私らしい“結婚”

はあちゅう「事実婚は2人の関係 彼の両親にまだ会っていません」

今年7月にAV男優のしみけんさん(39)との事実婚を公表したはあちゅうさん(32)。法律婚ではなく、事実婚を選んだ理由として「名字が変わることによる、もろもろの変更が大変だから」「家同士の結婚ではなく、2人の関係を形にしたかったから」と話しています。決断の裏にどんな思いがあったのか、じっくりうかがいました。

●私らしい“結婚”03 事実婚のはあちゅうさん

事実婚は2人の関係。彼の両親にはまだ会っていません

――私の個人的な感想ですが、はあちゅうさんは自立した女性! という感じで、結婚のイメージがわかなかったのですが、もともと結婚願望はありましたか?

はあちゅう 結婚願望というか、小さい頃からすり込まれた「女の子ドリーム」みたいなものはありました。好きな人と結ばれましたってことを認めてもらいたい、祝われたいっていう気持ちは持っていましたね。彼とは4年以上のお付き合いだったので、いずれは結婚したいなと思っていました。

2人セットで、いろんな場所に行っているご夫婦がうらやましかったんです。男性に「妻です」って紹介されて、パートナーとして認めてもらう、というのが憧れでしたね。

法律婚、私にはデメリットの方が多い

――なぜ、法律婚ではなく、事実婚をしようと思ったのでしょう?

はあちゅう 一番は名前を変えたくなかったということ。(本名の)伊藤姓を残したい!というわけではなく、クレジットカード、パスポート、住民票……もろもろの変更手続きが大変。なにより、私はフリーランスで、取引先も多いので振り込み先の変更などをしてもらうのも、時間やお金がかかるし。ボタン一つですべて変えられるならよかったんですけどね。

それから、結婚にまつわるお得な制度も、私には関係ないなって思ったんです。たとえば、扶養控除を受けられる、遺産の分与、生まれた子どもは手続きなく認知される……

私に収入があるので扶養に入れるわけでもないし、彼が死んでも困らないだけの稼ぎはあるので、遺産もいらない。彼のお金はご家族に渡ればいいと思っています。子どもを産んで認知が必要なら、産んでから認知の手続きをすればいい。むしろ、その手続きにはちょっと興味があります。だから、法律上の結婚をすることにメリットはないように感じたんですよね。

親も最初は彼のことをよく思っていませんでした。妹が、付き合っている人に「そういう人(AV男優)が家族に入るのであれば、あなたとは結婚できない」と言われたこともありましたし。やっぱり結婚となるとそういうことが起きてしまうんだなと。両家の顔合わせもしていませんし、私は彼のご両親にはお会いしていません。いつかはお会いすると思うのですが、事実婚は「家制度」「戸籍」とは関係がないので、本人同士の意志さえあればいいのかなって思っています。

公表、ものすごくこわかった

――一緒にいたいだけだったら、事実婚という形すら必要ないのではと思うのですが?

はあちゅう 結婚前の4カ月間、彼とお別れする期間があって。そうしたこともあって、より強固な絆がほしくなったんです。彼との関係を公表して、ちゃんとしたパートナーになりたかった。

ただ、彼がAV男優という特殊な仕事をしているので、変な漏れ方はしたくなかったんです。

お付き合いしていることは、特に親しい友人と、成り行きでバレた人にだけ言っていました。「複数の人とセックスしているのって悲しくならないの?」「そんな人と付き合ってて大丈夫?」とか問いただされることが多いような気がして、普通ののろけ話にならない。話そうと思うと、自己弁護みたいになる。何でも隠さないタイプなのに、彼のことだけは周りに言えないのが苦しかった。真剣にお付き合いしている、ということを示すためにも、かたちは必要なのかなと思ったんです。

――なぜそこまで「公表」にこだわったのでしょうか?

はあちゅう 公表することで夫婦セットで認めてもらいやすいかなって思ったんです。

広告会社時代の先輩に「AV男優と結婚するかも」と相談したら、「そうなったら一生広告こないね」って言われたこともありました。でも、それならば自分から公表することで、「AV男優の妻」を使うかどうかは、スポンサーさんにジャッジしてもらおうと思いました。もし「AV男優の妻」だから私を使いたくないなら、私もそういう会社のお仕事はしたくないので、お互いに楽かなって思ったんですよね。

ただ、公表したいと思う一方で、ものすごくこわかった。危ない世界の人たちとつながっているんじゃないか、とか、逆に物書きとしてのネタ作りで付き合ってるんでしょう、とか思われるんじゃないか……いろいろ想像が飛躍して、1カ月くらい不眠症になりました。友達に迷惑かけたら嫌だなと思って、清純なイメージのタレントさんと一緒に写ったインスタグラムの写真を消したりもしました。

心配していたわりに、公表後は祝福の声が大きくて驚きました。人に「おめでとう」と言ってもらえることはこんなにうれしいことなんだなと。私の人生にはこんなに賛同者がいるんだなと思いました。パートナーとの関係を祝福してもらえるのは本当にうれしかったです。

――はあちゅうさんは「個で生きる」イメージが強くて、「パートナーとして認められたい」と思っているのが意外です。

はあちゅう もちろん、1人でも認めてもらいたい。でも、本当に旦那のことは自慢だし、すごい人だと思っているんです。だから、私の読者の方には2人セットで好きになってもらいたい。私は彼に人生を変えてもらった。たくさんの影響を与えてもらった。それが私の作品にも生きているんです。例えば、ごはんエッセイで書いているお店はほとんど彼の行くお店だし。ブログにたまに登場する「彼氏」は彼のことだし。

私はブログっていう人生を垂れ流すツールから生まれた作家だと思っているので、そこは普通の作家さんとは違う。読者の方にはブログや本を通じて、人生を応援してもらっていると思っているんです。だから、そんな私を支えて、影響を与えてくれる、彼のことも知ってほしかったんです。

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  • ●はあちゅうさんプロフィール
  • ブロガー・作家。著作に「とにかくウツなOLの、人生を変える1か月」「半径5メートルの野望」「通りすがりのあなた」など。月額課金制マガジン「月刊はあちゅう」が好評。今年7月にAV男優のしみけんさんとの事実婚を公表した。ツイッター:@ha_chu

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
事実婚という選択