あの日のお悩み「せいりせいとん」ー06

【大解剖します】時代に合わせて変わっていく“生理”

毎月やってくるのに、意外と知らない生理のこと。男女ともに知っておいてほしい基本から、今の女性たちのニーズまで、大解剖してみましょう。

●あの日のお悩み「せいりせいとん」 06

 男女それぞれの“生理”のイメージがくっきりと浮かび上がった、これまでの座談会。

【開発者に聞いてみた】こんな生理用ナプキンは作れないんですか?

 最終回となる今回は、現状のさまざまな情報をチェック。花王株式会社で「ロリエ」を開発する小西さんと、これからの“生理”について考えてみました。

  • ●お話ししてくれた方
  • 花王株式会社 サニタリー事業部
    小西 真砂子 さん
    「ロリエ」開発歴は20年目!

女性は一生のうち、平均8~10年間“生理中”

 一回の生理が続く平均期間は、56日間。実に、一生のうちなんと810年間も生理と付き合うことになるそうです。ちょっと気が遠くなるほど長いですね。

「それだけ続く生理の時間をなんとなく過ごすか、できるだけ快適に過ごすかで、人生が変わってくるはず」と、小西さん。自分に合った生理用品を選んで、身も心も軽く過ごしたいものです。

 ところが、女性たちにナプキンの選び方を聞いてみたところ、パッケージの雰囲気で、なんとなく買っている人がほとんど。また、毎回の生理に肌トラブルを感じている人は、1015%もいるといいます。

 肌トラブルがある人は、自分がいつも何に困っているのかを考えて、ナプキンを選び直してみるといいかもしれません。店頭でじっくり探すのが恥ずかしければ、いまは各社のホームページも充実しているので、情報を細かくチェックできます。

女性のライフスタイルとともに、生理用品のニーズも変わっている

 機能性が高まってきたとはいえ、生理期間中に1回以上漏れてしまう人は、まだ4割もいるのだそう。

「仕事を持つ女性が増えて、ナプキン1枚当たりの日中の使用時間が延びているんです。これまでは34時間が平均的でしたが、お仕事がら56時間は取り換えられないという方もいます。それでは短い睡眠時間とあまり変わらないため、昼用のナプキンでは無理が出てきてしまいます」(小西さん)

 経血量が多い日中に、長時間用ナプキン(2529cm程度のタイプ)を使う社会人女性は、2007年から2017年で約1.51.6倍に増えているといいます(花王・消費者実態調査より)。女性の社会進出に伴って、求められる機能やデザインは変わり、どんどん改善されていくでしょう。

トランスジェンダーへの配慮はこれから

 近ごろ、目にする機会が増えた「トランスジェンダー/性同一性障害」という言葉。身体の性と心の性が一致していない状態を指します。

 そんな方々のなかにも生理用品を使う人はたくさんいるけれど、ナプキンはどれも女性的なデザインばかり。心の性に合わせて男性の格好をしている方などは、購入しづらい場合もありそうです。

「確かにそうですね。小学校で実施されている初経教育でも、どのように配慮して説明すべきかがすこし難しくなってきているようです。開発側ではまだ意識が及んでいませんでしたが、これからは検討していきたいです」(小西さん)

 男性でも購入しやすいデザインが登場すること、楽しみに待っています!

正しい生理の知識、男性にはどう届ける?

 男性座談会(04・05)であきらかになった、男性の“生理リテラシー”の低さ。TVCMくらいしか生理との接点がないのに、さわやかすぎて実情が伝わらない、という声もありました。

「生理のとらえ方には、まだまだ個人差があります。隠しておきたいと思っていらっしゃる女性も少なくありませんし、CMに対して『生々しくてイヤだ』というお叱りを受けることも……。そのため『生理は恥ずかしくない』『男女問わずオープンに情報を共有しよう』というメッセージを私たちから発信するのはなかなか難しいんです。だけど、ほしい方にほしい情報や商品が届くよう、これからも知恵を絞っていきたいとは考えています」(小西さん)

 さすがにデリケートな問題のようです。

 とはいえ、知ってほしい女性や知りたい男性の声が挙がってきたのは、生理のとらえられ方が変わってきた証し。すこしずつでも歩みを進めていけば、近い将来、もっとフラットでオープンな空気が生まれているかもしれません。

「生理ってそんなに恥ずかしかったんですか? 誰でもくるものなのに?」なんて、若い子に言われちゃったりして。でも、そうなったらいいですね。

続きの記事<男性は生理を理解できるか。インドの「パッドマン」に学ぶ>はこちら

ライター・編集者 1987年の早生まれ。雑誌『走るひと』副編集長など。パーソナルなインタビューが得意。紙やWeb、媒体やクライアントワークを問わず、取材記事やコピーを執筆しています。趣味はバカンス。好きなバンドはBUMP OF CHICKENです。
20~30代の女性の多様な生き方、価値観を伝え、これからの生き方をともに考えるメディアを目指しています。
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