綾瀬はるか×高橋一生「天国と地獄」7話 黒幕が誰かハッキリ言い当ててみせます考察

綾瀬はるか×高橋一生「天国と地獄 ~サイコな2人~」。思い込んだら一直線で失敗も多い刑事の望月彩子(綾瀬はるか)と創薬ベンチャー企業コ・アース社社長でサイコパスな殺人鬼の日高陽斗(高橋一生)が入れ替わり……。いよいよ終盤戦。さまざまなところにちりばめられた伏線をもとに大胆予測!黒幕は誰……!?

東と日高と手のホクロ

今話一番のトピックスは、名前だけしか登場していなかった東朔也が日高と双子の兄弟だったことだ。とは言っても、一卵性ではなく二卵性で顔は別のよう。顔が別なら普通の兄弟でも良い気がするが、わざわざ双子設定にした理由はなんなのだろう。行き別れた2人の明暗を強調するためか、それとも同じ歳じゃないと起きえない展開でも用意されているのだろうか。ちょっと引っかかる。

東朔也についてわかっている事実は双子だけではない。過去に掃除屋をしていたこと、十和田元(田口浩正)が描いた漫画「暗闇の清掃人」を持ち帰っていたこと、日高とは生き別れていたこと、右手の手のひらにホクロがあるということ、膵臓癌を患っていること、薬を常用していること、お金に苦労していること、癖っ毛であること(回想の子供時代の朔也は癖っ毛)、などなどだ。

これらのことから、東朔也、事件の犯人と見られるクウシュウゴウ、そして湯浅(迫田孝也)の3人が同一人物である可能性が導ける。大好きな師匠が犯人だなんて思いたくない陸(柄本佑)だったが、様々な心当たりから湯浅を疑わざるをえない状況になっていく。手のひらにホクロがあったらもう決定、そんな状況だ。

しかし、確認しようと陸が家に向かうと、湯浅は「火傷しちまってよぉ」と右手を包帯でグルグル巻きにしていた。そのまま仲間と飲みに連れ立つが、湯浅は発作を起こし緊急入院してしまう。陸は病院で横たわる湯浅の包帯を解くか? というところで今週はおしまいだった。

人格が入れ替わったふたり。左が彩子(見た目は高橋一生)右が日高(見た目は綾瀬はるか)

家族関係をちょっと整理

ここでいったん東と日高の家族関係を整理したい。日高を母親(徳永えり)、東は父親(浅野和之)がそれぞれ引き取る形で行き別れ。父が事業に失敗したせいで東朔也は貧しい幼少時代を過ごす。一方の日高は義理の父(木場勝己)が事業に成功し、裕福な家庭で育つ。

東は日高の存在を知っており、小学生時代に日高を手紙で歩道橋に呼び出している。この時の手紙がラブレターと勘違いされ、彩子に東朔也は「歩道橋の彼女」と呼ばれる。なんやかんやあり、2人はその場で抜けたばかりの乳歯を交換するが、この時点で日高は東が実の兄と知らない。

湯浅は本当に東なのか?

ホクロ、40歳くらい、膵臓癌、癖っ毛など、全てを考え合わせると、湯浅=東=クウシュウゴウに思える。東の父の事業失敗は3番目に殺された四方という男が関わっており、これまで一切見えてこなかった動機の部分も持ち合わせている。湯浅が事件の首謀者と見るのが一番ストレートだ。

だが、これはあくまでそう見えるという話。もっと言うのならば、わざとそう見せている、つまり誘導された考察だ。“湯浅=東朔也”はまだしも、“湯浅=東朔也=悪人”という図式はまだ確定ではない。黒幕ではなく、「止めようとする側」もしくは、「ムリヤリ手伝わされている側」の可能性は有り得るのだ。

ここからはだいぶ飛躍した考察になるが、僕は東(湯浅)の中身が東の父親だと考えている。理由は、日高が学生時代に仲良くしていた“近所で評判が悪いおじいさん”。このおじいさんが東と日高の父親だったという説だ。

