結婚の新たな形?“一夫多妻”の第2・第3夫人がホンネを語る

telling,では「こうあるべき」ではなく「自分スタイル」で生きていく女性の生き方を紹介しています。今回は多様な「結婚」の一つのカタチとして、なんと、現代日本に暮らしながら“一夫多妻”生活を実践する女性たちにインタビューしてきました。なぜ一夫多妻のカタチをとっているの? 嫉妬とはどう向き合っているの?

“一夫多妻”というと私たちの常識からは考えづらいですが、海外では今も認めている国があり、日本でも1898(明治31)年までは「妾」の存在が法律に規定されていました。男女の婚姻のかたちは決して一つではなく、時間や場所でさまざまなようです。いったい、“一夫多妻”の当事者たちはどんな生活を送り、なぜその生き方を選んだのでしょうか。

 今回お話を聞いたのは、香川県高松市で“一夫多妻”の共同生活を実践する藤田由佳さん(40)と陽子さん(35)。もちろん、日本の法律では重婚は許されません。“夫”でコンサルティング会社を経営する隆志さん(64)が法的に結婚しているのは、現在バリ在住の本妻(50)。“第2夫人”の由佳さんと“第3夫人”の陽子さんは、戸籍上、隆志さんの養女として入籍しているそうです。

出会ってすぐに、なぜ入籍を決めたのか

――お二人の、隆志さんとの出会いを教えてください。

由佳さん(以下由佳) 私は29歳のときに、知人の紹介で出会って3カ月で入籍しました。当時は会社員やコンパニオンをしていて、お金には困っていなかった。ただ、一緒にご飯を食べたり、時間を共有する、でも自分が仕事などで忙しいときは無理しなくていい、言うならば“都合のいい”男がほしかったんです。それにはまさに彼がぴったりだと思った。

陽子さん(以下陽子) 私も知人の紹介です。知り合いの経営者の方が、「一夫多妻っていいな」と話しているのを聞いたことはあった。でも、実践している人には会ったことなくて、珍獣を見に行こうみたいな感じ。それで、福島から高松まで来ました。

(左から)藤田隆志さん、陽子さん。由佳さんは顔出しNGでした

――最初に会って何を話したんですか?

陽子 どうも、陽子ですって。それから、仲人さんと第2夫人のゆっちゃんさんと数人で焼き肉を食べに行きました。夜に初めて2人きりになりました。そのまま2週間ほど一緒に住んで、福島の私の母親にあいさつに行きました。5月2日に出会って、14日に実家に挨拶、31日に入籍です。

――ご両親、よく納得してくれましたね……。

陽子 父親は亡くなっているので、母親と姉にだけ。最初は「理解できません」って言われましたが、少しずつ(一夫多妻制の)システムを説明して、最終的には「あなたのしたいようにしなさい」と言ってくれました。

――第3夫人になることを決めたのはなぜですか?

陽子 2年前まで、11年付き合った人と、4年間結婚していたんです。夫は公務員で、一軒家で犬を飼う生活。人からみたら幸福だったかもしれませんが、「普通の幸せ」に不自由を感じてしまって。妻の役割を離れてもっと自由になりたい、と離婚したんです。だから、私に普通の結婚は無理だろうなとも感じていました。

一夫多妻は会社組織に似ている?

――由佳さんは、新しい第3夫人がくることをどう思っていたんですか?

由佳 隆志さんも好きやなあって。陽子さんの前にも第3夫人がいたんですが、家事が苦手な人でした。今、陽子さんには助けてもらってます。隆志さんは家事が全くできないから。

陽子 いえいえ、私なんて全然できていません。ゆっちゃんさん(由佳さん)はさりげない気遣いのできる方で……見習わないとと思っています。わからないことは、なんでもゆっちゃんさんに相談したり報告したりしています。

――「ホウレンソウ!(報告・連絡・相談)」。会社組織みたいですね。

陽子 それに近いですね。社長が隆志さん。部長が由佳さん。そして会長が本妻。私はまだ入社したての新入社員なので、会社のルールを学んでいるところです。

由佳 その感覚わかる。私も最終的には本妻さんの許可がいると思っている。

自分軸で生きれば嫉妬はしない

――奥さんが3人って嫉妬しないんですか。

由佳 嫉妬って、「自分のもの」だと思うからするんじゃないかな。でも、他人は自分のものになんてならないから。私は中学生の時にそれに気づいたの。クラスで人気の男の子が、私のことを好きだって噂がたって、私が女子から総スカンにされた。噂が本当かもわからないのに。「どうして、他人のことで誰かを攻撃するのかな」って不思議に思った。他人の気持ちは変えられないのに。

陽子 私は、10代のころは独占欲が強くて、他人に幸せにしてもらうことばかりを考えていました。でも、そうやって相手を軸に生きても、幸せにはなれない。自分軸で生きるようになると、相手が誰を好きだとか関係なくなるんですよね。私は福島出身なので、東日本大震災で被災していて。それから常識に縛られない生き方をしたいなと思ったんです。

――「他人は自分のものにならない」「相手を軸に生きても幸せにはならない」。どちらも恋愛ハウツー本に載せたい名言。メモしておきます。おふたりにとって、藤田さんの魅力はなんでしょうか。

陽子 お金目当てではないですね。色んな人に紹介してくれて、世界を広げてくれる。まだ1カ月ですけど、それでも私を必要としてくれているとを感じていて、一緒にいたいと思います。

由佳 お金の価値なんて、日々変わるからね。私そんなに物欲ないし。で、どこがいいんですかね~。なんだろうなあ(笑)。

   

※次回はいよいよ、〝夫〟の男性にお話をうかがいます。
後編はこちら!

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