「#家族募集します」5話。黒崎(橋本じゅん)の「こじらせ」は理解できたが、礼(木村文乃)の決断にあぜん

重岡大毅(ジャニーズWEST)主演「♯家族募集します」。シングルファーザーになったばかりの赤城俊平(重岡大毅)は、偶然再会した幼なじみの小山内蒼介(仲野太賀)から、いっしょに子育てをする家族をSNSで募集することを提案されます。性格も価値観も違う男女4人と子ども3人が、ひとつ屋根の下で暮らしていく姿を描くホームドラマ。黒崎親子の仲を取り持つ作戦を立てる俊平が開いた「にじやフェス」。最後に意外な展開が……。
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「#家族募集します」第5話では、黒崎(橋本じゅん)といつき(板垣樹)の親子関係に決着がついた。

この黒崎という男は、年齢とともにプライドを積み上げてしまったタイプで、とてもじゃないが素晴らしい人間とは言い難い。パワハラ紛いな言動も多く、素直に感情を表現することもできない。誰もが一度くらいは会ったことのある、めんどくさいおっさんだ。だが、だからこそリアリティがあった。

実は娘のご機嫌をうかがっていた仏頂面のおじさん

父との関係がこじれ、家出をしたいつきは「にじや」に1人で訪れる。俊平(重岡大毅)がいつきを1日だけ預かるために黒崎に会いに行くと、黒崎は部下を怒鳴り散らしていた。おそらく、いつきとの問題が解決せず、イライラが溜まっていたのだろう。

俊平が話を聞いてみると、黒崎は5年前に離婚し、いつきは母親と2人で暮らしていたという。ところが、元妻が海外出張のため、黒崎は半年間だけいつきを預かることとなった。困った黒崎が行き着いた先が、いつきが見つけた「にじや」だったのだ。

5年ぶりの娘との再会に、黒崎はどう接して良いかわからなかった。かと言って、気に入られようと必死になることもできない。小さなすれ違いの積み重ねで、いつきは心が離れてしまった。

前話でいつきを高級レストランに連れて行っていたが、今思えば黒崎なりの家族サービスだったのかもしれない。どう見ても鼻につく金持ちのおっさんにしか見えなかったが、黒崎は頑張っていたのだ。

「にじや」に住もうとしたのも、いつきの思いに応えたかったから。そもそも黒崎ほどのお金持ちが「にじや」に住みたいなんて思うわけがない。娘の身のまわりの世話はひとを雇えば済むことだ。黒崎は、仏頂面で必死にいつきに擦り寄っていたのだ。

こじらせおじさんのプライドの折り方

俊平は、そんな2人の仲を取り持とうと「にじやフェス」(店主催のお祭りのようなイベント)に黒崎を招待する。めいく(岸井ゆきの)の即興にじやソング、シェアハウスメンバーが妄想上のヒーロー・トリプルファイブに扮するなど盛り上がりを見せるが、意固地になった黒崎には笑顔がなく、親子関係修復は失敗の雰囲気が流れる。年齢を重ねた男がスネると本当にタチが悪い。

フェス中、頑なに表情を崩さなかった黒崎だが、蒼介が撮影した写真の中で一枚だけ、何とも優しい笑顔を見せていた。それは、いつきとお客さんのやりとりを遠くで見ている場面。娘の成長や楽しんでいる姿を、ひとり噛み締めている瞬間だった。

「いつき、ごめんな。お前が急に大きくなって……急に大きくなったわけではないけども……」
笑顔の写真という物的証拠を突きつけられた黒崎は、プライドの逃げ場を無くす。これにより、言葉こそ定まらないが、ようやく素直な気持ちを吐き出すことに成功した。

「私もごめんなさい。お父さんのことだけ悪者にして」
いつきの返事は、父親よりも大人だった。「にじや」のメンバーといつきに全てのプライドを折ってもらった黒崎は、これまでのことを謝罪した。タチの悪い拗らせ期を終えた黒崎に、俊平は間取りの問題で一緒に住むことこそできないものの、家族として支え合う約束を決めた。

ちなみに「にじや」のメンバーの名前には色が隠されていて、赤城俊平(レッド)、赤城みどり(山本美月、グリーン)、桃田礼(ピンク)、横瀬めいく(横の部分に黄で、イエロー)、小山内蒼介(仲野太賀、ブルー)で戦隊モノになっている。おやっさんこと野田銀治(石橋蓮司)は、少し年齢が上のシルバーだ。
そして黒崎の担当カラーはブラック。戦隊モノでは、途中で加わる孤高の存在だったりする。

一番めんどくさいのは黒崎じゃなく礼?

自由奔放なめいくに影響を受け、さらにプライドの高い黒崎が素直になる瞬間を目の当たりにした礼は、自分も素直になろうと離婚を決断する。僕が男だからか、おじさんの気持ちは痛いほどわかったが、正直言って礼の考えが理解できなかった。

礼と夫・芳樹(橋本淳)の別居の理由は、「子どもが最優先じゃない人とは暮らせない」だった。確かに雫(宮崎莉里沙)が生まれたばかりの頃の芳樹は起業したばかりで、家のことをおざなりにしていたのかもしれない。しかし、決して雫との関係が悪いわけではなく、むしろ良好、良いお父さんにしか見えない。さらに会社が落ち着いてきた芳樹は、時間を作れるようになったとも言っている。

「娘を一番に考える」は、礼がよく口にする言葉だ。それならばヨリを戻した方が良さそうなものなのに、出した答えは離婚。しかも、離婚を告げる前に、「今までごめんなさい。これからは芳樹の考え方や芳樹を認めて、芳樹を私の理想から開放する」とまで言っている。

「なりゆきで始まった今の生活に身を任せて、前に進みたい」
「なりゆき」とは、めいくの言葉だ。めいくに影響を受けすぎて、礼は自分を見失っているように見える。「こうあるべき」という凝り固まった考えだった礼は、今度は正反対の「なりゆき」という考えへとシフトチェンジした。しかし、極端な結論は元から持っていた礼らしい思考である、実は何も変わっていないとも取れる。

もしかしたら、黒崎なんかよりよっぽど礼の方がめんどくさい人間なのかもしれない。

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企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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