税理士(36歳)

「独立したい」と言いつつ、ウダウダ悩んでいたけれど…

税理士(36歳) 新宿での街頭インタビューで声をかけた彼女は、税理士として独立して6年目。いわく、「20歳で専門学校卒業して、25、6歳で結婚して、その後出産して子育てをするから社会に出るのは早いほうがいい」なんて思って専門に行って就職したのに、1人で社会に出たままです(笑)。

会社に残って幹部を目指すか、独立するか

 

30代になり、ふとこれから先の働き方を考えたんです。会社に残って幹部を目指すか独立するか。この先、幹部になったとして結婚して子どもができたら…。夕方6時まで働き、時間ギリギリに保育園に駆け込んでという生活で、子育ても仕事も中途半端になりそうな気がしたんです。だったら、独立して思いっきり仕事をやってみたいという気持ちになったんです。幸い、結婚もしてないから1人で身軽だし、「やるならいましかない」って。

 とはいっても、独立するって決断するまでには迷いもありました。とりあえず1年分の生活費は貯めようと思って、しばらくの間実家に帰り、貯金をしました。それから、知り合いなどに「独立したい」と話していたんです。そのときは「私も独立して1人でやってみたいけど、お客さんは1人もいないし、売り上げの目途も立たないし」ってウダウダ言ってました。

「なんとかなるから大丈夫だよ」と背中を押されました

 そんなとき、知り合いの何人かが、「やり始めたらなんとかなるし、助けてくれる人も出てくるから大丈夫だよ」と声をかけてくれて。実際に弁護士や不動産鑑定士の人など、どんどんいろんな人と知り合うことができたんです。

 知り合いになった税理士さんの事務所の仕事を手伝いながら、自分でも新規のお客さんを見つけて、という感じでやっていました。自分1人でも大丈夫になったのは1年ぐらいたってからかな。

社員2人、パートの方2人に手伝ってもらえるまでになりました

 独立して3年間は、全部1人でやってたんです。「人を使ってやったほうがいいよ」と、ずっと周りから言われてたんですけど、最初は自分1人分を稼ぐのでやっとだったし、業界的にも人手不足。

 税理士の受験者数が減っていて、資格を持ってる人も少ないんです。新卒は取り合いだし、いたとしても大手事務所に入ってしまう。そんな状況だから、「うちで働いてくれる人なんでいないよ」と思ってたんです。

 ただ、ずっと1人でやっていくのは無理だということもわかっていました。それなら、未経験でもいいから人を雇って自分で育てたほうがいいなと思うようになって。そんなとき、たまたま知り合いの紹介で手伝ってくれる人が見つかり、徐々に仕事がまわるようになってきました。

 人を使うプレッシャーは常にありますよ。うちに来て路頭に迷わせるわけにはいかないから、常に新規の案件は取らなくちゃいけない。スタッフはみんな転職組だから、前の会社と同じか、それ以上は払えるようにしないといけないし。

 それに、大手だったら仕事のスキルも役職も上がるかもしれないけど、こんな小さな税理士事務所だからやることが単調でつまらないかもしれないでしょ。だから、せめて働きやすさを重視しようと思って。残業はなし、休日出勤もなし。もし誰かが残業をするようなことになるなら、人を増やす。それは今後も徹底していきたいです。

 会社員の時と比べて、「稼ぎ続けられるのか」という不安は常にあるけど、時間が確保できているのはよかったかな。それに、仕事だって人に指図されてやっているわけではないから、やっぱりやる気が違います。没頭できる感じ? やっぱりあのとき独立してよかったな。

結婚も、子どもも、縁があればという感じです

 毎日の生活ですか? 朝はお客さんとの打ち合わせがあれば、9時くらいに会い、なければ10時に事務所に行きます。夜は、お客さんとの打ち合わせがなければ、ずっと事務所で作業しています。家に帰ってリビングでくつろぐ時間があったら、少しでも早く仕事を終わらせたいという感じです。

 結婚は、いいなと思う人がいたとしても、仕事に理解がある人じゃないと。子どもについては、自分がほしいと思っても、こればっかりはね(笑)。どちらも縁があれば、という感じかな。

新宿にて

明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
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