離婚してもいい

「スーツケース1つで子どもを連れて家を出た」私が離婚した理由

元夫のモラハラから、スーツケース1つで家から飛び出したメーカー勤務のAさん(35)。家が決まらず、子ども2人とウィークリーマンションを転々としたことも。離婚までに1年半がかかりましたが「もっと早く決断すればよかった。努力すれば、離婚せずに済むと思って頑張ってしまった。今思えば、努力の方向が間違っていたんだと思います」と話します。

●離婚してもいい

 授かり結婚でした。医師に「もうずっと排卵していない」と言われたことがあり、避妊せずにいました。交際3カ月目での突然の妊娠。ずっと諦めていた妊娠だったので、とてもうれしくて、結婚して産むことを決めました。

 相手は4歳上の取引先の人。交際期間も短かったので、結婚生活の決まりごともほとんどしていませんでした。長男を産んで2年後に次男を妊娠。私は早めの職場復帰を望んでいましたが、彼は「子どもがかわいそうだ、おまえはダメな母親だ」と。一番応援してほしい人が、一番の敵になってしまった。出産後は家事と育児の両立、お金のことでけんかが絶えなくなっていきました。

努力すれば離婚せずに済むと思っていた

 それでも、離婚は全然考えていなかったんです。
 授かり婚かつ、スピード婚ということもあり、親にはたくさん心配をかけたし、育児を1人でやれるかも不安でした。なにより、自分に対するプライドが一番大きかった。これまでの人生で、勉強も仕事も何でも努力すれば結果は出た。同じように、努力すれば離婚せずに共同生活を続けられると思っていたんですよね。

 環境を変えたら、うまくいくんじゃないかと思って、マンションを買うことにしました。もちろんそんなに甘くはなくて。新居での生活を1年続けた頃には彼に「離婚したい」と話すようになりました。でも「1人で子育てしながら働けるわけない。冗談だろ」と、本気にはしていませんでした。

一人の人間として、あなたとは暮らせない

 この頃、やっと”諦め”がついてきていました。信頼関係をこの人と築くことはできない、と。「私はあなたをいらないと思っているので、お願いだから離婚してください」と指輪をテーブルの上に置きました。「子どもがかわいそうだろ?」と言われたのですが、「私は子どものために生きているんじゃないし、一人の人間としてあなたとは暮らせない」と伝えました。

 翌朝、子どもを保育園に預けに行く彼を「いってらっしゃい」と見送りました。それが、彼との最後の会話。彼の姿が見えなくなると、急いでスーツケースに3日分の洋服を詰めて、入れ違いに家を出て、保育園に子どもたちを引き取りにいきました。保育園には事情を説明して「これから夫が迎えにきても引き渡さないでください」とお願いしました。ものすごく緊迫してましたね。絶対に見つかっちゃいけないって。

 その日は、近くに住む妹の家にお世話になりました。妹の家に着いた時には、張り詰めていた気持ちがとけて「自由を手に入れた!」と晴れやかな気持ちになりました。やっと息ができた。

ウィークリーマンションを転々と

 それからウィークリーマンションを転々と。10日、7日ごとに住む場所を変えていました。子どもたちには「今日からお家はここだよ」と話して、仕事の合間の昼休みにタクシーの運転手さんに協力してもらって家財道具を運んで引っ越していました。1カ月くらいそういう生活をしていると、実家の両親が「1カ月預かるから、部屋を探して生活を固めなさい」と助け船を出してくれました。

 家探しは想像以上に難航しました。夫婦で買ったマンションのローンもあるので、家賃は10万円以内に抑えたかったし、子どもと3人で暮らせる広さが必要。そしてなにより、母子家庭に貸し出してくれる部屋が少なかったんですね。

もっと早く「助けて」って言えばよかった

 家を飛び出すまで、誰にも離婚のことは相談していなかったんです。子育ても1人じゃ無理だと思っていたけど、今はみんなすごく助けてくれます。もっと早く、「助けてください、教えてください」って言えばよかったな。頑張り方のベクトルが間違っていたんです。

 離婚調停は1年半かかりました。最後は、「もうお金あげるから離婚してください」って。マンションのローンと家賃、引っ越し代……貯金を切り崩す期間でしたが、すべてリセットするつもりだったので、糸目をつけませんでした。自分の人生を考えると、お金よりも自由がほしいと思ったんですよね。

 離婚しなければよかったと思ったことは一度もないです。今、パートナーはいますが、無理して結婚しなくてもいいと思っています。ひとりで生きていける、助けてくれる人はたくさんいると知ることができたので。

未婚、既婚、子どもの有無、転職や独立の経験者。恋好き、旅好き、おいしいもの好き(缶チューハイ含む)。さまざまなstoryを持つ「telling,」編集部メンバー。
離婚してもいい