「29歳問題」という問題

VOCEウェブサイト編集長 “美”の視点から考える「29歳問題」

30代になるのを恐れ、焦る「29歳問題」。その理由を20代女子に聞いてみると「美容誌とか、化粧品が“30歳からの○○”っていうから、30歳で容姿がすごく退化するような気がする」という声もありました。実際に30歳で何か変わるのでしょうか。美容誌「VOCE」(講談社)のウェブサイト編集長三好さやかさん(36)にお話を聞いてきました。

●「29歳問題」という問題

――20代の女子が「30歳になったら急激に老ける!」と思って恐れているようなんですが、どうなんでしょう?

三好さやかさん(以下三好): 当然ですが、30歳で突然老いるわけではありません(笑)。毎日、刻一刻と老化しているわけですよね。30歳になったからって慌てることじゃない。30歳だからアイクリームを使おう!っていうんじゃなくて、ドラッグストアの安いやつでいいから、今からコツコツやろうよ!っていう話なんです。

伝えたいのは「きれいに年をとろうよ」

――でも、美容誌って、若く保つとことが良しで、年を重ねることは悪なんですよね。

三好: 「若いっていいよ」とは一言も言っていません。「きれいに年をとろうよ」というメッセージを送っています。早いうちから、エイジングケアコスメを使っておけば、ぴちぴちのお肌でいられる時間が長くなりますよ、ということです。

――「きれいに年をとろう」とはどういうことでしょう?

三好: うーん、すごく個人的な意見ですが、夏木マリさんのイメージかも。年をかさねて、かっこいい女性。でも、ほかに思い浮かばないですね。かっこいい女のケーススタディーが少なすぎるのは確かに問題かもしれません。

日本人には「かわいい=若い」という文化がありますからねえ。日本人は肌がきれいな民族だと思うんですよね。化粧品を肌にしみこませる「ハンドプレス」も、日本ではよく見られる行為ですが、欧州などではあまり見られない行為とのことでした*1。肌をいたわる、大事にする文化。この文化のおかげで、日本人は肌がきれいというのもあるのかと。

*1)11月7日に行われたカネボウ化粧品の最新研究を紹介する技術説明会で、 IFSCC2018 Congress ミュンヘン大会で発表した『スキンケア時に喚起されるポジティブな感情により肌状態が向上する』という研究知見を説明した。 その中で紹介したハンドプレスについて、カネボウ化粧品は「スキンケア中に“肌を慈しみながら押さえる行為”は欧州などではあまりみられない」とのエピソードを紹介した。

ただ、肌がつるつるであったとしても、生き方はしわが刻みこまれた女性の方がかっこいい。

どうしても、マスに向けて発信すると「若くてかわいい」に傾いてしまう。私たちメディアこそ夏木マリさんのような「年齢を重ねてかっこいい」を発信しないといけないのかもしれません。

「30歳」お肌を見直す機会にしてほしい

――雑誌で「アラサー向けのための」「アラサーの」と年代を絞っているのはなぜですか?

三好: ターゲットをはっきりさせるためです。年齢を区切ることで「私のための情報だ」と思ってもらいたいんです。30歳で突然老化が進むことはないですが、アラサーでターンオーバーやコラーゲン分泌が減っていくと一般的に言われていますし。その方たちに向けて発信しています。

もちろん、年齢切りのファッション誌ではないので、読者やユーザーは10~40代くらい幅広く視野にいれています。ただ、30歳を機に美容誌を買いました、化粧品を見直しました、と年齢を軸に、肌を立て直そうというのはいい機会なのかなとも思います。

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telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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