【古谷有美】古谷有美「レコード大賞、初日の出、駅伝……休めない年末年始の喜び」
●女子アナの立ち位置。
元日は、振り袖からベンチコートへ早替わり
TBSの新人アナウンサーが新年最初に担当するのは、たいてい“初日の出”の特番です。ほら、日本各地から「群馬の古谷さーん」「はーい、こちら前橋県庁42階からお伝えしております。ちょっと曇っていまして……(寒さにふるえてガタガタ)」なんて中継、見たことありませんか? 元日の朝3時ごろに起きてしっかりとメイクをし、防寒装備のうえに振り袖を着て、初日の出をお届けする。私も新人時代から、5年ほど担当していました。
それが終わっても息つく間はなく、次はベンチコートに着替えて『ニューイヤー駅伝』です。箱根駅伝で活躍したような選手たちが、社会人になって実業団に入り、また新しい走りを見せてくれる大会。スポーツ番組を担当していたこともあり、こちらも毎年出演していました。
アナウンサーが何をするのかといえば、選手たちのインタビューなど。私は英語が話せるため、外国人選手が多く走る区間を、よく担当していました。とはいえ、母国語が英語じゃない選手には「How do you feel right now?」と尋ねても「So excited and so proud.」くらいしか返ってこない……でも、そんなときこそ私の出番です。「レースを終えたいまとても興奮していて、こういった走りを見せられたことを、非常に誇りに思っているとおっしゃっています」なんて、もっともらしい表現を補いながら伝えていきます(笑)。
アナウンサーっぽい仕事を、満喫できる楽しさ
寒くて過酷な現場ではあるけれど、どちらもすごく“アナウンサーっぽい”仕事だし、普段はテレビを観ない人も観てくれたりして、楽しかったですね。
とくに駅伝はスポーツの生中継だから、選手たちの凜々しい姿を届けるために、本当に多くのスタッフが力を合わせています。そんな気持ちの良い現場を年始に担当できるのは、とてもありがたいこと。毎年見ているからこそ、選手の進化ぶりがわかるし、こちらも熱が入るんですよね。大変な努力を重ねて結果を出した人、反対にうまくいかなかった人……いろんな選手がいました。そのたびに心がふるえ、「私も地に足を着けてやらなくちゃ」「こんなに努力しているアスリートでさえ報われないこともあるなら、私はもっと頑張ろう」なんて、気持ちを新たにしたものです。
だけど、私ももう中堅。このすばらしいポジションを後輩たちに体験してほしい気持ちもあって、入社6年目のお正月には、初めてお休みをいただきました。とはいっても、格闘技番組『KYOKUGEN』を担当したため、大晦日はお仕事。家族を持ったりするまでは、年末年始に休めなくてもいいかなぁと思っています。
昨年からは「レコ大」で、筋トレの年末を
昨年からは「輝く!日本レコード大賞」を担当しています。フレッシュとはいえなくなった私に、まさかそんなポジションが回ってくるとは思っておらず……渋めの人選にびっくり(笑)。だけど、もちろんありがたくお受けしました。今年は2回目の挑戦です。
いま振り返ると昨年は、慣れない大舞台にずいぶん緊張してしまって。始まってみれば楽しかったものの、やっぱりプレッシャーがありました。だけど、たまには普段と違うことをして自分に負荷をかけなくちゃ、成長できないんですよね。筋トレと一緒です。「う~、痛みがきてる~!」という感覚は、成長につながっている。だから、筋肉痛って大好きです(笑)。
レコ大にオファーしてもらえたことは、私にとって今年一年頑張ったことへのご褒美みたいなもの。できてないことはいっぱいあったけれど、それでも「こいつに任せよう」って思っていただけるだけの何かが、残せたのかな……と思っています。
女子アナも8年目。筋トレになる仕事で一年を締めくくれる幸せを、しみじみと噛み締めながら、今年も頑張ってまいります。
続きの記事<古谷有美「各停には乗らないで、快速特急を待つ――そんな生き方を」>はこちら
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