無理しない婚の秘訣「他者の“普通”を持ち込まない」
●私らしい“結婚”――無理しない婚〈後編〉
お互いにメリットを享受しあう関係
――ご結婚なさって、7年半。一度もケンカがないということですが、夫婦円満の秘訣はなんでしょう?
シムさん(以下シム) 利害関係でつながっているからですかね。契約結婚に近いかもしれません。お互いに相手のメリットを享受しあう関係。それから、リスペクトしあう関係。彼女は結婚前に「シムちゃんが望む家事をやります」と言ってくれていて、それを今でも実行してくれている。本当にすごいと思うし、感謝しています。
れのれのさん(れのれの) 恋愛のような「なんかわかんないけど大好き!」というのではなく「こういう条件が私にとってはメリットです」という関係なので、そこは崩さないように努力しています。めちゃめちゃ楽な生活をさせてもらっているので。
「してあげた」って何でいうの?
――「養ってあげてる」とか「ご飯をつくってあげてる」とか、「~してやってる」と思ってしまう人も多いと思うのですが、お二人からそういう言葉が一切出てこないのはなぜでしょう?
シム 相手のために「してあげた」っていうのは、本当に相手がほしいかわからずに、している状態だと思うんです。してもらう方からすると、身勝手な行為にもなっちゃう。必要な行為かどうかって、相手に聞けばいいと思うんですよね。「これいりますか?」って。
れのれの 尊敬している上司や社長に「このプレゼント、あなたのために用意したんだけど」って言いませんよね。私はシムちゃんのことを、そのくらいリスペクトしているんです。この人、高校生の時からの夢を叶えたんですよ。(シムさんの自慢話を10分ほど、省略)。ね!私の夫すごいでしょ!
シム 恥ずかしいから(笑)。ありがとう。それから、俺たちは「察してよ」「わかるでしょ?」というのは、なしにしています。してほしいことはちゃんと言葉にする。それから、他者の軸を持ち込まない。「普通はこうでしょ?」とか「あそこの家はああだって」とか。よそはよそ、うちはうち。二人にとってメリットがあればいい。
他者軸の「普通」を持ち込まない
――「“普通は”一日中ゲームしているなんてありえない!」とか、「“普通の”専業主婦ならこれくらいするよね!」という言葉が苦しめている、と。
れのれの ママ友やパパ友にも振り回されているのかなと思います。羨望や劣等感で軸がぶれてしまう。でも、大事なのは2人の関係。「普通」がどうであろうが、私はシムちゃんに1日中大好きなゲームをしていてほしいし、そのための家事をしたいと思っている。
あと、専業主婦っていうとすごく上を求められるじゃないですか。おかずたくさんのご飯をつくって、きれいな家を保って……って。でも、それって必要なのかな。シムちゃんの場合は、おいしいご飯さえでてくれば十分。洗濯物もたたんでないけど、かごに入ってるよでOKだったりする。最低ラインさえ守れていればいい。
シム 俺たちのなかで家事の最低ラインっていうのは話し合ってるので、俺が十分と思えばそれでもう、彼女は立派な専業主婦なんですよ。
れのれの 私がよく相談を受けるのが、奥さんの方が勝手に専業主婦のハードルをあげちゃってるパターン。旦那はそんなことまで望んだのか? と聞くと、「そんなことない」って。不特定多数の人のために家事をしているのではなくて、夫のためにサービスしているんだから、「これでいい?」って聞けば良いのにって思うんです。
それを外からの基準を持ちこんで「こうあるべきなのに、できない!」ってなるのはおかしいなあって。私の主婦業なんて、外の基準からしたら全然できていないだろうし(笑)。
――お子さんのご予定はありますか。
れのれの 今産んだら損だと思うんですよね。社会保障もないし、保育所も足りていないっていうし。今120%幸せで、子どもをうんだら150%幸せになれるイメージがつかないんです。この先、幸せなイメージに傾くことがあるかもしれないけど。
出産にはリミットがある、とは言われますけどそれも「あなたに関係ありますか?」という感じです。どこまでも損得勘定になっちゃいますが、まだお得な感じはしないんですよね。
――そんなにお互いのことがわかっていても、「恋愛感情」はない? お互いに好きな人ができる可能性もありますか?
シム 恋愛している暇あったらゲームしたいんで、いらないです。
れのれの 私もマンガ読んでいたいです。
- ●れのれのさんプロフィール
夫シムさんとの出会いから結婚までを描いた「ネットであって30分で結婚を決めた話」がツイッターで人気を呼び、2015年に秋田書店より書籍化される。今年8月に続編となる「ネットで会って30分で結婚を決めた話 無理しない婚」を出版。