モラハラと愛のあいだ 05-1

「モラハラ夫がいるから成長できる」…それ本当に因果関係ある?【モラハラ05】

最近、「モラハラ」という言葉をよく耳にするようになりました。具体的にどんなことをされたり、言われたりするのか、根底には何か深い問題があるのでしょうか? 望ましい解決法とは? そんな課題に取り組む特集「モラハラと愛のあいだ。」第5回は、「妖怪男ウォッチ」「なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか 18の妖怪女子ウォッチ」などの著作が人気のぱぷりこさんが、全3回にわたって相談者ライターMの相談をお焚き上げしてくれます。

●モラハラと愛のあいだ⑤

モラらない? ハラりたい? モラる? ハラれば? モラハラろう★

全方位モラハラぶりに気が動転して、うっかり「モラる」「ハラる」の5段活用をしてしまいました。

Mさんがつらい状況にいるのは、Mさんも周囲の全員(夫以外)がわかっていると思います。それでも「離れようと思わない」「離れられない」ことがつらいということですよね。「”気持ち”は、簡単に割り切れない」という言葉が、悩みの深さを物語っているように思えます。 

「つらい経験によって圧倒的成長★」ストーリー

私が読んでいて気になったのは、「モラハラ夫の刺激が、私の心の傷と引き換えに、大きな成長を与えてくれるというストーリー」という言葉です。「離れたいとは思わない」と書いた後にこの言葉があることから、Mさんは「つらい経験を我慢することによって成長する」というストーリーによって、現状を肯定&キープしようとしているように見えます。

Mさんは、モラ夫から受ける攻撃を「つらい」といちおう認識していますが、「つらみ」を「圧倒的成長の糧」としてポジティブ変換しています。ですが、本当にそうなのでしょうか?「モラハラされているから成長できている」のでしょうか?「モラハラ」と「成長」に因果関係はあるのでしょうか?

私はそうは思いません。確かに人は放っておかれると怠けがちですし、多少のストレスがある環境のほうが成長する、と言われています。ですが、成長に貢献するのはあくまで「適切な範囲」のストレスであり、モラハラは明らかに過剰です。多少の毒の接種はワクチンとして有効ですが、接種しすぎたら中毒になって死ぬのと同じで、過剰なストレスは、成長に寄与するどころか深刻な害悪をもたらします。

Mさんは、仕事に「ブス」「デブ」という罵りの言葉が本当に成長の糧になると思っていますか?だとするなら、もし友人や後輩が「Mさんみたいに独立したい」と相談してきたら、成長させてあげるために「ブスに独立できるわけないよ(暗黒微笑)」「今の仕事もろくにできないのに?(暗黒微笑)」と言ってあげますか?「言うわけないわー」と少しでも思ったなら、私を含め周囲の皆も同じことを思っています。モラハラが成長させてくれるわけないわー。まじないわー。

まじめな人ほど、ブラック企業やモラハラから逃げない3つの理由

ですが、Mさんが「夫のモラハラによって圧倒的成長」と考えてしまう理由もわかります。

なぜなら、ブラック企業に勤めている社畜パーソンが、まったく同じことを言うからです。「過労死ラインを越える業務過多によって、同世代の誰よりも早く成長できる!圧倒的成長!圧倒的成長!」と、社畜パーソンは目をうつろにしながら口にします。なぜこのような考えになるのでしょうか?

次回は、ブラック企業の社畜パーソンとモラハラ被害者に共通する「心理構造」と「つらい状況から逃れられない3つの理由」を解説します。

続きの記事<「モラハラ被害に遭っている」という現実を自覚して、痛みと向き合って>はこちら

●ぱぷりこさん 恋愛ブログ『妖怪男ウォッチ』を書いている外資OL。恋愛市場にひそむ「妖怪男女」の見分け方を書いている。趣味は恋愛文化人類学、PDCAサイクル、お焚き上げ。

ブログ 「妖怪男ウォッチ」
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書籍 『妖怪男ウォッチ』(宝島社) 『なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか 18の妖怪女子ウォッチ』
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モラハラと愛のあいだ。