部下が社内で私的チャットやメールしまくり…注意していいの?
●教えて!弁護士センセイ telling,の「法律未満の何でも相談」04
B子:A子、お疲れ様。
A子:あ、B子さん、お疲れ様、ちょうどいいわ、ちょっと相談したいことがあって。
B子:あら、A子が相談なんて珍しいわね、どうしたの?
A子:経理部で私の部下のC子さんとD子さんのことなんだけど。
B子:あの2人はちょうど2年目で経理部にも慣れてきた頃だよね。
A子:実はあの2人、勤務時間中に業務用のPCを使用してしょっちゅうチャットやメールをしてるのよ。
私的なチャットやメールはどう注意すべき?
B子:業務とは関係ない内容なの?
A子:全く関係ないプライベートな内容なのよ。合コンのこととか、飲みに行く相談とか。
B子:まぁ、少しくらいなら大目に見てあげたら?
A子:それが結構多くて、トータルで1日1時間以上はやっているみたいなのよ。
B子:勤務時間中に1時間以上は多いわね。注意したほうがいいよね。
A子:私も注意したほうがいいと思うんだけど、勤務時間中におしゃべりしたり喫煙所で喫煙したりトイレに行くことは許されているじゃない?どこまでがOKでどこからがいけないのか自分でもよくわからなくてさ。
B子:確かに線引きが難しいけど、以前、法務部で顧問弁護士さんを呼んで講義してもらったことがあって、確かそのときの資料が机の中に(ゴソゴソ)……
A子:そういう資料があるなら助かるわ。
B子:資料あった、えーと「労働者の義務として、労働時間中は職務に専念し他の私的活動を差し控える義務を負っている」「勤務時間中に私的なチャットを行った場合、この職務専念義務に反することになる」って書いてあるわ。
業務に支障が出る場合は、懲戒処分がくだされることも…
A子:だよね。どこまでなら許されて、どこからがNGなのかな?
B子:えーと、「チャットの時間、頻度、上司や同僚の利用状況、事前の注意指導及び処分歴の有無等に照らして、社会通念上相当な範囲内といえるものは職務専念義務に反しない」だって。
A子:そうすると、ケースバイケースで常識に照らして判断するってことになるのね。
B子:そうね。この講義の題材となった裁判例は、1日1~2時間の私的チャットを7カ月もやっていたみたい。社内で許される私語の範囲を逸脱し、職務専念義務に違反すると認定されているわね(東京地裁平成28年12月28日判決を簡略化しています)。
A子:そうなんだ。C子さんとD子さんのチャットはまだ3カ月目くらいだけど、とりあえず注意はできそうね。
B子:注意しても止めずに業務に支障が出た場合は、懲戒処分を下すこともできるわよ。
A子:ええっ、物騒だね……でもありがとう、自分の考え方が間違っていないって確認できたからよかった。
B子:厳しく監督してね!
A子:パワハラって言われないように穏やかに言い聞かせて注意するつもりよ。
B子:そうね、最近はちょっと厳しく言っただけでパワハラとか言われちゃうから気を付けてね^^
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■澤井康生先生のプロフィールはこちら
元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。弁護士でありながらMBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所非常勤裁判官、東京税理士会インハウスロイヤー(非常勤)も歴任。公認不正検査士の資格も有し企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。東京、大阪に拠点を有する弁護士法人海星事務所のパートナー。代表著書『捜査本部というすごい仕組み』(マイナビ新書)など。
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