団体職員(45歳)

育休復職のポイントは、無理せず今できる範囲で一生懸命やること

団体職員(45歳) 技術系の職場で120人中、女性は自分1人。当時は、目立つのを避け、「気配を消して溶け込むこと」を心がけたといいます。やがて女性が徐々に増え、いくつかの部署を経て、39歳と42歳で出産。管理職になってからの育休を機に、育休後の職場復帰を支援する活動に公私で取り組むように。仕事と育児、両立のコツは?

 現在は、研修センターで人材育成を担当しています。専門である技術系の研修に加え、管理職予備群向けのセミナーでは、キャリアアップの意識向上のひとつとして育休復帰に関する話をすることが増えました。
 34歳のとき、メーカーの研究職の夫と結婚。当時、私はテレビ中継の現場で技術者として働いていて、海外出張もしていました。39歳で1人目の子どもを出産、復職してから2人目を妊娠したときは管理職になっていました。

 自分が復職するときに部下にどう対応したらいいか、他社のことを知りたいと思い、育休中に地域の子育てサロンに参加したのです。それが縁で、復職ママのためのワークライフバランス講座で講師をすることになり、職場とプライベートで復職支援にかかわっています。

仕事と生活のバランス、3つのポイント

 講座では、育休後の職場復帰について、私の経験から3つのポイントをお話ししています。仕事の内容や出産した年齢、実家のサポートがあるかなど、状況は人それぞれ違いますから、正解はありません。自分が納得できる働き方を見つけるヒントになれば、と思います。

  • ●育休復職後の考え方、3つのポイント
  • (1)無理はしないで、納得できる働き方を見つける。
  • (2)完璧を求めない。仕事もプライベートも7割できればOK。
  • (3)効率化を図る。

 仕事とプライベートの合計200%ではなく、両方合わせて100%と考え、それも70%できればいいと思うこと。そのかわり、無駄を省いて効率よく、早くやることを心がけるといいと思います。
 仕事は100%完成させようと自分の手もとであたためるのではなく、70%のところで他のメンバーと情報共有しておけば、急に休むことになったときに他の人がフォローしやすくなります。また、社内資料の作成なら、体裁などに手間をかけず(無駄を省く、完璧を求めない)、内容が伝わればいいと割り切る(70%の出来でOK)など。仕事とプライベート、様々な面で応用できます。

休んでも頑張っても、1年後、周りの人は覚えていない

 他の人と同じペースで働けないことに負い目や引け目を感じたり、「早く帰ったらどう思われるか」と周りの目を気にしなくて大丈夫です。子どもが熱を出して早く帰ったとしても、また無理して頑張ったとしても、1年後に周りの人は覚えていないでしょう。5年後となれば、なおさらです。

 ただし、状況を「察して欲しい」は通じませんから、自分から具体的に「どういう状況で、どうして欲しいのか」を説明することは必要です。

復職前に準備を。どんな働き方をしたいのか、考えをまとめておく

 講座では、「復職前に上司に、どれくらいの仕事をしたいか、どんな働き方をしたいか、きちんと伝えて」と話しています。面談前に自分の考えをメモにまとめて、心の準備をしておきましょう。また、3カ月に1回は、自分から面談を申し込むといいですね。
 上司の出方を待ってから答える、というのは失敗するパターンです。準備をしていないと、できそうもないことを言われても、つい「できます」と答えてしまいがち。それで続けられなくなって、正社員からパートに変わった人もいます。
 仕事を断るときには「“今は”できそうもない」と「今」を加えて、やわらかく、余韻を残すのがポイントです。
 今はできなくても、半年後や1年後、また子どもが3歳になったら、できるかもしれません。だから、今は無理をしないで、自分ができることを、できる範囲で一生懸命やればいいのです。今の環境で、自分が納得して働ける方法を考えることが大事です。

迷うのは、やりたいから。覚悟を決めたら動き出す

 「プロジェクトをやってみないかと打診されて、迷っている」という相談も受けます。今の状態で手いっぱい、これ以上できるのかな? そう思いながらも迷うのは、やりたいから。
 私は「迷ったら、引き受けたらいい」と話します。やってみていき詰まったら、「この部分はできない」と伝えて、軌道修正していけばいいのです。引き受けて後悔したという話は、まず聞きません。チャンスを逃したと後悔するのは、圧倒的に引き受けなかった人です。
 迷っていても何も始まらない。「やる」と覚悟を決めたら、サポートする人が現れます。なんとかしようと自分が動くから、状況が変わるのでしょうね。

渋谷にて

女性向け雑誌編集部、企画制作会社等を経て、フリーランスの編集者・ライター。広報誌、雑誌、書籍、ウェブサイトなどを担当。不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
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