結婚制度はもう古い?制度が社会の変化に追いつけない時代の歩き方
「いやあ、うちら損だよね〜。絶対20年後くらいには今の結婚の形なくなってそうなのに、ちょうど谷間の時期だから、理不尽なこといっぱいあるじゃん」と、友達のハイスペ女子が、ケラケラ笑いながらワイングラスを揺らしていた。
彼女は、結婚して、仕事も続け、しかも日本トップクラスの実績を上げている。夫婦仲は良好。
普通じゃない結婚の形に怒る人たち
telling,の編集に携わっていると、「普通じゃない」結婚の話をたくさん聞く。
一夫多妻制、契約結婚、オープンマリッジ、事実婚…。
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- 契約によって”運命の人を見える化”すれば、月末にも結婚できる
- 婚外交渉OKの夫婦に聞く「いろんな男性を知った上で旦那に思うこと」
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当事者のみなさんは、それぞれ幸せそうにしている。でも、こういう内容の記事を読んで怒る人が結構たくさんいる。自分の人生に関係ないのに、なぜ?
「ルール」を破る人は嫌われる
実は、怒る人の気持ちがちょっとわかる。私のステータスは”既婚子なし”なのだけど、不倫の記事を読んだ時は、瞬間湯沸かし器のように頭がカッとなった。「こんなことがまかり通ったら、夫が他の女と子どもを作ってしまうかもしれない」と不安になったからだ。
ポリアモリーな人の存在を知った時も、反射的にぞわっと悪寒が走った。「世の中みんながポリアモリーだったら、モノアモリーな私は誰とも恋愛できなくなっちゃう」と怖くなったからだ。
今の自分の快適を守っているルールを破る人は、自分の幸せが脅かす存在。恐怖が怒りにつながるのも当然だ。だから、記事を読んで怒る人たちの気持ちがわかる。
あれ?その「ルール」って、いつから決まってるんだっけ?
でも、ふと冷静になってみると、一夫一妻制の結婚制度で家族を作って……っていう今のルールは、つい最近、ここ200年弱のこと。直近3〜40年だけに注目しても、恋愛結婚が一般化し、婚前の性交渉は当たり前になり、授かり婚でも誰も何も言わない世の中になって…と世の中が変化してきた。
みんなが思っている「ルール」は、想像以上のスピードで変わる。そんなことに思いを馳せると、不倫にイヤイヤ言ってるのって、たった今、私がたまたま生きてる時代のルールにこだわっているだけでは?と思ったりする。
こんなにコロコロ変わるルールにこだわってる自分って何なんだろう……?
私たちが変なわけじゃない
telling,読者のみなさんは、こんな風に「今のルールにこだわる必要ってあるんだっけ?」と気づいてしまう人が多い気がする。そして、みんな優しいから「あれ?自分の方が変なのかも?」って悩んでいたりするのではないかなと妄想している。
でも、私は声を大にして言いたい!
「それ、あなたが変なわけじゃないですよ!」と。
本来ならみんなが生きやすくなるようにルールがちゃちゃっとアップデートされていけばいいのに、ルールが変化するスピードがあまりにも遅いだけ。私達の変化のスピードが早すぎる。そう思ったら、ちょっと気がラクになりませんか?
私はなりました。
「ルール」が社会の変化に追いつけない時代の生き方
そんな結論に至った今、私は、不倫もポリアモリーも一夫多妻もオープンマリッジも、みんな好きにしたらいいと思う。人は人。自分は自分。
ただ、「夫が不倫をしたら悲しい」という気持ちに変わりはない。それは私の問題だから、その気持ちを夫に伝え、その後彼がどうするかは彼次第だ。「不倫されてもいい」と言い切れるほど私は強くはないけど、まあ、人は人、自分は自分だから、しょうがない。不倫されたら苦しいし、その苦しさに耐えられなくなったら離婚するまでだ。
ちなみに、ケラケラ笑っていたハイスペ女子。
冒頭のセリフを吐いた後に、ふと鳴った携帯を見ながら「わ!どうしよう!!」と目をハート型にしていた。海外出張先でナンパされたイケメン外国人から連絡が来たらしい。「もう2度と会うこともないけど、急に”元気〜?”とか連絡があるの」と嬉しそうに教えてくれた。
結婚生活に問題はない、でも、今の結婚制度に違和感を持っている。そんな彼女は、「グレーゾーン」な楽しみを持つことを選んだようだ。
今の時代のルールの中で楽しくやってくためにグレーな道を選び(だけど優等生だから絶対黒にはならない)、その違和感を笑い話に昇華できる彼女のことを、強くて賢くて、でもなんだか儚げで、とにかくめちゃくちゃ魅力的だなぁ思った。
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