傑作すぎた『ハコヅメ』最終回。マウンテンメスゴリラに川合にまた会いたい

戸田恵梨香、永野芽郁のW主演ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』。ワケあり元エース刑事・藤聖子(戸田恵梨香)×天然新人・川合麻依(永野芽郁)の最強ペアが事件に恋に奮闘します。川合(永野芽郁)が作成した似顔絵によって再び動き出した桜(徳永えり)ひき逃げ事件の捜査。なかなか進展しない中、守護天使の似顔絵に似た男が現れたという情報が……。傑作だった『ハコヅメ』最終回を振り返ります。
今夜最終回!戸田恵梨香×永野芽郁『ハコヅメ』8話。川合の悩み、藤の愛情「烏滸がましいわ」

守護天使、確保!

川合(永野芽郁)が「守護天使」の似顔絵を描いてから1週間。隣の村川署から情報提供の報告書が届いた。

守護天使こと木村義徳(森下能幸)62歳、一人暮らし。清水農園という会社に勤務。
20年前、借金が原因で妻子を捨て失踪。娘はすでに退官してるが、かつて県内で警察官をしていたそうだ。
つまり木村は警察官になった娘を見守るような気持ちで町山交番の新人女性警察官を凝視していたのだろう。変態さんじゃなかったのだ。

木村のアパートに藤・伊賀崎・山田が、社長がいる農園に川合・源が、聴取に向かった。

農園の社長から聴取する源。一方、川合は藤に電話。その時だった。川合はバッタリ木村と出くわしてしまう!
電話で藤が「自然に振る舞って」と指示を出す。

動揺する川合と動揺する木村

川合に詰め寄られ、観念した木村。事故を起こした軽トラまで川合を案内する。
急いで係長に報告する川合。しかしその隙をついて木村は自殺を仄めかすメモを残し逃走してしまう。

無線を受け、藤・伊賀崎・山田も木村の捜索へ。伊賀崎の勘をもとに近くの「自殺の名所」に向かうと、そこには今まさに橋の欄干に手をかけた木村の姿があった。

「死んで償います!」と叫ぶ木村に伊賀崎が憤る。

「死んで許される訳がない!借金作って家族から逃げて、人轢いて逃げて、最後は死んで逃げるつもりか。逃がさないよ絶対に。あんたには生きて罪を償ってもらう」

いつものホニャララした表情はどこへやら、伊賀崎の迫力が凄い。冷静だがとてつもない怒りを押し殺しているのがビリビリと伝わってくる。

源と山田が木村を確保する。源が聖子に手錠を渡す。これも同期の友情だ(夜中の学校やラブホ潜入捜査で藤に手柄を横取りされて悔しそうだった源が)。
藤はようやく同期の桜を轢き逃げした犯人を逮捕することができた。

「それ私の大事なゴリラだし!」

藤たちは念願だった「同期の女子会」を開催。
桜(徳永えり)が警察学校時代に言っていた「スカート履いて、髪伸ばして。松祭飲みたい!」という夢が叶う。
事件が解決し、気持ちの整理がついたと話す桜。「警察官には戻らない」と同期の3人に打ち明ける。桜を引き止めることができない藤の表情が切ない。
ここも感動的な良いシーンなのに、藤が持参した幻の日本酒・松祭(中身は偽物)のせいでなんともおかしいシーンに。まさか第1話のなんてことないシーンに登場した松祭(藤と牧高が飲み干した)が最終回に繋がるとは思わなかった。

後日、桜が町山署へ退官届を出しにくる。
藤が桜を引き留めようとしないのを見て川合はある行動を起こす。
桜がいる部屋の前で、藤の悪口を署内に響き渡る大声で言い出したのだ。

「もう酷いんです、パワハラが!ガサ入れの時私が使えないからって現場から追い出すし、術科訓練でボコボコにするし疲れたからマッサージしろって命令するし!」
これまでの回想シーンが流れる。どの藤も優しい。マッサージに至っては先輩が後輩をマッサージしてあげただけだったし(川合寝落ち)。
「一番ムカつくのはアレです。『制服を着ている時ぐらい警察官の面構えでいろ』っていうあの年寄りくさい説教!そういうの強要するなって思うんですよね、あのマウンテンメスゴリラ!!」

「それ私の大事なゴリラだし!」
たまらず桜が部屋を飛び出す。しかしそこにいたのは川合ではなく藤だった。

「聖子ちゃん、私やっぱり警察官やめない。死ぬ気でリハビリして職場復帰するから。だって忙しい聖子ちゃんにあんなアホな子の指導までさせられない!」
まんまと川合の作戦に引っかかる桜。
第1話で警察官が憎まれ役だということを嫌がっていた川合が最終回では自ら憎まれ役になって、とても満足げだった。
うう、涙腺が緩む。ゴリラってあんた、とツッコミながら涙腺が緩んだ。

シリアスと笑いのバランスが絶妙だった「ハコヅメ」。恋愛要素ほぼゼロなのに愛に溢れたドラマだった。
その後の藤&川合も気になるし、只者じゃなさそうな伊賀崎の過去も気になる。ぜひ続編を期待したい。

今夜最終回!戸田恵梨香×永野芽郁『ハコヅメ』8話。川合の悩み、藤の愛情「烏滸がましいわ」
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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