『コントが始まる』5話。菅田将暉も有村架純も神木隆之介もみんなめんどくさい、だからこそ刺さる

鳴かず飛ばずの日々を過ごすお笑いトリオ『マクベス』の春斗(菅田将暉)、瞬太(神木隆之介)、潤平(仲野太賀)。解散する理由がなくなったにもかかわらず、仲違いして解散を決めた3人。それぞれのめんどくささが魅力の5話を振り返ります。

この5人は本当にめんどくさい、人間臭い部分を持っている。それぞれがそれぞれ違ったタイプのこじらせ方をしている。5者5様のめんどくささ、このドラマが好きな人は、5人の誰かのめんどくささに、少なからず共感しているのではないだろうか?

春斗はカリスマなのか、ただの面倒な人なのか

解散話のきっかけとなった家庭問題が解消され、解散する理由がなくなったマクベス。周囲からは解散取り消しを歓迎する声が多いが、当の本人たちの気持ちに変化が訪れた。ネガティブな考えを払拭できず、春斗(菅田将暉)、潤平(仲野太賀)、瞬太(神木隆之介)の3人は、仲違いしたまま解散を決めた。

春斗のめんどくささがピークに達した回だった。高校の同級生で起業家として成功を収める勇馬(浅香航大)に、会社のPRイベントの仕事を振られるも断ってしまう。

「どんなに売れてなくても、同級生に仕事を恵んでもらうほど落ちぶれてねえからさ」

勇馬の圧倒的な成功ぶりも関係したのかもしれない。春斗の視野は狭くなり、いらないプライドが邪魔をする。青かった過去の心情を吐き出し、手を差し伸べた勇馬に向かって「対等な関係じゃないから仕事は受けない」なんてあまりにも子どもだ。無自覚に人のことを見下すクセを持つ春斗は、きっと人に見下されることに敏感になっているのだろう。

しかし、このプライドの高さこそが春斗なのだ。春斗は良くも悪くも、本当に良くも悪くもなんだけど、こだわりが強い。売れない若手の割には前フリの長いコントをするし、もしかしたら、テレビで冠番組を持つとか、レギュラー番組を持つことにそれほど興味がないのかもしれない。コントで食っていくことにこだわりがあるタイプなのかもしれない。

売れれば「こだわりが強いカリスマ」になれるが、失敗したら「こだわりの強いめんどくさい人」だ。こだわりの強さが功を奏すのかどうかはわからない。春斗の才能を信用してついていくには、相当な覚悟が必要だ。

サービス精神が自分を苦しめた潤平

「もう平凡じゃないフリするの疲れたわ」

バイト先で「ギャグをやれ」と言われ、彼女である奈津美(芳根京子)との格差に苦しむ潤平に限界が訪れた。いつも明るく振る舞い、周りを盛り上げてきた潤平が表情を無くした。

春斗に「自分がない」と言われていたが、それは周りの期待に応えるために自分を作っていたからだろう。きっとこれまでも「ギャグやってよ」と幾度となく言われてきたのだ。その度に誤魔化しつつもギャグをやって「勘弁してくださいよ~」なんてお茶を濁してきたのだ。

結果的にそのサービス精神が、自分を苦しめた。芸人じゃなくても、やりたくないことを求められてうんざりする経験をした人は多いのではないだろうか? こういう人間の心情を察するのは本当に難しいし、ましてや潤平みたいに明るい人間が無理をしているだなんて、誰が思うのだ。

勝手に無理しないでほしい、もうちょっと手を抜いて欲しい。辛いなら声を出して欲しい。限界まで来て「マクベスやっててよかったと思うことの方が圧倒的にすくねーわ」なんて悲しいことを言うくらいなら、普段から小さい愚痴をたくさんこぼして欲しい。それをしてくれれば、きっとこんなことにはならなかった。

放っておいたら死ぬ瞬太

瞬太は2人と違って、売れないマクベスを楽しめている。未来への不安はそれほど感じていないようだが、その代わり生きることに対しての執着が薄い。放っておいたら命を捨ててしまう危うさがあるのだ。1番マクベスのバランスを取っているように見えるが、精神的なバランスは1番悪いかもしれない。

「マクベスに後から入った」という部分を必要以上に負い目を感じている節もある。そのため解散という瀬戸際でもワガママを言うことができないでいる。ある意味では、潤平よりもマクベスのために自分を殺していると言える。

この3人が思いをすれ違わせたまま、解散を決める。もし、またそれを撤回するのであれば、春斗は瞬太に「お前もマクベスだろ」って言って欲しい。潤平は春斗に「お前プライドたけーよ。付き合ってらんねー」と言って欲しい。瞬太はつむぎ(古川琴音)に言ったみたいに、潤平にも「空っぽじゃないよ」って言ってあげて欲しい。

もどかしい個性が視聴者に刺さる

めんどくささと言う意味では、里穂子(有村架純)はもう極まっている。ハッキリと妹のつむぎに迷惑をかけているし、それを認めて吹っ切れてしまっている。

自分に課すハードルが高いがために、時に悩んでいる姿さえ他人にとって嫌味に見えてしまうこともあるだろう。「努力は報われるのか?」というテーマで喋っているのに、報われてないとしながらも「華道で全国3位」だったことを明かしてしまい、話の筋がブレている。こんな結果を出した人にどうやって手を差し伸べれば良いのかわからないってなってしまう。

つむぎはつむぎで「自分は空っぽ」というコンプレックスのせいか、気配りは自分を保つための手段で、自分をいなくなってもいい人間と勘違いしている。そのために行動が突飛で、今回みたいに里穂子と住む家を突然出ていくとか言い出す。思えば、いくら弱っていたからと言って、里穂子と同居を始めるのも突飛な話だ。もしかしたら過去にも大事な何かを捨てて来たのかもしれない。

5人がそれぞれ面倒くさく人間らしい部分を持っていて、それは全て自分の長所の裏返し。このドラマは熱烈な支持者が多いと感じるが、きっと彼ら5人のもどかしい個性を理解できてしまう視聴者に思い切り刺さっているからではないだろうか。

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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