【真船佳奈】#5 生きてるけど地獄に堕ちてきた【ぼっち旅】
●最高に楽しいぼっち旅をしよう!灼熱のタイ編
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小さい頃から母親に「食べてすぐ寝たら牛になるよ!」とか「早く寝ないと鬼が来るよ!」と言われて育った。夜更かしをしていると母親が「あなたの知らない世界」テイストで「草木も眠る丑三つ時…」とささやいてくるのが怖くて必死で目をつぶった記憶もある。
そのうち牛になるのも、鬼が来るのも、丑三つ時になって草木が眠るのも怖くなくなって、食べてすぐ寝るわ夜更かししまくるわで結局牛になってしまった。
母のあの脅しはある意味本当だったのだが、もう完全に開き直って生きている私にも怖いものがある。
それは「地獄」だー…!
なんだよ、地獄って。怖すぎんだろ。
断片的な情報だが、なんらかの罪状でそこに落ちると体を一生切り刻まれたり、舌を一生抜かれ続けたり、剣山の上を歩き回らされたりするらしい。
舌って一回抜いたら終わりじゃないの…?!そんなニキビの角栓みたいに何度も抜けるもんなの?!ツボ押し板だって痛いのに剣山の上歩くってどんだけ?!
おまけに地獄のタチの悪いところは、行った人が死んでしまっているので経験談が一切語られないところだ。
地獄の食べログがあったら「やっと行ってきました地獄…★僕は剣山をオーダー(^▽^)ノ 案外気のいいオヤジが店主で、皆さんのレビューにあるほど痛くはなかったかな?(;^^)むしろ病みつきだったりして(笑)ただ、メニュー数が多くなかったのでリピはないかなあ…期待を込めての3・4です。」みたいなおじさんの陽気なルポもありそうなものなのに…。
そんなわけで、この度 予行練習も兼ねて生きながら行ける地獄に落ちてきた。
何を言っているかわからないかもしれないが、タイには「地獄」を再現した寺がたくさんある。今回はその中でも規模が馬鹿でかい「ワットパイロンウワ」に行って見たのでその模様をお伝えしようと思う。
ちなみに結構エグいので、ケチャップ系のものを食しながら見るのはお勧めできない。
さて、やってきました地獄寺。この日の気温は38度。
ドラでも鳴らさないとやってられないような酷暑。「あついよ!(ドワワワ~ン)あついよ!(ドワワ~~ン!)」ドラを鳴らしてもひとり!
こちらの寺、内部は普通なのだが、外に出た瞬間、異様な光景が広がっている。
人だかりができているので近づいてみる。え?なになに?サンバカーニバルやってんの?
色白の人々が皆一斉に私を出迎えてくれる。微笑みの国だなあ…^^とニコニコして近づくと
うわあああああああああああん!!!!お母さ――――――――――――ん!
やたら肋骨の本数が多い長身の亡者たちが、こちらに向かって不敵な笑みを浮かべている。身長180センチ以上ある。私が身長163センチだから、キスするときの理想の身長差って、こういうこと?!
その数、およそ200体以上。よく見ると全ての人形に個性があり、髪がある人とない人がいる。
ビジュアル系っぽい髪型や、隠毛を文字通り死守している人もいる。「ブラジリアンワックスやっときゃよかった~地獄で裸だと思わなかったし~」とならないように私もVIO脱毛頑張ろう。
小学校の鼓笛パレードのように、綺麗に横一列に整列している。
「翼をください」とか演奏してるのかもしれない。
この辺りで、気温40度。暑すぎてカメラがぶっ壊れ始めた。まじで地獄じゃねえか…!
さて続いては、ポップな色合いのこちらのコーナー。
どうやら生前犯した罪によって血の出ている箇所や肉体のキープ加減が違うらしい。
ショッカーみたいな見た目になってしまった亡者たちは何の罪を犯したんだろう。あるいは、全身タイツを着たまま亡くなったという可能性もある。
働き方改革の影響だろうか、地獄の番人にやってもらえず自ら舌を抜いている人もいた。究極の省エネである。
「もー、男子。自分のことは自分でやりなさいよね!」と言いながら自らの腹をかっさばく学級委員長みたいなサバサバ女子もいた。おっぱいだけやたら精巧に作り込んでいるところに制作者の愛を感じる。
「はい、二人ペアになってね〜」と言われたもののあぶれたらしき二人組が、目を逸らしながら自傷行為をしていた。ペアになる意味、ある?
そんな中、少数精鋭の鬼たちが大忙しで罪人を罰しているゾーンも。舌が伸びすぎて稲庭うどんみたいになっとる。こんなに長いんじゃ、引っこ抜くのも大変だろう。
人材不足で鬼が足りないのだろうか。ハゲタカも総動員。
ここまで食われてるのにまだ綺麗に上体をキープできているのはすごい。生前ピラティスで相当体幹を鍛えたのだろう。
ハゲタカに犬、あと猿がいれば地獄の桃太郎の完成。
途中観音様がいるゾーン(しかも数少ない日陰)があり少しホッとするも…
昔高校に現れた「下半身丸出しでテニス部の練習を見に来る露出狂」みたいな人がのぞいている。全然安心できない。
地獄めちゃくちゃカオスだよー!怖いよー!
亀をいじめる心無い人物もいた。
「この亀は救わなくてもいい」と私の中の浦島太郎がささやいていたので、そっとしておいた。
タイの子供達は幼い頃からこういった寺に連れてこられるのだろう。
ここで「地獄に落ちないように、良い子になるのよ」と言われたら、微笑みを絶やさない良い子にならざるを得ない。微笑みの国タイの秘密を垣間見た気がする。
こちらの寺には地獄ばかりではなく、「天国ゾーン」もある。
数百体の仏像が並ぶ荘厳な景色だが、正直先程までのトラウマがすごすぎて何も入ってこない。
心なしか観音様もトラウマをぬぐい切れていないように見受けられる。
めちゃくちゃ大きな観音様もいる。「煽って撮られると鼻の孔大きく映って嫌だ~」と言われてしまいそうだが、でかすぎてフレームに入ってこないんだごめんなさい…
その後も乳振り乱して旦那を殴る「黒い家」ばりに鬼気迫る夫婦喧嘩の像や、
「あんた、その髪型どうしちゃったの」
「え?!ヘン?!」みたいな会話を繰り広げるカップルの像
明らかに邪な心で授乳を見つめる、将来が不安な幼児
死亡フラグバッキバキに立ってるのに冷静さを失わないクールなお兄さんなど謎の像の数々を堪能した。
結論:地獄は思ったよりポップな場所だったが、カオスすぎて色々めんどくさそうなので天国に行けるように努めたいと思う
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