モデルLIZAさん「“女は20代”という男がいるなら、選ばなきゃいい」
●「29歳問題」という問題
14歳でデビュー「ずっと背伸びしてた」
24、25歳くらいの時は、自分が不完全な気がして焦っていました。結婚や次のステージに行かないと認められない、成長してないんじゃないかって。
14歳からモデルの仕事をしてきて、ちょうど10年目。周りから求められる「こうあってほしい」「こうあるべき」と、自分が感じる「自分らしさ」のズレに悩んでいました。でも、それまでずっとしてきたように、期待に応えなきゃと背伸びしていたような気がします。
9歳年上の兄もいますし、本来は甘えっ子なんです。だけど、見た目がこう(笑)、強そうな感じなんで「姉御」って呼ばれたり、背伸びして虚勢を張ってる時もありました。とにかく、常に肩に力が入っている状態だったんですよね。
きれいとか若さって人生においては一瞬
若い時って、マリオカートのように、いたるところにスターが転がっている。ボーナスポイントがある。示された道を正しくいけば流れに乗れる状態。だけど、それは若さに与えられていたものなんだなって気づき始めました。
マリオカートのスターってあるじゃないですか。ちょっとの間だけスピードが速くなったり無敵になったりして有利になるやつ。若い時ってあのスターを取った状態なんじゃないかなって。
でも、じゃあ次は与えられたものじゃなくて、自分でつかみにいこうと考えた時に、何も思い浮かばないんですよ。私は何が欲しいんだろう?何がやりたいんだろう?答えがない。自分の中が空っぽ。
結婚したかった。でも、それって逃げなんです
その時期モデルの仕事も減ってしまい少し環境を変えてみようと、ヨーロッパに旅をしに行きました。学生時代の友人がヨーロッパに住んでるので、仕事をする前の何もない自分として時間を過ごし立ち止まる時間を作ってみました。でもそうしてる内に、頭の中自分が言い合いをするんですよ。
「休んでばかりで大丈夫?」「しょうがないのかな?立ち止まる時間も必要」「焦り過ぎてるだけなんじゃないの?」と。それが24.25歳の時でした。
その時は、すっごく結婚したかったんですよね。でも、当時の私の状況を重ねるとそれって逃げ。何者でもない自分に、手っ取り早く「妻」や「母親」という「自分にしか担えない役割」を与えたかったんだと思います。
もしその道を選んでしまったら、今度は子どもが巣立つ時にまた空っぽな自分に戻ってしまう。一度子どもで埋められていただけの環境からより一層、寂しい・悔しい、自分には何もないと言う思いになってしまうかもしれない。
だからこそ、「自分でつかみとった」役割が必要になるのかなって。それはお仕事かもしれないし、ボランティア活動かもしれない。このことに気づくために、寂しさや悔しさに20代で向き合えたのは良かったと思っています。
そこから改めて、どう見られるか、誰かのために、周りの期待に応えたい……といった他人軸じゃなくて、自分がやりたいことは何か?という原点に戻りました。そこで見えてきたのが「モデル」という仕事でした。
やめてしまいたいと思ったこともあるし、向いていないと思いながらやってます。だけど、14歳からずっとやっていたのに、満足せずにやめるのはあまりにもださいなと思って。自分のために、後悔しないために、真剣に向き合いたいって気づいたんです。
20代の魅力なんて薄っぺらい
一方で、仕事だけが自分とも思っていません。私=モデル、というよりは、モデルはあくまで職業。ほかのことで、自分の時間を持ちたい思いも強いです。
自分自身を振り返ってみると20代の魅力なんて、すっごく薄っぺらい。なので、20代は30代を魅力的に過ごすための、準備期間だと思っています。「女は20代じゃないと無理」っていう男がいるなら、そういう男を選ばなきゃいいって話だと(笑)。全員公平に老いるんだから、「きみもおじさんになるんだよ」って言いたい。
来年30歳。外のキラキラだけでは通用しない年になる。見た目や若さじゃない、どういう引き出しを持っているか、そんなゾーンに向かうのはうれしいですね。
続きの記事<声優・徳井青空「年齢を重ねる不安より、経験を活かせる30代は楽しみです」>はこちら
- ●LIZAさんプロフィール
1989年、ドイツ・ハンブルク出身。ドイツ人の父親と日本人の母親を持つハーフ。14歳で「JJ」専属モデルとしてデビュー。日本語、英語、ドイツ語を話す。現在はNHK「旅するドイツ語」や「eclat」などでモデルを務める。
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