Presented by ワコール
コンプレックスは愛

丸山桂里奈さん「ぶっちゃけ発言になるのは自分にも人にも正直でいたいから」

サッカー女子日本代表選手としてFIFAワールドカップやオリンピックなどで活躍してきた丸山桂里奈さん(35)。引退後はタレントに転身し、自身をさらけ出す発言で注目を集めています。コンプレックスとは無縁で、究極の自然体を貫いているように見える丸山さんですが、実は現役を引退してからコンプレックスを意識するようになったといいます。

●コンプレックスは愛

タレント転身後に感じたコンプレックスの数々

――タレントに転身なさってからの活動はいかがですか?

丸山さん(以下、丸山): 芸能活動は、すごく楽しいです。反面、いかに自分が物事を知らずに生きてきたかということに対して、コンプレックスを感じるようになりました。

――丸山さんにもコンプレックスが……?

丸山: ありますよ、たくさん!むしろサッカーをやめてからのほうが感じます。たとえば松ぼっくりは松の木になっている、抹茶は緑茶と違うなど、誰もが常識として知っているようなことを、私は知らなかったし、選手時代は厳しく食事が管理されていたこともあり、あんこも食べたことがありませんでした。

――自分の居場所が変わったことで、初めて見えてきたことがあるんですね。

丸山: はい。タレントの仕事をするようになってから、すごく緊張するようにもなりました。以前は数万人の観客を前にPKを決めなければならない大事なシーンでも、まったく緊張しませんでした。「いいプレーを見せればいい」「ゴールを決められればいい」という、やるべき目標がはっきりしていたので、自分が何をどうやったらどう評価されるかが明確だったんです。

でも、タレントの仕事は、毎日違う現場で、違う人と会い、違うことをして、しかも、それがどう評価されるのかがわからない。正解がないんです。だから毎日、仕事が終わったらマネージャーさんに「今日の収録はどうだった?どこがダメだった?」と聞いて反省会をしています。よかったところも悪かったところも、全部言ってほしいんです。

自分を客観的に見つめることでよくないところは反省し、受け入れることで自分の成長につながっていくし、それが自分らしくいられることにつながっていると思います。

――その精神のタフさはサッカー選手時代に鍛えられたものですか?

丸山: メンタルが強いわけではないんですよ。2011年にFIFA女子ワールドカップで優勝した2カ月後、大ケガをしてしまい……。そのときは相当落ち込みました。8カ月後に開催されるロンドン五輪でもう一度グランドに立てるのか。もうここで引退してしまったほうが楽なんじゃないかって、思ったこともありました。

そんなとき、なでしこジャパンのキャプテンだった澤穂希さんや佐々木則夫監督、チームメイトたちが「一緒にオリンピックに行きたいから治して」と何度も励ましてくれたのが大きかったですね。自分ひとりだったら頑張れないけど、チームメンバーのためならどこまででも頑張れる。

そのときに、気づきました。「なんでも当たり前だと思うな」って。近くにいる人が支えてくれていたら、ちゃんと「ありがとう」を伝えよう。思っていることを口に出して伝えることが大事だと思うんです。

今、やっと自分自身の時間を過ごせるようになってきた

――「人のためならどこまでも頑張れる」って、ある意味すごく自分を強くもっていないと言えない言葉ですね。これからのご自身の人生についてどう考えていらっしゃるんですか。

丸山: 私は、今までの人生の大半をサッカーのためだけに費やしてきて、“自分の時間”がほぼなかったんです。今、やっと自分のやりたいことができてきた感じがあるので、あえて「今すぐ結婚しないと!」ということはないかなぁ。

今の仕事は、「ちゃんとできている」という手応えが見えづらいから、全部を全力でやりたいし、やらなければいけなくて。現役選手のときは彼氏が途絶えずにいたんですけど、今は恋愛をしている余裕がなくて、彼氏はいません。あまり必要だと感じないですね。

批判的なコメントでもまずは一度受け入れる

――真面目なお話の合間に、さりげなくぶっちゃけてますよね……(笑)。

丸山: テレビを見ている人からは「ぶっちゃけキャラ」と言われることがあります。「なにもそこまで言わなくてもいいんじゃないの?」と突っ込まれることもあります。ただ、私としてはテレビの収録であっても1対1で話しているんですよね。質問してくれた人に対して失礼にならないよう、誠意をもって答えることが大切だと思うんです。よく見せよう、ごまかそうという繕いは、きっと相手に伝わってしまいます。

テレビだけじゃなく、普段も、SNSなどでの匿名の相手とのやり取りでも同じです。人それぞれ考え方が違うし、テレビなどを通して見える私の姿も、見ている人によって受け取り方が違うのは仕方がないことだと思っています。
だからこそ、質問されたことにはきちんと向き合って返事をします。コンプレックスも、恥じていないし、隠すこともしません。

コミュニケーションを取るためにまずは相手を知る。そのうえで自分の気持ちを話すことが、自分を一番わかってもらえるための方法なのかなと思います。

続きの記事<作家LiLyさん「外見のコンプレックスは墓場まで持って行け」>はこちら

●丸山桂里奈(まるやま・かりな)さん プロフィール

元サッカー日本女子代表選手。2002年、第14回アジア競技大会でなでしこジャパン代表としてデビュー。2003年第4回女子FIFA女子ワールドカップ、アテネ、北京、ロンドンオリンピックに出場するなど、長年女子サッカー界で活躍。引退後は、タレントとしてテレビのバラエティー番組に多数出演するなど、活動の幅を広げている。

  • ・赤いワンピース/フィリル オンラインショップ(問い合わせ先:03-3527-2677)
    ・白いワンピース/神戸レタス(問い合わせ先:078-271-7780)
    ・ピアス/NBJ.ACCESSORIES(問い合わせ先:080-4806-3348)
明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
コンプレックスは愛