私らしい“結婚”03

はあちゅう「AV男優の妻に興味があるなら、さらけ出す覚悟です」

今年7月に事実婚を公表したはあちゅうさん(32)。日本中が注目し、賛否両論の論争を呼んだ結婚は、彼女に何をもたらしたのでしょうか。夫でAV男優のしみけんさん(39)との結婚生活はどんなものなのか。公表後、どんなことを考えてきたのか、赤裸々に語っていただきました。

●私らしい“結婚”03 事実婚のはあちゅうさん

――事実婚をして何か変化はありましたか?

事実婚をしての変化というよりは、公表したおかげで、彼との生活を発信できるようになりました。彼も私も、日常的に自分の生活を発信しているのですが、公表前は一緒に旅行しても、彼は発信しないとか、何かと不自由だったんですよね。

「AV男優の妻」を見せる覚悟

――ボイスメディア「Voicy」で発信している「『AV男優の妻』あるある」が人気を呼んでいます。「AV男優の妻」はコンテンツとして人気がでるかも? という狙いはあったのでしょうか。

みんなが気になるテーマかな、とは思っていました。テレビなどから出演依頼もありましたし。でも、私は彼の作品は一切見たくないし、彼が公言している性癖について話しているところも見たくないんです。性生活について言及されるのも嫌です。自分の言葉で発信するならいいですが、誰かのコンテンツに載せてお話するのはお断りしています。

私も書き手として、インフルエンサーとして、第三者が見て面白いと思うものを見せるのがサービスだと思っています。自分の内臓をえぐり出してお見せする覚悟。そういう意味で、旦那の口からでてくる、エロい単語や日常会話が面白いのかなと思っていたので、お伝えしたいなと思いました。

ネタのための結婚でしょう、と言う人は残念ながら友達にもいます。そういう方はもうブロックしました。私に寄せられたアンチで一番多いのは「結婚してもらえなかったから事実婚」「いつか捨てられますよ」という声なのですが、そういう声を聞くと、捨てるのは常に男で、女の人を下に見ているんだなあと。その考え方はおかしいと思います。

――Voicyではパートナーのことを「旦那」とおっしゃっていますが、主人や旦那という言い方は、対等じゃない感じがすると違和感をもつ方もいると思います。意識して使っているんですか?

それ、よく聞かれるんですよね。主人、あるじ……という感じはしないので、使っていないのですが、旦那もだめですかね? 夫の小さい「っ」が入る語感よりも「旦那」の
ほうが好きで。

「パートナー」だと仕事上だけの関係なのかプライベートな関係なのかわかりにくいかなと思うのと、かっこつけているというか、何か主義・主張があるように思われるのが嫌なんです。

女性だけ姓が変わるのは不平等

――事実婚、どういう人におすすめしたいですか?

名字を変えたくない人ですね。事実婚が認められたとき、彼がぼそっと「これで清水の姓は途絶えた」って言ったんですよ。すぐに「あ! 結婚して清水が残ったら、お前の伊藤姓が途絶えるのか!」と気づいてくれたんですけど。女性は「姓が途絶えるのが当たり前」な社会なので。子どもの姓については、今後2人で考えていけたらと思っています。

男性が婿に入って名字を変えるときは「大変だね」「かわいそうだね」って言われるのに、あたりまえに女性に変えさせるのはどうなんだろう、っていうツイートを以前見ましたが、本当にそうだなと思います。その人が20年、30年使ってきた名字を、「ロマンチック」の一言で女性ばかりに変えさせるのは不公平かなって思います。

こう言うと、結婚制度と戦っている女性のように思われるかもしれませんが、全然そんなことないんです。法律婚をしたい人はすればいいと思っています。私たちには事実婚がすごく自然だなって思っただけで、何かフェミニズム的な、女性の自立を示したいわけではないんです。

法律婚の方が、事実婚よりも離婚が大変な分「拘束力」もあると思います。女性は妊娠・出産という、どうしてもお金を稼げないタイミングもありますし、一時的に男性の力を借りることもあるのかなと思っています。

式も指輪もいらない

――結婚式や指輪など、いわゆる「結婚」っぽいことはしないんですか?

結婚式は、私が広告のお仕事をしていたこともあり、フィーももらえないのにイベントをするのはモチベーション上がらないんですよね(笑)。っていうのは半分冗談なんですけど、私の友達も忙しい人が多いので、私のために集まってもらうのも申し訳ないです。だから、結婚式もしないと思います。そのお金で海外旅行でも行けたらいいなと考えています。

指輪はないですね。彼は現場で外すので、なくしちゃうだろうし。私も文章を書くときは指輪を外すので。指輪って、相手がいないときに思い出すためにつけるんだと思うんです。私たちの場合はLINEでしょっちゅう連絡をとっているので、つながっている実感はあります。だから、指輪はいらないかなって思っています。

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  • ●はあちゅうさんプロフィール
  • ブロガー・作家。著作に「とにかくウツなOLの、人生を変える1か月」「半径5メートルの野望」「通りすがりのあなた」など。月額課金制マガジン「月刊はあちゅう」が好評。今年7月にAV男優のしみけんさんとの事実婚を公表した。ツイッター:@ha_chu
telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
事実婚という選択