おじいさんは階段から落ちて亡くなっている。この時に東と入れ替わっているのではないだろうか? そう考えると東が年齢のわりに言葉遣いが古臭いことも、やたら達観していることも納得ができる。付け加えるとおじいさんが近所で評判が悪いのは、事業に失敗して誰も信用できなくなっていたからだ。

湯浅(東)の身体に入った父は、自分のせいで生活苦に陥った湯浅への罪滅ぼしのように生き続ける。不器用ながらも一生懸命に生きる陸を気に入ったのものそういうことだ。そんな折、事件の黒幕に声をかけられる。

黒幕とは、漫画「暗闇の清掃人」でいうところのミスターX。ミスターXに、殺人、またはそれの手伝いを強要されてしまう。ちょっと前に湯浅は、追い込まれた陸に「俺は逃げてもいいと思うぞ」と優しい言葉をかけていたが、“逃げたくても逃げられない状況にいる人間”の言葉に聞こえる。

黒幕を特定できそうな重大なシーン

実は7話には、黒幕を特定する重要なシーンがあった。それが湯浅のホクロの包帯だ。湯浅は「火傷しちまってよぉ」と言っていたが、居酒屋で普通に箸を使っていたし、陸の背中も右手で押していた。包帯が嘘であることは明白だ。

ここで問題なのは、なぜ湯浅(東)がいきなり“ホクロを隠したのか?”だ。“東の右手にホクロがある”と日高や彩子が気づいたことを、この時点で湯浅は知りようがない。つまり、誰かから「ホクロを隠せ!」と命令が下ったのだ。

それができたのは、日高、彩子、陸、八巻(溝端淳平)だけ。この中の誰かが湯浅(東)とつながっていることになるのだ。そうなると、八巻の第1話での発言が気になる。

日高は八王子の火事で東の死体を探していた。いくら焦っているからって、わざわざ全くの別事件の死体をチェックするのは不自然だ。では何に反応して日高が動いたかというと、それは「火事」ではなく、「八王子」だろう。八王子と東(湯浅)がつながっているのだ。

ここで第1話を振り返ってみる。3年前の官僚殺人事件の話をしているとき、八巻は「そのとき僕、八王子(署)なんで」と発言している。さらに、八巻の携帯に「宮下裕香(八王子)」の着信履歴があったのも怪しい(5話)。

7話で八巻と陸は、消された数字を確認しにくる「クウシュウゴウ」を捕まえるために歩道橋を見張っていた。結局誰も来なかったのだが、これは誰も来なかったのではなく、「すでに八巻がいた」と見ることができる。うっかりの連続も、2話で彩子と日高の入れ替わりに気づいたのも、八巻が黒幕だったからなのだ。

八巻の正体は?

6話で自殺が判明した十和田元(田口浩正)は、漫画「暗闇の清掃人」を描いた人物だ。一連の事件と同じ思想を持っているということになる。そうなると、十和田が大元の黒幕、ミスターXの可能性が出てくる。

だが、最終回で十和田元を演じる田口浩正が突然「ジャジャーン!私が犯人でした~!」と出てきてもたぶん視聴者は納得しない。だったら、十和田は誰かと入れ替わっていてそれが意外な人物だった…という結末がいい。

その入れ替わり相手が、前述した通り八巻。十和田=ミスターX=八巻(溝端淳平)という形だ。そして残念なことに、元の八巻は死んでいることになる。

終盤に入った「天国と地獄」。入れ替わりの秘密、日高が起こしたとされるアメリカでの殺人事件、まだまだ残された謎は多い。すべてが回収されるのかハラハラするが、最後まで楽しみたい。

次回はこちら:綾瀬はるか×高橋一生「天国と地獄」8話大胆考察。そもそもなぜ乳歯が現場に残されていたのだろう

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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