9月から大学院生(25歳)

夢を追うために、3月に退職しました。

東京都出身、25歳。幼稚園から高校までインターナショナルスクールで学び、ロサンゼルスの大学に進学。米系企業の東京支社に2年間勤務したのちニューヨーク本社へ。会社のオペレーションアドバイザーとしてビジネスの効率化に携わってきたが、今年3月に退職。9月からロンドンの大学院で環境デザイン・工学を学ぶ予定だ。本社での仕事はやりがいもあり、収入もよかったという。それでも会社を辞める決断をしたのはなぜだったのだろう。

 中国系二世の父と台湾系二世の母のもとに生まれ、両親と同じように幼稚園からインターナショナルスクールに通いました。家族の会話は日本語交じりの英語。クリスマスにはターキー、大晦日には年越しそば、元旦にはお雑煮を食べて、初詣でとお墓参りをすませるとおばあちゃんの家に行って飲茶を食べるんです。さまざまな文化がごちゃ混ぜの“わが家の文化”の中で育ちました。

自分はどこで目立てるかと考えたとき、答えは日本の外資系企業でした

 日本語より英語のほうが自信があるし、将来グローバルに働くならアメリカの大学の方が有利だと思っていたので、日本の大学に行くことはまったく考えていませんでした。でも、就職は日本でしたかった。私のような人はアメリカにはたくさんいる。「どこで目立てるか」と考えたとき、それはアメリカではなく日本の外資系企業だと思ったんです。とは言え、日本語だけの環境では自分の能力を発揮できないので、英語を使える環境で働きたいと思い、米系のファイナンシャルサービス会社の東京支社に就職しました。

 国籍は日本だし、日本以上に愛せる国はありません。日本の文化も大好きです。でも、考え方は日本人というよりグローバルな考え方をしていると思う。私は“Third culture child”です。本拠地のようなところがなくいろいろなところに住み、世界を経験して、その経験を集めて自分が成り立ってる。たまに、「私はなに人なのかな」って考えることもあります。でも、私は私。どこから来たとかは関係ない。やりたいことをやってます(笑)。

仕事は嫌いじゃなかった。でも、環境工学を学びたくて退職しました

 2年前から環境にいいビルのデザインに携わりたいと思うようになり、大学に戻って環境デザイン・工学を勉強することを考え始めました。1年半前にニューヨークの本社に転勤になり、データ部署内のオペレーションチームでビジネスの効率化に携わっていたのですが、自分が学びたいことがひととおり達成でき、自分なりに会社に貢献できたので、会社を辞めて留学することにしたんです。

 自分にウソをつきたくない。したいことがあるのに、「今の会社はあまり好きじゃないけど収入もまあいいし、今じゃなくてもいいか」と思ったり、あるじゃないですか。そうじゃなくて、いろんな不安があっても、夢があるなら走っていきたいです。

 将来は、東京に戻ってゼロエネルギーの家やレストランなどのデザインをしたい。自然光や風をうまく取り込んだり、エネルギーの効率化を考えたりして、そのビルで消費するエネルギーを全部そのビルで作れるように設計するんです。日本は私の故郷だし大好きだから、日本のために何かしたい。ロンドンでは環境に優しいビルの研究が進んでいますが、日本はあまり進んでいません。地球環境のためにも、特に大都市はそういうことに対して責任があると思う。

 前は28歳までに結婚したいと思っていました。でも、今は全然考えていません。したいことをしないで、夢を追わないで後悔しないか? と考えると……。子どもは欲しいんです。母は姉と私を産んでから4、5年は仕事をやめて、専業主婦として子育てしてくれたので、私もそうしたい。でも、それは夢を叶えてから……。

仕事は大事。でもまわりの人も大切にしたい

 最近すごく思うのは、まわりの人、友人や家族を大切にしたいということ。ふつうに生きてると、「友だちでいてくれてありがとう」とか、あまり言わないじゃないですか。そういうことをもっと表現していきたい。どんなに素晴らしい夢があっても、身近にいる人を幸せにできないで世界を守れるのか……。仕事ができても、まわりの人に関心がないのはいやなんです。

ニューヨークにて

ライター。東京での雑誌などの取材・インタビュー・原稿執筆などの仕事を経て、2000年に仕事と生活の場をニューヨークに移す。
街頭インタビュー

Pick Up

ピックアップ
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
テリやきテリ世の甘辛LINE相談室
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
ヒント 恋愛
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てるとは
産婦人科医・高尾美穂さん×アクロスジャパン・小川多鶴さん
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てる
家族のかたち 妊活 子育て