【真船佳奈】#10 自撮りで「デートに行ってきた風」の写真を撮影する術を見つけてきた【ぼっち旅】
●最高に楽しいぼっち旅をしよう!灼熱のタイ編
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突然だが、私は「彼氏と海外旅行に行く」というイベントに非常に憧れを抱いている。夏休みシーズンになると、Instagramに「彼氏と行ったっぽい」南国の写真が並ぶ。どいつもこいつも彼氏が撮ってくれたと思しきプールサイドで撮った写真やら砂浜で風に吹かれる写真やらをアップしていて、それを見るたび「いーーーーーなーーーーーーー!カレピッピと海外のビーチに行って、最高に可愛い私の写真撮って欲しいわーーーーー!」とため息をついていた。
一方、私は彼氏と大阪旅行に行って帰りのバスが爆発し、レスキュー隊に救助されているような女である。こちらがその写真だ。10年前の写真ではあるが、どんだけ映えないんだよ。
こんなレアな体験はしたことがあるのに、30年間生きてきてついぞ彼氏とビーチリゾートに行くことも、砂浜でかけっこすることもない人生だった。
これではいけない。私は、彼氏に写真を撮ってもらえずとも、砂浜で映える写真を撮れるようにならなくてはいけない。そういう強い人生を生きていきたい。
というわけで、「ぼっち旅っていいながらカメラマン連れてるのって正直アウトじゃないんですか」と思ってたあなたに朗報、本気で一人っきりのビーチサイドである。ここで彼氏と南国ビーチ楽しんじゃってます風写真を撮影していこうと思う。
さて、やってきたのはパタヤの中でも憧れの高級ホテル・デュシタニパタヤのプライベートビーチである。どうして憧れの高級ホテルに一人で泊まりに来てしまったのかは人生の七不思議である。おまけに、バンジージャンプやら虎もふもふやらしていたらもうすっかり日が暮れかけている。フラッシュ撮影装置を持ってきていないので確実にタイムリミットが近い。
<ミッション1・彼氏に撮ってもらっている風写真を撮る>
可愛い彼女のこの瞬間を記録に残したい、そういう一心で男はシャッターを切るのだろう。そんな酒と泪と男と女みたいな心情で撮られた写真がInstagramには無数に上がっている。
一方、私は「汚部屋で腹を出してピザポテトを食っている写真」だの、「ありえない寝相」など、報道写真家的な感覚で写真を撮られることが多い。
違うんだよ、こういうピュリッツァー賞的な写真じゃなくて、「も〜何撮ってんのwやめてよ〜!」みたいなイチャイチャの雰囲気が伝わってくる写真が!ほしいんだ!よ!
というわけで、今回お供に選んだのはNYでも大活躍だった「死ぬほど伸びて三脚にもなる自撮り棒」。なんと2メートルくらいに伸びるんだぞ〜!
割とプロ向けの釣竿っぽいコイツに携帯をくくりつけて、いざ「彼氏に撮られてるっぽい写真」撮影スタート!
ちなみに雰囲気を出すために、私はアマゾンで「腹 隠れる 水着」で検索して買った水着を着用している。
コツとしては、「自分より背が10センチくらい高い彼氏が撮っている」と思われるちょい上からの画角を死守しつつ、自撮り棒を持っていると悟られないように、なるべく肩が写り込まないようにすること、そして脳内彼氏を作成し、彼とデートする自分を想像しながら柔らかい表情を作ることだ。ガラスの仮面を熟読していた経験が生きる時が来た。
「ん〜、南国の風は気持ちいいねえ」
「やだ、また私の写真撮ってんの?笑」
「もー、すぐ隠し撮りするんだからなあ、桔平は!笑」(椎名桔平が好き)
「ありがとうね…私が落ち込んでるから、海、連れてきてくれたんでしょ…」
「大丈夫、私、桔平がいれば、この先も頑張っていける気がするよ!」
「…海風、強くなってきたね。」
「どうしたの?桔平…黙っちゃってさ…」
「桔平のこと、私、だーーーーーーい好きなんだからね笑
海に、叫んじゃおっかな笑 愛してるぞ〜!」
「だーーーー」
「いーーーー」
「すーーーー」
「きーーーーー!大好きだぞ!桔平!」
「桔平、写真ばっか撮ってないでなんとか言ってよもう〜!」
「き…桔平?」
<ミッション2・海辺で遊んでいる写真を撮ろう>
さて、彼氏と海辺に行ったらやりたいことランキング2位は、浜辺で追いかけっこだよね。感覚が昭和と言われようともしょうがない。
サンダルを脱いで裸足になり、一人で追いかけっこをしてみようと思う。
三脚を設置し、10秒タイマーをかけていざ、追いかけっこ!
走る!
走る!おれーーーたーーーち!
と爆風スランプ並みの走りを見せてぼちリンピック金メダルを撮ったところで、
いざ写真を合成してみると…
もう完全に青春の1ページな訳である。
誰かかけて!カーペンターズかけて!
<ミッション3・ジャンプ写真>
我が家ではよく正月のカウントダウンの時に「年越しの時は地球にいたくねえからよお」と、急に姉が0:00になるとジャンプする怪現象が起きていた。その怪現象は全国様々なインスタ映えスポットで起こっており、みんながみんな手を繋いでジャンプして写真撮っちゃってるのだ。楽しそうで羨ましくて仕方ない。
しかし、一人だとどうも寂しい。そこで合成技術を駆使して、このような写真にしてみた。
どうだろう。一気に怪奇現象感が増した。
<ミッション4・組体操をしよう>
もう工程は割愛するが、一人でも立派に組体操ができる。そう、Iphoneがあればね。
<ミッション5・ナイトプールで彼氏に写真撮ってもらいたい>
さて、日も暮れてきたし、周りの人の目もだいぶ痛くなってきたので、ホテルに移動。
超素敵なプールが貸切状態だったので、飛び込み、バシャバシャと自撮りをしまくる。
「あ!いい、はしゃいでる感出てるう!」と20枚くらい撮りまくった後で、申し訳なさそうにホテルマンが近づいてきて、
「あの…営業時間終わってるんですけど…」と言ってきた。
変な日本人が一人満面の笑みで写真を撮りまくっているのでなかなか声がかけられず、一部始終をずっと見ていたらしい。
死にそうに恥ずかしくなって、すぐにプールから脱出するときの私の写真が偶然にも残っていたので、こちらで締めたいと思う。
結論:やっぱりみんなは彼氏に撮ってもらったほうがいいよ。
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