映画「食べる女」

『食べる女』主演・小泉今日子「間違えたっていい。また輝ける」

「人はおいしい食事をすると、体が元気になる。いとしいセックスをすると、心が優しくなる」。8人の女たちの日常を料理とセックスを通して描いた映画「食べる女」の完成披露舞台挨拶が8月30日、東京都内で開催されました。 主演の小泉今日子さんをはじめ、沢尻エリカさん、前田敦子さんや、原作者の筒井ともみさんらが登場。豪華メンバーが勢揃いして盛り上がった当日の様子と映画の見どころをお伝えします。

●映画『食べる女』に学ぶ、”私らしい”生き方

 原作は筒井さんの短編小説集『食べる女』『続・食べる女』の2作。映画化にあたって筒井さんは小泉今日子さんの主演を熱望し、スケジュールが空くのを2年間待ってようやく撮影に入ったといいます。

”キョンさん”と共演できたことが嬉しい

 出演した女優陣にとっても、小泉さんとの共演はとても大きな経験だったそう。

 「この作品を受けたきっかけはキョンキョン! 普段は段取りが終わるとだいたい別室に戻っていきますが戻らずずっとおしゃべりして。ご飯もあるし、女子会のようなテンションが本当に楽しくて、美味しい現場でありがたかったです」(沢尻エリカさん)

 「私もキョンさん(小泉今日子)に会えるだけで嬉しかったです!何もしていない時も目で追っている自分がいました。ファンですね」(前田敦子さん)

小泉さん「何もないより間違えたっていい」

 世の女性たちも、今をときめく女優さんたちも惹きつける小泉さん。この日も、キラリと光る存在感を発揮していました。「皆さんのように素敵な女性になるにはどうしたらいいですか?」との質問に、こう答えました。

 「何もないより間違えたっていいって思います。引っ込み思案で何もしない後悔よりも、『やっちまったな』っていうときの方が人は成長するような気がしています。皆さんも知っているとおり、私もいろいろと失敗してきてるんで(笑)。
 でも、そんな経験を乗り越えていくと、人って強くなれるし、また輝ける。周りに惑わされず、自分らしく生きたいなと思います」

「女性はこうあるべき」の枠を越えて

 失敗を恐れずにやっていけば、人はまた輝くことができる。このメッセージは、原作者の筒井ともみさんの考え方や映画への思いとも重なります。筒井さんはこう語ります。

 「生まれてから一番口にした言葉で多いのは、『ま、いいか』ですね。ま、いいかと思えばだいたい何とかなるし、ならないときは、今日は美味しいものでも食べて飲んで寝てしまおうと。意外と痛かったり寂しかったり悲しかったりしたことの方が、思い出の中で輝いているものですよね」

 毎日真剣に生きているからこそ、日々が鮮やかになる。

 映画でも、こうした姿勢が8人それぞれから伝わってきます。恋や仕事に悩み、ときに失敗しながらも、前向きに生きる女性たち。主人の敦子(トン子・小泉さん)が住む古びた日本家屋――通称“モチの家”に、人生に迷える女性たちが集まって、おいしいものをたくさん食べながら、たくさん話します。話題は、恋愛やセックス。

 マンションを購入して男に頼らないと決めていたり、ぬるい恋愛に飽き足らなかったり、人寂しくて都合のいい女になってしまっていたり、別れた夫への未練を引きずっていたり……。食べ物も男も自分の欲望に忠実な女性たち。みんな、全然違う。でも、「女性はこうあるべき」の枠を軽々と超えて、自分に正直に、まっすぐに生きている。そんな彼女たちの生き様に、私は強く惹かれてしまったのでした。

 本当の自分を見つけることは簡単ではないけれど、おいしいものがあれば、幸せ。ごくシンプルで、でもきっと優しい気持ちになるひとときが、映画ではたくさん描かれています。

(C)2018「食べる女」倶楽部

 ”食べる“女ってカッコいい。食べるって生きること、前に進むことだと思うのです。
 さあ、女たちよ! 美味しいものを食べてレボリューションを起こそうではないか。

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東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。