バツ3から事実婚の離婚弁護士「結婚制度は利用するだけ」くらいの考えでいい

はあちゅうさんとAV男優のしみけんさんの一件で話題になった事実婚。同じく事実婚をしており、離婚案件を専門にしている原口未緒弁護士(43)は「法律婚と事実婚で違うのは気持ちの面だ」と言います。ご自身の結婚・離婚の経験や、原口弁護士のもとに相談にくる方のお話をもとに、結婚制度について語っていただきました。

●バツ3、現在事実婚の離婚弁護士〈後編〉

「結婚至上主義ってどうなんだろう」と疑問を呈したい

――事実婚をして、法律婚をしていた頃との違いはありますか?

原口さん(以下、原口) 自分の中での夫に対する気持ちが変わりました。不思議なことに、籍を入れると「夫なんだから○○してよ」という感情が生まれてくるんですよ。夫なんだから家賃を払ってよ、とかね。逆に妻に対しても同様の気持ちが生まれてくるのでは、と思います。

事実婚をしてからは、そういった感情はなくなりました。いい意味で緊張感を持って、対等でいられるというか。「もう別れる!」って言って相手に出ていかれたら、それっきり連絡が取れない、なんてこともありえますからね。姓が違うというだけですが、以前の結婚と比べて各々が自立しているように思います。

――確かに、結婚すると「夫」「妻」という役割を当てはめて、相手に過度な期待をしてしまったり、逆に勝手に「○○しなきゃ」と背負い込んだりしてしまう気がします。

原口: 私のところに相談に来るお客さんを見ていても、法律上の「夫」「妻」に固執している人は多い気がします。

たとえば、「夫が浮気した」といって相談にくる20~30代くらいの奥さんは、不倫相手の女性をまるで泥棒猫のような言い方をします。「自分が妻だから立場が上だ」と。でも話を聞いていると、奥さんは旦那さんのことをそんなに大事にはしていなくて、旦那さんと不倫相手の方がよっぽどお互いを思い合っていることもある。確かに夫が不倫した場合、妻は慰謝料をもらえますが、旦那さんを大事にしていなかった奥さんもどうなのかなぁと……。そういった案件を見ていると、法律上の結婚ってそんなに意味があるのかな、と疑問に思ってしまいます。

法律上の「夫」に固執するのはこんな男性

原口: 一方で、旦那さんが法律上の「夫」に固執しているケースとして多いのが、40~50代くらいの「モラハラ離婚」。奥さんが何かをきっかけに「夫の言動はモラハラではないか」と気づき、離婚したいというパターンです。相談にきた奥さんの中には、夫を怒らせた反省文を毎日書かされていた、という人もいました。

こういった場合、話を聞くと、ほぼ家庭内別居状態なのに旦那さんが離婚してくれない、というケースが多いです。こういう旦那さんって真面目で社会的地位が高い人が多いので、自分の体裁のために「夫」という肩書は捨てたくないんですよね。離婚協議が長引きやすいので、別居することで「実質離婚」として手を打った方もいます。

――そういったお話を聞くと、法律上の結婚制度が完璧ではないと思えてきます。

そうですね。だからこそ、離婚案件を専門に扱っている私が事実婚をしているのは意味があるのでは、と思います。「法律による結婚制度ってたいしたことないよ」って言える立場にいるわけですし。「結婚至上主義ってどうなんだろう?」というメッセージになれば嬉しいです。

幸せな結婚ができるかは二人次第

――では、どうしたら幸せな結婚ができるのでしょうか。

原口: 法律婚にせよ、事実婚にせよ、べつに結婚したって自分が変わらないと何も変わりません。特に女性は結婚がゴールだと思っている人も多いですが、結婚したからって幸せになれるとは限りません。むしろ、一緒に住んだり、子どもが生まれたりすることで、結婚前よりケンカが多くなってしまうこともあるわけですから。

結局、幸せな結婚生活を送れるかは二人次第。制度は利用するだけ、と考えた方がいいと思いますよ。

そのかわり、結婚後の生活を円満にするコツをお伝えしますね。それは、「家庭内の社長は奥さんだ」という意識を持つことです。やっぱり家庭に関する細やかなことに向いているのは女性が多いんですよね。だから女性は、旦那さんという新人バイトを雇うつもりで、結婚前に結婚生活のビジョンをきちんと話しておくといいです。共働きで各々の時間を大切にしたいのか、それとも奥さんは専業主婦で二人の時間を大切にしたいのか。男性はあまりそういったビジョンを持っていませんが、女性は理想の家庭像を持っている人が多いので。それを最初に共有できるとうまくいくと思いますよ。

1990年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒。新聞記者として勤務したのち、中古車メディアの編集として特集制作などの経験を積む。結婚を機に名古屋に移住し、現在はフリーランスとして活動中。趣味は旅行。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
事実婚という選択