正に通う・普段から輪郭をマッサージするなど、隠しつつ直す努力をしている人が多かった。
私も2週間に1回、泣くほど痛い小顔矯正に通っている。

コンプレックス3位タイは、胸

「胸が大きい。隠したくても目立ってしまい、変に注目を集めてしまうのが憂鬱(35歳・秘書)」「胸が小さいこと一番のコンプレックス。絶対に海とか行かないし、もし行ったとしてもずっとTシャツ着てる。(22歳・大学生)」などの声があった。

胸については「大きすぎる」「小さすぎる」両面のコンプレックスがあったのが印象的。私自身は小さいのが悩みで、マッサージやら補正下着やらいろんなことに挑戦しているので、大きいのが悩みなんて羨ましい……と思ったが、話してくれた女性たちは本当に悩んでいた。美しさの尺度は人それぞれで、誰かが決めることなんてできないのだ。

コンプレックス=劣等感ではない!?

ここで、ふと疑問に思う。そもそも「コンプレックス」ってなんだろう?
大辞林にはこう記載されていた。

1. 劣等感。
2. 精神分析の用語。強い感情やこだわりをもつ内容で,ふだんは意識下に抑圧されているもの。心のしこり。観念複合。

ん?
コンプレックスって、劣等感という意味だけじゃないの?

少し調べてみると、心理学の世界で使われるコンプレックスという言葉は、「普段は自覚していない感情やこだわりがが複雑に絡み合って形成された観念の複合体」のことを意味するらしい。

……私なりに解釈すると、「もっとかわいくなりたい」「褒められたい」「有名になりたい」「モテたい」「うれしい」「悲しい」「まあいいか」「昔こんな経験をした」などなどなどなど……、頭を駆け巡る有象無象の複合体ということだろうか。

コンプレックスを語るときに光る、その人の魅力

冒頭で書いたように、今回話を聞かせてくれたみなさんは、本当にスラスラと自分のコンプレックスについて話してくれた。
「コンプレックスありますか?」という質問の、「ありま」のところで、食い気味に「ありますよ~、私は○○がほんと気になっていて」と語るのは、普段から自分のコンプレックスについて向き合っている人にしかできないことだと思う。

その様子は、儚げで控えめで、冷静で真剣だった。

周りの人と比べて気にしてしまったり、誰かに意外なところを褒められて自信をつけたり……。「誰が何と言おうと、自分は美しい!」と最初から、心の底から思えたら楽なのかもしれないけれど、そんな人はなかなかいない。でも、コンプレックスを隠してみたり、魅せてみたり、逃げてみたり、受け入れたり、その一つひとつの行動が、彼女たちを美しく自分らしく磨いていく過程なのだ、きっと。

街頭で話したのはわずかな時間だったけれど、一人ひとりの女性たちのまっすぐな生きる姿に、触れられた気がした。だから、彼女たちがコンプレックスについて語る様子は、私の胸を打ったのだと思う。コンプレックスを愛するって難しいけれど、最初の一歩は自分を知り、自分を感じることなのかもしれない。

20~30代の女性の多様な生き方、価値観を伝え、これからの生き方をともに考えるメディアを目指しています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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