モラハラ夫がいつか変わると思っていませんか-モラハラと愛のあいだ【モラハラ09】
●モラハラと愛のあいだ⑥
モラハラする人は変わりません!
――Mさんの旦那さんのようにモラハラをしている人が変わることはありますか?
太田:まず変わらないですね。仮にMさんが精神的暴力を訴えたり、強気に振舞ったとしても難しいでしょう。周りを巻き込んで味方につけても同じです。
モラハラする人は、相手が話した内容よりも、自分の言うことを聞かなかった、要求を受け入れなかったことに怒ります。議論をすり替えて、攻撃に出てくる人もいるでしょう。支配的な人間関係は対等にはならないんですよ」
M:確かに一方的に話を進められたり、会話にならないことも多いです……。
太田:議論が出来ない時点でアウトだと思いますよ。対等なコミュニケーションを拒否していますから。
また、妻を精神的に支配することによって、心のバランスを保つ人もいます。自分の思い通りにしてもらうことが愛だと思う人もいる。“お前が必要だ”と言うのは、傷つける相手が必要なんでしょうね。
――Mさんが離婚したくない理由はなんですか?
M:理性では、離婚した方がいいことも分かるんですよ。ただ、大好きな人と結婚したという選択が、間違いだったと認めたくないのかもしれません。彼への愛情もありながら、これは単に執着なのかと迷うときもあります。
太田:彼はこれからも変わらないと分かった前提で、今後も彼と暮らしていくのか考えた方がいいでしょう。モラハラする人に限って、今まで何かあれば“離婚する!”と、相手を追いつめていたのに、いざ本当に離婚に踏み切ると、今度は拒否して話が長引くケースも多いんですよ。
モラハラが行われている環境で子供が育つこと
――今後は子供についても迷っているようですが
M:子どもは欲しいと思っています。
――それは今の旦那さんの子供ですか?それとも離婚を見据えて違う方の子供ですか?
M:わからないです……。ただ、今の夫が子供が欲しくないと言うのなら、それはそれでもいいのかなと迷ったりします。
太田:子供の有無で離婚の状況はかなり変わります。今、幸か不幸かお子さんがいらっしゃらないので、その前に考え直した方がいいでしょう。再婚しても年齢的にも出産できるチャンスはありますし。Mさんは仕事もあるし離婚しようと思えばできます。離婚のハードルが高いと思うのは、離婚したら辛くなる、無理なことは望まないと自分の心に蓋をしてしまっているの
ではないでしょうか?
もし子どもがいる場合、その子はモラハラが行われている両親を見て成長します。そんな不健全な男女関係が、当たり前だと思ってしまう可能性があることも、離婚の判断材料として伝えています。
中には反面教師にする人もいるかもしれませんが、父親のように横暴になってしまう人もいるでしょう。
モラハラの証拠を残しておく
――今は離婚をする意思がないMさんですが、今後は気持ちに変化が出るかもしれません。準備しておくことはありますか?
太田:モラハラされた証拠は残しておいた方がいいですね。ICレコーダー等の録音はもちろん、日記に書いたり、友人に話をした記録を残しておくこともお勧めします。ラインは日付のやりとりが分かる画面を保存しておきましょう。
夫の浮気は離婚理由に該当します。また、浮気をしていることで、夫は有責配偶者(※)となります。有責配偶者である夫からは離婚を言い出せませんが、被害者からは離婚の申し入れができます。証拠を録音やラインの保存画面を突きつけても『これは遊びのノリでやった』とか『そんなこと言っていない』など反論してくる可能性もありますが、それでも記録できるものは残しておいた方が離婚の調停や裁判の時にプラスの判断材料になりますよ。
※有責配偶者 婚姻の破綻につき、主に責任のある配偶者をいう
一度彼から離れてみたら
――モラハラを受けている方にアドバイスをお願いします。
太田:まず、自分が傷ついていることを認めてみましょう。そしてどんな結婚生活を送りたいのか、自分はどうしたいか優先順位をつけることが大事ですね。
少し彼から離れてみるのもいいでしょう。始めは禁断症状が出るかもしれませんが、客観的に相手をみられるかもしれません。
または試しに他の男性と会ってみるのもいいと思いますよ。付き合うという程ではなくても、全然違うタイプの男性を見て、いろんなタイプの方を知るのもいいでしょう。
M:そんなに辞めた方がいいですか……。
太田:婚姻関係を続けていくメリットってありますか?
- 【取材後記】
他人は変えられない。あの時優しかった彼の表情や甘い言葉、ハグに惑わされていないだろうか。どんなに期待をしても、モラハラをする彼は変わらない。
――それでも。人生は軌道修正できるんです。モヤモヤする気持ちに目を向けよう。これからどんな日々を過ごしたいのか、優先順位は何なのか。自分の人生は自分で舵をとる。幸せを選ぶ権利は誰にでもあるんです。Mさんが、心から笑顔あふれる日々を過ごせますように。
- telling,では、特集「モラハラと愛のあいだ。」と題して、様々な角度からモラハラについて考えています。これって、愛?それとも・・・。
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