「キャリアプランは、いらない。」特別編

「転職も結婚も、悩んだら今と未来を比較して考える」等身大女子のリアルな話

バリバリ仕事をこなすデキる女性の話を聞いて「すごいなぁ」と思う反面、「私には無理……」と思ってしまうこともあるもの。そこで、「等身大女性のリアルな話を聞きながら、背伸びしない、自分らしい生き方を考える場」をテーマに10月28日開催された「あなただけに言うね、本当の私のキャリアの話 ~telling,×営業部女子課コラボイベント~」のパネルディスカッションの一部をご紹介します。telling,編集長の中釜が、パネラーのデジタル広告系営業のしおりさん(28)、人材系営業のゆりえさん(28)とともに考えました。

●キャリアプランは、いらない。telling,×営業部女子課イベント・等身大女子編

イベント前編・太田彩子さん講演「私たちに必要な強さとは」はこちら

写真左からゆりえさん、しおりさん、telling,編集長・中釜

男性上司と2回冷戦状態に。自分の考えを否定されることに怒りが蓄積してしまった

――仕事のストレスの原因の第1位は上司との関係だと言われています。お二人は悩んだこと、ありますか?

ゆりえ: 私は男性上司との関係に最近まで悩んでいました。その上司とは2回冷戦状態になっていて、1度目は顔も見たくない状態。その時はなんとか自分の中で消化させて落ち着いたんですけど、ここ数カ月はどうしようもなくなってしまいました。上司は「自分のやり方が100%正しい」っていうタイプ。でも、私も5年間営業をやっているので、自分なりの考えや提案があります。上司の意見に合わないと否定されてしまうことに対して、怒りが蓄積してきちゃったんです。

――どうやって解決したんですか?

ゆりえ: 腹を割って話をしました。上司からランチに誘われて、嫌だなぁと思ったけれど、上司が気遣ってくれているのもわかったので行ったんです。そうしたら最初に「ごめんな。コミュニケーション取るのが苦手で、人の気持ちが分かっていなかった」って謝られて。私もちゃんと話そうと、「AかBかじゃなくて、上司と私の考えを組み合わせて一緒に『A’』の案を作りたい」と伝えました。それ以来、任せてもらえる幅が広がったし、円滑に仕事が進められるようになって、穏やかな気持ちで楽しく働けています。

――しおりさんはいかがでしょう?

しおり: 私は1社目の時、上司との関係性がきっかけで転職をしました。人は変えられないですし、プロジェクトを解散するタイミングなどで、自分で動いてしまうことが多いです。上司以外の他の要因に満足できていたら改善する方法を考えたと思いますが、そうではなかったんですよね。全部を合わせて考えたら、転職した方がいいかなっていう判断をしてきました。

今と3年後だったら、絶対に今動いた方がいい。産育休復帰後に転職活動を始めた理由

――しおりさんは1歳1カ月の娘さんがいらっしゃって、今年の8月末に産育休から復帰したんですよね。仕事と育児の両立についてはどう考えていますか?

しおり: 娘を預けて働くのであれば、楽しく働きたいって思いがあります。それに、子どもはすごくかわいいけれど、いずれ私から離れる時が来る。その時に、自分が誇りを持てる仕事をしていたいんです。本当にやりたいことをやっていれば、10年後、娘にとってのかっこいいママになれるんじゃないか。そう思って、実は今は転職活動中です。
今の職場はママさんの先輩もいますし、上司も気遣ってくれているし、正直大変ではないんですよ。最初は今の立ち位置で頑張るのがベストだと思って、先輩のママさん社員とランチに行って話を聞きました。

――どんな話をしたんですか?

しおり: 「あなたはまだ若いし、転職できると思うよ」と言われました。先輩たちは、「動きたいけど今は動けない」っていうタイミングだったんですよね。身動きが取りにくくなってしまうタイミングはあるから、その前にどうすべきか考えた方がいいのかなって思いました。

それに、今やっているWeb広告の仕事は、テクノロジーによってどんどん自動化されています。入社した当時はエクセルでやっていた作業も、今はGoogleが勝手にやってくれる。つまり今の仕事を極めても、新しいテクノロジーが出てくれば私は必要なくなる。そういう中で、子育てをしながらキャリアやスキルを伸ばしていけるのかを考えた時、未来を感じなかったんです。今と3年後だったら、絶対に今動いた方がいい。まだギリギリ29歳だし、まずは動いてみようと思いました。

――子どもが産まれた後の転職はハンデになるのでは、と心配する女性は多いと思いますが、実際どうですか?

しおり: 意外と転職先はあるんですよ。ベンチャーを中心に受けているのですが、自由な働き方をアピールポイントにして採用活動をしている会社も少なくありません。それに、子どもがいる前提で採用してもらえるのであれば、入社後も楽だろうなと思います。

「足で稼いでなんぼ」な働き方がちょっとつらい。28歳になって感じた体調の変化

――telling,で同世代の女性に会っていると、仕事を頑張る方ほど、疲れやすかったり生理不順だったりする方が多いと感じています。お二人は体調管理のために何かしていますか?

しおり: 食事には気を使っています。ランニングをして食生活に気をつけて、婚活の時に7キロ痩せました。その時に体調が良くなって、運動と食事が体に大きく影響することを実感しました。

ゆりえ: 28歳になって、ここ半年ぐらいで体調の変化を感じるようになりました。入社した時は「ブルドーザー営業」って言われるくらい、足で稼いでなんぼ、みたいな仕事の仕方をしていましたが、最近はちょっとつらくなったような気がしていて。生理の時に気持ちが落ち込みやすかったり、自律神経やっちゃったなぁと思ったり。半年に1回ぐらい、起き上がれなくて会社に行けないこともあります。

――どうやって対処しているんですか?

ゆりえ: 薬を飲んだり、体調が悪いときには休みを取ったりしています。幸い今年の夏からフレックス制度が導入されたので、ある程度自分で調整できるようにもなりました。ただ、フレックス制度が始まったとはいえ、みんなの意識が変わらないといけないなと思うこともあります。
世間的にはまだ、目標達成のためには長時間働け、という空気が蔓延しているようにも感じることもありますし……。仕事は時間ではなくて質だし、目に見える時間や短期間の成果だけを見ていたら、仕事をしやすい環境はつくれないから、ここはもっとみんなで考えていかないといけないことじゃないかなあと思っています。

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リクルートの営業職として活躍後、2006年株式会社ベレフェクト設立。2009年より、日本最大級の営業女性コミュニティ「営業部女子課」を主宰。専門は働く女性や女性営業職の人材育成・キャリア開発。
2009年に株式会社キャリアデザインセンターに入社。求人広告営業、派遣コーディネーターを経て、働く女性向けウェブマガジンの編集として勤務。約7年同社に勤めたのち、会社を辞めてセブ島、オーストラリアへ。帰国後はフリーランスの編集・ライターとして活動中。主なテーマは、「働く」と「女性」。