IT会社勤務(27歳)

何かのスキルに特化できた自信がなくて…。今転職準備中です。

IT会社勤務(27歳) 私の友人と同じ会社で働く彼女に会ったのは、寒さが続く日のことでした。「こういうインタビューって初めてです」と最初は少し緊張しているようでしたが、柔らかい雰囲気の中に秘めた芯の強さがカッコよく、魅力的な方です。仕事への思いや休日の過ごし方とともに、今一番実現させたいことを率直に語ってくれました。

 IT会社に新卒で入社して、今年で6年目です。会社を辞めたいなって思っています。

 理由は、お金に換えられない成功したという体験が欲しいから。今は社長アシスタントという名称の社内のお助けマン的な部署にいて、困っている部署に配属されます。開発職が足りなかったらそこに行ってアプリを開発したり、SEもやったり。子会社で総務経理と人事をやることもあります。そのたびにイチから未経験で勉強してきました。長くて2年、短くて半年で、次の困っている部署に異動します。

 ひとつの職種にこだわらずにいろいろできるのは面白いけど、プロジェクトが成功する前に異動になるので、最後まで関われずに悲しいですね。それぞれに心残りがあります。研修もありましたが、結果的にCSSphpjavaもほとんど独学で覚えたというかかじったというか。何かのスキルに特化している自信がなく、私の価値って上がったのかなっていう思いがあります。

 IT会社に入ったは、文系の人間なので知らないことをやってみたかったから。なぜか面接で残ったのはIT会社ばかりでした。選択科目でプログラミングの授業があって、つくったものが動くことに感動したのがきっかけです。アプリやゲームが動くその仕組みに興味を持ちました。

SNSで発信はしない。好きな作家の小説を読むのが好き

 SNSはやっていません。人を気にしすぎるのもどうかなと思って。発信することは苦手です。自分の空間は大事にしたいです。前にmixiはやっていた時に、ネットストーカーみたいのに遭ってしまって。知り合いだったから余計気持ち悪かった。自分から発信は今後もないかな。

 ネットってついだらだら見てしまって、思いついたことをパッパッと検索して気づいたら時間が経っているのが嫌ですね。深いところを調べようと思うとひっかかってしまう。表面的な疑問はすぐネットで見つかるけど、「なんでこうなる」というキーワードを入れてもそれは見つからない。一番知りたいことにはたどりつかない。その過程が知りたいのになんでそれが載っていないんだとか。

 普段は、紙の本を読むことが多いです。「旅猫リポート」で好きになった有川浩や東野圭吾の小説をよく読んでいます。本屋に行くのも好きで、旅行雑誌を見たりすきな作家の本を探したりします。

最近気になるAI、人間の代わりにはなれないと思う

 最近気になっているのはAIですね。良い意味でも悪い意味でも。人間がつくったAIがどこまで成長するのかうちの会社でも顔認証ができるロボットを開発中で、一人暮らしのおばあさんの話し相手になったり介護に使われたりする予定です。仕事や生活にテクノロジーが密着に関わる時代ですが、ロボットと会話する生活ってどうなんだろう? AIは人間の代わりになれないんじゃないかなと私は思っています。

 将来AIのベストセラー作家が誕生するなんていう未来予測もあるんですか? それはないと思います。きれいな文章は書けるのかもしれないけど、人間の心はわからないんじゃないかな。

 今の会社で次はAIに関わる仕事をする予定なのですが、実は、もう転職に向けて面接を受けているですよ。あっ、言っちゃった(笑)。派遣業界に行って、キャリアアドバイザーをやりたいと思っています。私は今の会社でいろんなスキルを身に付けることはできましたが、モチベーションが下がってしまいました。そんな機械だけではわからない人の思いを受け止めて、新しい仕事につなげるお手伝いがしたいです。

 これからは、人と人が仕事をする実感が欲しいですね。今までいろんな職種に関わって臨機応変になったその経験生かせると思っています。

新宿御苑にて

出版社で旅行誌などの編集を経て、現在はフリーランスの編集・ライター。女性のライフステージに寄り添う心身ケア、働き方などを中心に編集や執筆をしています。現在は夫、小学生の娘、猫1匹と生活中です。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
街頭インタビュー