離婚してもいい

ただ、嫌いだったから離婚しました。人生の主役を自分に取り戻すために

「離婚するために結婚したんだと思う」と話す会社員のM子さん(40)。離婚したから気づいた「幸せになるための方程式」で、人生観が大きく変わったと言います。離婚を迷っている女性たちに「我慢も努力も必要ない。自分を人生の主役に戻して」と話しています。

●離婚してもいい

こんなシナリオ書いた覚えはない

 ただ、嫌いだったから離婚しました。
 もちろん、ずっと嫌いだったわけじゃない。過去のある時点から、嫌いだと思っていました。

「こんな理由で離婚なんかしちゃいけないよね」って思っていた時期もありました。なんとか離婚せずに済む方法があるかなって努力もしたけど、我慢している時ってうれしくない、楽しくない、幸せじゃない。じゃあどうなりたいのかを考えると、自然体でいたい、我慢したくない。今の私と全く逆じゃないかって。

 私の人生のはずなのに、いつの間にか私は相手の人生の脇役になって、人生を明け渡していた。こんなシナリオ、書いた覚えはない!って気づきました。そして何より「息を吸いたい」。そう思っている自分がいたんです。

漠然とした不安を解消するために結婚

 知人からの紹介で、お見合いみたいな結婚でした。35歳。どんな人と結婚したいかをばーっと書き出した2週間後に、その条件にぴったりの人が出現した。それから2週間でプロポーズされて、10カ月後に結婚しました。

 この頃、漠然とした言語化できない不足感が自分の中にありました。それが、結婚したら満たされるかもしれないって、どこかで思っていたかもしれません。

 20代の頃に見たドラマで「君には僕が必要ないと思う」と女性が振られるシーンがあって、私はそれを「怖いな」って思っていました。自立して満たされている女性には男の人が寄ってこない、頼りなくはかなげで、「来ちゃった……」とか言ってる女の子に流れていく、みたいな図が、画面の中にはよくあったので。だから、不足感を自分で埋めたらよくないというか、人に埋めてもらうちょうどいい方法が結婚なのかもっていうような、へんな思い込みがあった気がします。

あれ?が積み重なり疲弊

 付き合っている時から、相手に対してあれ?って思うことはあったんです。コミュニケーションの部分で、感情を汲み取ってもらうのに手間がかかるというか。でも、文学や小説が好きな人だったから、他人の心の機微がわからないわけがないと思い直して、自分を納得させていました。

 でも、結婚して「ちょっと違う」がどんどん積み重なり、気持ちが疲れていきました。感情の面だけでなく、ここまで言わなきゃわからないの? ということが増えていく。家事ひとつとっても、頼む負担を考えると、私がやった方が早いわって、我慢してきてたんですよね。

 その頃、私は飲食業の仕事をやめて専業主婦になっていたので、「養ってもらっている」という変な引け目もありました。裕福な人だったので、有閑マダムのような生活。私も打算的だったんだけど、この生活を手放したくないと思っていました。

離婚したい、でも

 結婚3年目。相手は、私に手を出すことはなかったけど、物を壊したり、大声をだしたりするようになりました。これはもう「暴力」だと思って、家庭内別居を始めました。

 離婚したい。でも、食べていけない。離婚したい。でも、この生活を手放したくない……。この「でも」をすべて書き出して、どうしたら「でも」をなくせるかを考えるようになりました。そこで、気づいたんです。不足感を誰かに補ってもらおうとしていた自分が間違いだったと。まずは自分で自分を満たすこと。「1人で満たされること」が大事なんじゃないかって思いました。

自分は自分でしか満たせない

 結婚前の自分は80%で、どうしたら残りの20%を満たせるのかと考えていました。結婚すれば相手に20%分けてもらって100%になれるかと思っていた。だけど、違うんですよね。自分も、相手に20%分けるんです。だから、満たされるはずが、逆に減る。お互いに60%同士になるんですよね。

 私がやるべきことは、1人で100%になること。そして経済的にも、仕事を始めて自立すること。両親を早くに亡くして緊急避難的に帰れる実家もなかったので、まずは家を出て行くための資金を貯め始めました。最終的には、離婚調停になりましたが結婚5年目で離婚となりました。

 20代の頃は「君には僕が必要ない」って怖い言葉のように思えたけど、今は「君には僕は必要ないし、僕にも君は必要ない」と言えるくらい、それぞれが100%満たされている人となら、もう一度結婚したい。それなら、足して200%にも300%にもなると思うから。

 私が結婚した理由は、「離婚するため」だったと思っています。離婚を経験したから、それぞれが自分一人で100%満たせている2人じゃないと、お互いに不幸になると学べた。だから、結婚して本当に良かったと思っています。

20~30代の女性の多様な生き方、価値観を伝え、これからの生き方をともに考えるメディアを目指しています。
離婚してもいい

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