今夜最終回「#家族募集します」感動!仲野太賀、圧巻のキャベツ刻み8話

重岡大毅(ジャニーズWEST)主演「#家族募集します」。シングルファーザーになったばかりの赤城俊平(重岡大毅)は、偶然再会した幼なじみの小山内蒼介(仲野太賀)から、いっしょに子育てをする家族をSNSで募集することを提案されます。性格も価値観も違う男女4人と子ども3人が、ひとつ屋根の下で暮らしていく姿を描くホームドラマ。旅行中の俊平(重岡大毅)に大地(三浦騎羅)からおやっさん(石橋蓮司)が倒れたという連絡が。SNSを使っておやっさんの家族を探すと、義理の娘を名乗る女性(ヒコロヒー)がやって来て……。
「#家族募集します」7話。「にじや」で大人になっためいく(岸井ゆきの)、子どもになった礼(木村文乃)

8話が終了、いよいよ残すところは今夜放送の最終回のみとなった「#家族募集します」。

ルームシェアでの家族が完成したのがわりと最近で、まだ最終回にはちょっとフリが足りないような気がしなくもなかった。しかし、8話の蒼介演じる仲野太賀はすさまじかった。足りない部分を全て埋めるような存在感だった。

ただただホッとした大地のトラウマ回避

おやっさん(石橋蓮司)が倒れるが、運悪く「にじや」にはめいく(岸井ゆきの)の息子・大地(三浦騎羅)しかいなかった。大地はめいくに電話をかけるも繋がらず、仕方なく旅行中の俊平(重岡大毅)と連絡を取る。亡くなった妻・みどり(山本美月)を思い出しテンパる俊平だったが、礼(木村文乃)が冷静に対応し、なんとか事なきを得る。妙なラブコメ展開で同部屋に泊まっていて良かった。

大地役の三浦騎羅は顔がとにかく綺麗で可愛いのだが、演技もなかなかに上手なようだ。テンション抑えめで人を心配させるような儚さが滲み出ていて、冒頭から胸を締め付けられた。とにかくおやっさんは無事だったし、大地もトラウマにならかったので一安心。あれで死んでたら今後のストーリー入ってこないくらい大地が可哀想過ぎる。

なんとか一人で乗り切った大地をめいくが「さすがはママの子だ!」と労うが、視聴者のほとんどが「お前が言うな」とツッコンでいたのではと思う。おやっさんに大地を任せて夜に外出はともかく、肝心な時に電話に出なかったのはなかなかなダメ親っぷりだった。気が抜けていると言うか、シェアハウス家族化の悪い面が出てきてしまった格好だ。

仕方ないけど、ネットリテラシーの崩壊が気になる

みどりの次回作を作るために奔走する俊平は、黒崎(橋本じゅん)のアイデアを借りて、飛び出す絵本にすることに決める。社長の枕崎(小松和重)は、「予算はかかるけど、こっちで何とかする」「世界中の子どもに見せてやりたいもんな」と素敵過ぎる言葉だ。このドラマはルームシェアがメインだが、俊平の職場関係は雰囲気がよく、彼らがメインの回も見てみたかった。

職場関係でいうと、後輩の三鈴(丸山礼)が「私そこそこインフルエンサーなんで」の発言があった。そこそこどころか実はかなりのインフルエンサーで、絵本ヒット&めいくの曲ヒットの鍵を握る、という展開が期待できそうだ。

一方、蒼介がおやっさんの家族と連絡を取ろうとするが、おやっさんは「死んでも取るな」と久しぶりの頑固親父。それでもいざという時のために蒼介は、おやっさんの部屋を勝手にあさり、出てきた昔の写真をSNSに上げて「家族探しています」とハッシュタグをつけてSNSに投稿した。部屋をあさったのはギリギリOKだとしても、ネットリテラシーの崩壊っぷりが気になる。

また、1話から謎に包まれていた蒼介の過去が発覚した。天涯孤独で家族写真に憧れた蒼介はカメラマンを目指す。ようやく独り立ちというところで「にじや」の取材に訪れていた。そこで観た家族の素晴らしさに感動し、夢中で写真を撮るも、それ以降は「にじや」を超える情熱で写真が撮れなくなったことが、カメラマンを諦めるきっかけになったとのことだ。

キャベツのリズムで葛藤を表現

おやっさんの義理の娘・久美子(ヒコロヒー)が、「家族探しています」の投稿をもとに「にじや」訪れる。おやっさんと家族は少しのすれ違いで離れただけで、実はまだ絆は繋がっていると蒼介は知る。

しかし、家族が戻れば自分たちは「にじや」から離れなければならない。その葛藤から蒼介は、久美子が現れたことを俊平たちに言えないでいた。ここからの仲野太賀がすごい。

脚本上、蒼介が葛藤を表すセリフはほとんどない。屋上で空を見上げて「本当の家族といるべきだよな……」なんて呟かずに、表情と仕草だけで全てを表現する。といっても、その方法は泣きじゃくるとかそんなんではなく、無の表情だ。みんなが楽しく「にじや」を盛り上げるなか、いつもやかましい蒼介は、無言でキャベツを刻み始めるのだ。

これまでの思い出を頭の中に張り巡らし、ザクッザクッと切り刻んでいく。俊平や黒崎が異変に気づき、気づかれていることも理解している蒼介は、それでも無言でまな板に包丁を落とす。反応したら、目に溜まる涙が止まらなくなるのを知っているからだ。

キャベツを刻むリズムは、うまく力が入らないのか不安定に聞こえる。サクッストン……という音がいつにも増して無機質だ。カメラは顔のアップを切り取り、手元なんて映ってはいないが、仲野太賀が全身で演技していることがハッキリわかる。もしかしたら脚だって震えているかもしれない。これまでの豊かな表情をフリに、顔以外の全てを使うことで、無から感情がこれでもかと伝わってくるのだ。

今夜放送の第9話は最終回。もうあと2話くらいあればもっと最終回が引き立ったはず、と思っていたのだが、仲野太賀が全ての帳尻を合わすような演技を見せてくれた。みどりの絵本の仕上がり、めいくの歌、シェア家族の行方など重要な要素はたくさんあるが、元妻が帰国した黒崎と、涙と笑いでグッチャグチャな俊平に期待したい。

「#家族募集します」7話。「にじや」で大人になっためいく(岸井ゆきの)、子どもになった礼(木村文乃)
企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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