【真船佳奈】#13 タイの民族衣装で見合い写真を撮ってきた【ぼっち旅】
●最高に楽しいぼっち旅をしよう!灼熱のタイ編
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皆さんは、「お見合い写真」を撮らされたことがあるだろうか。私はある。
遡ること8年前、大学の卒業式の日のこと。
皆華やかな女子大生生活の終焉を彩るかのような美しい袴に身を包んで写真を撮り合っていた。一方私はなぜか「血のような赤と漆黒の組み合わせが最高に禁断な感じで美しいね!」とかなり遅れてやってきた厨二病に浮かされ、何を思ったか無地の赤い着物に黒い袴を着て周りの友達に「呪いの市松人形」というあだ名をつけられた。
ひどく傷ついた私はすぐ袴を脱ぎ捨てたかったが、実家の母に「あんた!袴姿の写真は見合い写真になるんだよ!明日にでも撮ってきなさい!」と怒られ、
卒業式が終わったにも関わらず、翌日また地獄の市松人形ルックで写真館に行く羽目になった。
「いい男性に見初められるための写真なら仕方ねえなあ…」と重い足取りで撮ってはみたものの、今日の今日まで一度もこの写真を男性に見せたことはない。
でもよく考えたら、この毒っ気の強い写真をみて「うわ、真船さんいいなあ!」と思ってくれる男がいたら、それはそれで相性が合う気もしてくる。
すでに一応彼氏いるけど、保険として持っておくに越したことはない。
たった1枚の写真で相手を判断する古風な文化「見合い写真」。
今あらためて、私の個性を表す最高にアクが強い見合い写真を、タイで撮ってやろうじゃないの。
というわけでやってきたのはバンコクの中心部にある、「Thai Style Studio」。
伝統衣装を身にまとい、メイクアップまでしてもらえる写真スタジオ!
今日はここで最高にアクが強い写真を撮っちゃうよ!
ちなみに観光客も多いので、英語が通じるので安心。
料金はというと、結構お高め、観光客価格。
1着であれば1500バーツ(約5000円)で撮影できるけれど、
今回はなんてったってお見合い写真!2着衣装を着ちゃいまひょ!
ということで3500バーツ(約12000円)のコースを選択。
まず、分厚い六法全書みたいな写真ファイルを渡され、その中からお好みのファッションを選ぶ。
どのページをめくってもラスボス感がすごい。トレーディングカードにしても良さそう。女性たちは皆楽しそうに迷っていたが、帰りの飛行機まで時間がない私は「いくらと明太子!どっちも魚卵でファイナルアンサー!」 と、コンビニでおにぎり買うより早く即決。 こういうのは勢いが大事なんだよ!
早速店の奥へ移動し、撮影の準備。「なんか罪でも犯して追われてんのかい…?」っていうくらい訳ありな格好をした男性にヘアセットをしてもらう。
奥のデスクの男性は、ひたすら撮影した画像の加工をしている。
タイ滞在も最終日、顔が疲れ果てて無の表情である。
これから楽しい写真を撮るはずなのに、誰も楽しそうじゃない、不思議な空間。
6畳くらいのかなり狭いスペースに、所狭しと衣装が並べられている。
髪の毛を簡単にまとめてもらった後は衣装を着用。
「あれ私ちまきだったかな?」ってくらいスムーズにクルクルと巻かれていく。
ここで、「あ、すいません、せっかくなので、衣装をまくり上げて腹を出して撮影したいんですけど…」と伝えると、(え?!腹わざわざ出さなくてももうめちゃくちゃ突き出てんじゃん!)みたいな反応をされたけど私は強い子決してめげない。
布を引っ張ったり巻いたり私の周りは大騒ぎなわけだが、一切動じずにひたすら画像の加工をしている奥の集団もすごい。
原宿のカフェで一心不乱にケーキの写真撮って無言で加工してるギャルたちと同じくらいの賢者タイム流れてる。
頭の上に乾いたもずく酢みたいな物体を乗せて…
ムッチムチの肢体に昔雑誌の後ろについていた通販広告でおなじみサ●宝石で買ったようなやっすい感じのアクセサリー装飾を施す。
同時並行でメイクも仕上げていく。写真写りが映えやすいよう、ちょっぴり濃いめのメイク。
ワイのお腹のお餅は今日も元気ですよー^^
タイ風メイクはつけまつ毛もバッチリつけて目元を強調していくスタイル!
(どうしよ〜濃くなっちゃわないかな〜)と心配していたが
完成してみるといつもの私のメイクと変わらなかった。
私のメイク年表は私がどギャルだった時代から更新されていない。
白をグラデーションに使用しているので、目を閉じても目を開けてるみたいな迫力がある。何を言っているかわからないかもしれないがそういうことだ。
ものの15分でタイスタイルが完成!さっさと撮影スタート!
店の外がすぐスタジオになっているので、ショッピングモールを行き交うお客さんの目に晒されながらの撮影。それにしても私の腕、子供4人くらい一気に軽々担いで誘拐できそうだな。
突如武器のようなものを持たされて撮影する。撮影中はされるがままなので、次々不思議なアイテムを持たされるが、微笑みを絶やさないようにするだけで精一杯だ。
寝ポーズなども撮影する。需要ある無しに構わず、もうひたすら受動的に言うことを聞き10分ほど撮影。
ちょっとおじさんといい感じに見えてしまうのはシャクである。
撮影を終え、瞬殺で2着めに着替える。
もうカーテンすら閉めてもらえない。
多分アスパラに豚肉巻くのと同じ感覚で着付けされてる。ブヒイ
2回目の衣装は在りし日の紅白歌合戦で見たようなラスボス感ある衣装にしてみた。悪魔の戴冠式さながら、エレクトロニカルパレードの車みたいなのを頭に乗せてもらう。
あっという間に完成!
こんだけアクの強い衣装を着ているのに腹に目線が行ってしまう。とんだスポットライト泥棒。
ライオンキングに出てきそうな迫力がある。
撮影までしばらくの間店の外で待たされる。完全に客寄せパンダ状態。いや、客、寄せられてる…?「こいつ金払って何やってんだ」って目で見られてない…?
というわけで2着目も無事撮影が終わり、後は後日写真のデータが送られてくるのを待つことに。
(写真加工に時間がかかるので、タイ旅行初日に撮るのがオススメ!)
そして届いたお見合い写真がこちら。
驚くほどの加工能力である。
あんなに主張していた腹が、二の腕が、何事もなかったかのようにスッキリしている。贅肉の殺し屋なの…?
こんなに加工能力高いのなら、もう衣装を着ないで後から合成することも可能だったんじゃないかってレベル。
むしろこの加工技術を教えてほしい。弟子入りして一生捏造写真作っていたい。
しばらくこれらの写真を見て(このお見合い写真なら…いけるかも…)と思ったりもしたが、同時に(こんな加工バリバリの写真を見て気に入ってくれる奴って、女を見る目無さそうだよな…)と思ったりもしたので、お見合い写真採用は諦めて実家の仏壇に飾る事にした。
かくして渾身のお見合い写真は、「めちゃくちゃアクの強い遺影写真」となったのだった。
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