telling,2018傑作選

【telling,傑作選】「30歳までに…」いっそケツを叩かれたら楽なのに

2018年telling,でご好評いただいた記事や、もう一度お伝えしたい記事をご紹介しています。 (元公開日:2018年11月24日)昨年好評だった特集”「29歳問題」という問題”。30歳を前にして結婚や仕事、将来を悩んでしまうミレニアル女性たち。20代の若い子たちは「好きな人と出会えたから」とシンプルな理由で結婚し、30代で独身でも責められることも少なくなった。枠組や建前もなくなって、生きやすくなった。はず、なのに、なんでこんなに苦しいんだろう?そんな思いを、30代独身女性が語ります。

●「29歳問題」という問題

伴侶のいない自分を蝕む超絶コンプレックス。

最近、20代の結婚のニュースをよく見る。
彼らは「ただ出会ったから結婚した」と言い切る。
パートナーを見つけたから。年齢は関係ないと。

これこそが、むしろ31歳の自分を、超絶な孤独へと追いやる。

中学から女子校に進学し、大学は圧倒的に男子の数が少ない文学部。
まともにサークルにも入らず、人の出入りが流動的ではないアルバイト先に勤めた私は大学を出るまでまともに彼氏はおろか、男友達もできたことがなかった。
中学生のような交際がいくつかと、彼女がいる人との交際がいくつか。本当にそれはコンプレックスだった。

社会人になり、比較的出会いは増えた。
また、当時私の働く会社では、特定の大手取引先の人と結婚することで会社から「勝ち組」と賞賛される風習が根強く、「お前もあそこの会社のやつと結婚できるように頑張れ!」と上司たちからは散々言われたし(約10年前。時代ですね)、先輩がセッティングしたその取引先の人たちとの合コンは毎週のようにわんさかあった。
実際自分も何人かの人と付き合ったし、当時仕事に夢中だった自分が強制的に恋愛を意識できる環境があったのは、いま思い返すとありがたいものだったなぁとも感じる。

若い世代は健やかに颯爽と、真実の愛を貫いていく

時は経ち、ここ数年急速に文化は変化してきている。
会社の中で「まだ結婚しないのか」なんて話題を持ち出す社員は格段に減り、また、大手取引先だから安泰という価値観も大きく変わった。
すると、結婚したい人は皆、さっさと、大事な人と結婚していったし、恋愛に興味のない人は心置きなく仕事を愛せるようになった。
そして目にするようになった、有名人たちの20代での結婚。
「こじらせ」や「負け美女」世代よりももっと若い世代の彼らは、健やかに颯爽と、真実の愛を貫いていく。
不安定な世の中だからこそ、一人前になってから結婚するなんて考えない。
できるときに、する。それは、彼らよりさらに若い世代からも多くの祝福を浴びている。

この先もこうして、色んなことは剥き出しになっていくのだろう。
枠組みとか、建前とかが減り、本音ある人たちがちゃんと幸せになれる世の中。
子どもの頃のような気持ちで、恋愛・結婚ができるような世の中。

こんな時代だからこそ

素晴らしいはずなのに、急に不安が襲ってくる。
「あのこが好き!」「あのこが大事!」そういう価値観で人を選んだり人に選ばれた経験のない自分は、誰にも強制されたり文句を言われない社会で、それでも誰かと一緒になりたい時、どうやってパートナーを見つければ良いのだろうと。
それは、「女は30歳までに」とか「大企業の相手と」とか、色々なルールがある中でそれをクリアできなかった頃よりも辛辣に、自分の人としての魅力のなさとして突きつけられ、直面する大きな闇となる。

多様であればあるほど、選択肢が広がれば広がるほど、相変わらずそのどこへも所属できていない自分が苦しい。

こんな時代だからこそ、結婚したい。
まともに誰かと交際したい。
そして絶対こんなことこそ、誰にも言えない。

30歳までに結婚しなくちゃなんていうくだらない価値観に縛られたくない自分と、いっそそんな価値観にケツを叩かれて本気で人と向き合いたい自分が心の中でずっと喧嘩をしている。

どちらに振るか、覚悟はまだできていない。

現在肩書き無し。30歳の夏、港区での彼氏との同棲を解消、同時に8年マネージャーとして勤務した芸能事務所を退社する。ライター業ではお笑いやサブカルチャーに関するコラムをwebサイトに寄稿など。
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