世界の女性たち

痩せたら勝ち組って、誰が決めたの?【世界の女性たち】@ロンドン

ロンドン在住 telling,では、街頭でのインタビューを中心に、ミレニアル世代をはじめさまざまな世代の女性たちからお話を聞き、“リアルな声”を伝えています。でも、日本だけじゃなく、世界のもっといろんな場所の皆んなのことも知りたい。ということで、フォト&エッセイを連載中のRuru Rurikoさんが、世界中の女性たちの”ホンネ”をお届けします。今回はイギリスで出会ったモデルのキティが語る、「自分の体を肯定する生き方」です。

イギリス、ロンドンを拠点するモデルのキティは、「美しさの基準は人それぞれ」「あるがままの自分の体を肯定しよう」と訴える「ボディポジティブ」のアクティビスト。彼女との出会いは、友人に頼まれて参加したモデルの撮影現場。とても美しく、パワフルなキティに彼女が自分自身を愛するまでのストーリーを聞いてみた。美しいの基準って、なんだろう?

model :Kitty Underhill

小さい頃から自分の体が好きになれないのは私のせいだって思ってた。ティーンの頃はゴス・エモファッションが好きで、尊敬するのはヘイリー・ウィリアムス(アメリカのバンド、Paramoreのボーカル)のような女の子たちで、そういう子たちはみんなとっても痩せてた。だから自分に全然自信がなかったし、鏡を見るたびに自分は醜いと思って悲しかった。

初めて付き合ったボーイフレンドは私より少し年上だった。当時私は14歳で彼は17歳。インターネットで出会ったんだけど、実際に会うまではすごく優しかった。でも、現実で私の姿を見たら「君は僕が思ってたような見た目じゃない。思ってたより全然太ってる」って言われたし、彼は私にもう会いたくなさそうだった。それからはモデルの写真とかを私に送りつけて来て「いつになったらこういう見た目になるんだ?」なんて言われたわ。

彼氏からモデルの写真を送りつけられ「いつになったらこういう見た目になる?」

今考えたら本当にあり得ないんだけど、彼はとっても口がうまくて、私は若かったし彼は年上だったのもあって、彼が正しいんだと信じてしまっていた。

その後も一応付き合いを続けていたんだけど、彼は私と一緒にいるところを人に見られるのを嫌がったし、私のことを周りにバレないようにしてた。

ラッキーなことに彼とは別れたけど、今でも思い出すと何年もの間、彼に私の人生をコントロールされてたなと感じる。それに、思春期にそういった経験をして感じた気持ちは、今でも昨日のことのように思い出せる。

でも、私以外にもパートナーからこうなってほしいと言われて素直にそれに従おうとする人をたくさん知ってるし、相手に自分の基準に合わせること求めて、相手を変えさせようとする人がいると思う。これはあまり議論されてないけどとても危険なこと。

彼と別れて今のパートナーに出会ってからはもう9年も経つ。今の彼はとてもいい人で、私をコントロールせずに自分自身で考えるスペースをくれるの。それから、大学に入ってフェミニズムに出会ったり、SNSで「ボディポジティブ」について知ってから、美の基準ってなんだ?と初めて考え始めた。大学で受けた講義の中で「太っている人は通常メディアでどう描かれているか?」っていうのがあって、あれは衝撃だったわ。あとはナオミ・ウルフのThe Beauty Mythという本(英語のみ)にもとてもインスパイアされた。

model :Kitty Underhill

「痩せたから綺麗になった、それは勝ち組だ」それって本当にそうなの?

ティーンの頃から体重は減ったけど、それはダイエットしたわけじゃなく食べ物の変化だったりだけど、周りからは「痩せて綺麗になったね!」って沢山言われた。でもどうして? もしかしたら私は辛いことがあって食べられなかったのかもしれないし、もしくは無理なダイエットで体を壊してたのかもしれない。みんなはそんなこと考えずに「痩せたから綺麗になった、それは勝ち組だ」って言うのよ。
去年、母校に戻ってボディポジティブについて講演をする機会があったんだけど、私を知ってる先生たちから「あなたが辛い思いをしてたなんて知らなかった。気づかなくてごめんなさい」と言われた。私は隠すのが上手だったの。みんなの前ではいつも明るくてハッピーなキティを演じてた。私は女子校に行ってたんだけど、私のように必死にダイエットしてる子は沢山いたし、お昼を抜くなんてよくあること。でもそれが ”普通” になってたしみんなもそれを受け入れてた。

自分を愛するのって簡単じゃないし、その過程で落ち込むことだって沢山ある。1日で「はい! 私自分が大好き!」とはならないし、私だって今だに100%自分の体が好きだとは言えないから。でも常に ”普通” とされていることに疑問を持つことが大事だと思うな。どうしてこれが ”普通” とされてるんだ?ってね。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。

Pick Up

ピックアップ
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
テリやきテリ世の甘辛LINE相談室
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
ヒント 恋愛
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てるとは
産婦人科医・高尾美穂さん×アクロスジャパン・小川多鶴さん
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てる
家族のかたち 妊活 子育て